健診異常

健康診断で異常を指摘された方へ

健康診断では、身体中の臓器の健康状態を把握するため多岐にわたる項目を調べます。中には、何の異常なのか分からない、ということもあるのではないでしょうか。当院では異常値を指摘されて不安な気持ちを抱えている方に対して、わかりやすい説明と、できるだけ早期に的確かつ精密な検査を行い、必要に応じた治療提供が出来る体制を整えております。

要再検査・要精密検査と指摘された方へ

「要再検査」・「要精密検査」と言われたら?

健康診断の結果で、「要再検査」「要精密検査」といった通知が出ることがあります。「要再検査」と「要精密検査」では意味が異なっており、対応が変わってきます。

「再検査』と「精密検査」の違い

「再検査」と「精密検査」はどちらも、もう一度検査が必要であるという点では同じです。しかし、両者の定義には違いがあります。まずは再検査と精密検査が意味するところの違いについてお話しましょう。

再検査

健康診断で異常な数値が検知されたために、もう一度検査をして確認が必要な際に出される通知です。再検査の結果で異常がなければ、「異常値は一時的なものだった」「正常上限や正常下限」と判断されます。再度異常値が検出された場合は詳しい原因を調べるための精密検査が必要になります。

精密検査

健康診断で異常値が検出された場合、どのような原因疾患によって引き起こされているのか、実際に治療が必要なのかを確認するための検査になります。
通常の健康診断や再検査は異常の有無を確認するために行われますが、精密検査は異常の原因を調べるために実施されます。
健康診断の結果によっては、命の危険を伴う重篤な疾患や、QOL(生活の質)を著しく低下させる疾患を発見する可能性があります。特にこれらの疾患が生活習慣病の場合は、自覚症状がないため放置されがちになりますが、その間にも動脈硬化は進行して、症状が現れた時には脳や心臓に深刻なダメージが生じていることもあります。
生活習慣病は、できるだけ早期に発見・治療することが大切です。早期に適切な治療を行うことで、QOLの向上や健康寿命の延伸が可能となりますので、指摘された方はまずは当院にご相談ください。

指摘を受ける可能性のある検査項目

脂質異常症(高脂血症):コレステロール・中性脂肪

LDL(悪玉)コレステロール値が高い・HDL(善玉)コレステロール値が低い中性脂肪が高い、3つのどれかに当てはまれば、脂質異常症と診断されます。

脂質異常症とは
「脂質異常症」は、次の3つのうち1つでも当てはまると、脂質異常症と診断され、