糖尿病を知って早期発見・治療! 最新情報を徹底解説!
こんにちは!
まつもと整形外科は福岡県久留米市安武町にある、整形外科・リハビリテーション科・糖尿病内科・循環器内科のクリニックです!!
 

今週は糖尿病 第2弾!! 検査〜治療についてお話します。

 

糖尿病のおさらい

糖尿病は、体内の血糖値(ブドウ糖)が異常に高い状態を指します。血糖は私たちの主なエネルギー源であり、食事から得られます。インスリンというホルモンが血糖を体の細胞に運び、エネルギーとして使用するのを助けます。しかし、糖尿病の方はこのプロセスが上手く機能しないため、血糖が細胞内に吸収されずに血液中の血糖が上昇します。

 

糖尿病には主に2つのタイプがあります

 

  • 1型糖尿病:1型糖尿病では、体内で十分なインスリンが生産できません。膵臓にあるインスリンを分泌するβ細胞が破壊され、インスリンが出なくなります。ウイルス感染を契機とした自己免疫が原因と考えられています。若年者(小児)に多い病気です。現時点では、正確な原因がわかっていません。
  • 2型糖尿病:インスリン分泌低下を主体するものと、インスリン抵抗性を主体とするもの、インスリンが相対的に不足するものなどがあります。生活習慣病とも言われ、「食べ過ぎ」 「早食い」 「食事の不規則」など生活習慣の乱れが原因のことがあります。一方、遺伝的要因のために食生活の乱れがないにも関わらず、2型糖尿病になることもあります。

糖尿病は適切に治療や管理されない場合は神経障害、心臓病、腎臓病、視力喪失、および下肢の問題など、重大な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、適切な診断、治療、ライフスタイルの変更が重要になります。

 

糖尿病を知るためには、どんな検査が必要なの?

糖尿病の診断と管理には、血液検査が中心となります。これらの検査は、血糖値のコントロールを評価し、糖尿病の診断を確定するために不可欠になります。

①血糖検査

  • 空腹時血糖値 (Fasting Blood Sugar, FBS): この検査は、少なくとも8時間断食後に行われます。血糖値が126 mg/dL (7.0 mmol/L) 以上であれば、糖尿病の恐れがあります。
  • 経口血糖負荷試験 (Oral Glucose Tolerance Test, OGTT): この検査は、初めに空腹時血糖値を測定します。その後に75gブドウ糖液を摂取して、30分後、60分後、90分後、120分後に採血して血糖値やインスリン値を測定します。2時間後の血糖値が200 mg/dL (11.1 mmol/L) 以上であれば、糖尿病の恐れがあります。
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②HbA1c検査

  • HbA1c検査: この検査は、過去2〜3ヶ月の平均血糖値を反映します。HbA1cが6.5%以上であれば、糖尿病の恐れがあります。HbA1c検査は、空腹時でなくても実施可能で、日々の血糖値の変動に影響されにくいため、糖尿病管理において重要な指標となります。
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③ランダム血糖検査(随時血糖検査)

  • ランダム血糖検査: この検査は、食事のタイミングに関係なく任意の時点で行われます。血糖値が200 mg/dL 以上であれば、糖尿病の恐れがあります。
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④その他の検査

  • C-ペプチド: C-ペプチド(は、インスリンが合成される前段階の物質(プロインスリン)が、分解されるときに発生する物質です。血中や尿中のC-ペプチドを測定すると、インスリンがどの程度膵臓から分泌されているのかが把握できます。
  • 抗GAD抗体: 1型糖尿病の方では、膵臓のβ細胞に対する自己免疫反応を示すマーカーとして用いられます。

これらの検査は、糖尿病の診断、病状のモニタリング、および治療計画の調整に不可欠です。まつもと整形外科では久留米市でも数少ない糖尿病専門医による診断が可能です🍀患者さんのの病状を正確に把握し、適切な治療法を提案します。

 

糖尿病治療の基本と目的

糖尿病治療の基本は、血糖コントロールを適切に行うことになります。適切な血糖コントロールにより、糖尿病による合併症を予防することができます。

血糖コントロールは、食事療法、運動療法、薬物療法などで行い、それぞれの治療が効果的になるように、糖尿病専門医の指導のもとで適切な療法が選択されることが求められます。

また、患者様自身が病気に対する理解を深め、自己管理を行うことも重要です

糖尿病の薬物治療の概要

糖尿病の薬物治療は、主に1型糖尿病2型糖尿病に分けられます。1型糖尿病では、体内で十分なインスリンを生産できないため、インスリンの補充が必要です。一方、2型糖尿病では、体のインスリンの使い方が効率的でないか、またはインスリンを十分に生産できないため、様々な種類の薬が使われます。

1型糖尿病の薬物治療

  • インスリン療法: 1型糖尿病の患者様は基本的にインスリン注射を必要とします。インスリンは、急速作用型、短作用型、中間作用型、長作用型の異なる形で提供されます。これらは、患者の血糖管理に応じて、単独または組み合わせて使用されます。
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2型糖尿病の薬物治療

2型糖尿病の治療薬は多岐にわたり、以下のような薬剤があります。

・αグルコシダーゼ阻害薬:小腸からの糖の吸収を遅らせます

・ビグアナイド薬(メトホルミン):肝臓で糖が新たに作られるのを抑え、骨格筋や脂肪組織における糖の消費を促すことでインスリン抵抗性を改善します。

  • チアゾリジン: 筋肉や肝臓でのインスリンの働きを高めます。
  • SGLT2阻害薬: 腎臓での糖の再吸収を阻害し、尿として糖を排出させることで血糖を下げます。
  • DPP-4阻害薬: インクレチンというホルモンの活動を伸ばし、インスリンの分泌を促進し、血糖を下げます。
  • GLP-1受容体作動薬: インクレチン効果を模倣し、インスリンの分泌を増やし、食後の血糖上昇を抑えます。
  • スルホニル尿素薬: 膵臓からのインスリン分泌を刺激します。
  • インスリン療法: 2型糖尿病の患者でも、他の薬剤で血糖がコントロールできない場合にインスリン療法が用いられることがあります。

糖尿病の薬物治療は、患者様の具体的な状態や血糖コントロールの必要性に応じて、様々な薬剤が組み合わされます。患者様一人ひとりの病歴、生活習慣、および潜在的な副作用を考慮して、最も適切な治療計画を立てます。治療の目標は、血糖値を正常範囲内に保ち、糖尿病に関連する合併症のリスクを最小限に抑えることです。

 

 

糖尿病・高血圧・肥満の深い関係

糖尿病の方の約40~60%が高血圧を合併しています。また、高血圧の方が糖尿病になる確率は、高血圧ではない方の2~3倍高いと言われており、「糖尿病」と「高血圧」には深い関係があります。

糖尿病と高血圧の関係性について、大きな要因となっているのが「肥満」です。
肥満になると、交感神経(自律神経)が過度に緊張し、血圧を上げるホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン)が多く分泌されるのために、高血圧になりやすくなります。生活習慣病である2型糖尿病の方は肥満体系の方が多く、高血圧になりやすいと考えられます。

最後に、患者自身が自分の症状や状態を把握し、医師や専門家と相談しながら適切な治療法や予防策を選択することが重要です。糖尿病患者にとって、症状別の適切な治療方法を選択することが、自身の健康や生活の質の向上に繋がります。

 

治療計画の個別化

  • 患者様のライフスタイル: 食生活、運動習慣、職業など、患者の日常生活に合わせた治療計画が重要です。
  • 合併症のリスク: 既存の心血管疾患や腎機能障害などリスク因子がある場合、これらを考慮して治療薬を選択します。
  • 年齢と期待される治療効果: 年齢が高い患者では、特定の薬物による副作用のリスクが高まる場合があります。また、治療目標は患者様の年齢や全体的な健康状態に応じて調整されることがあります。
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継続的なモニタリングと調整

糖尿病の薬物治療は、定期的な血糖モニタリング(血糖値、HbA1c)と医師による評価を通じて継続的に調整される必要があります。

 

教育とサポート

  • 自己管理の重要性: 患者様自身が病状と治療計画を理解し、適切に管理できるようになることが望ましいです。
  • サポートシステム: 家族などのサポートは、患者様が生活習慣の改善を継続するのに重要です。
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まとめ: 継続的な治療と予防で糖尿病をコントロール

糖尿病のコントロールには、継続的な治療と予防が不可欠です。糖尿病専門医の診療を受け、食事療法・薬物療法・運動療法を適切に組み合わせて治療することが望ましいです。予防には、生活習慣の改善、食生活の改善、定期的な運動、ストレス管理も重要になります。

患者様自身でも積極的に治療や予防に取り組むことが、糖尿病をコントロールする上で最も重要なポイントになります。

糖尿病の管理は、薬物治療だけでなく、適切な食事規則的な運動、および継続的な自己管理の組み合わせを通じて最適化されます。

 

次回は、1番生活の身近なものになる『糖尿病に適した食事、栄養について』お話します。

旬の春キャベツを使ったレシピもご紹介いたしますのでお楽しみに🍀

 

当院のホームページの糖尿病についての記事はこちらから!

 

📖参考文献📖

・一般社団法人日本糖尿病学会一般社団法人 日本糖尿病学会公式http://www.jds.or.jp/modules/education/index.php?content_id=132

・糖尿病情報センター.糖尿病とは https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html

2024年05月02日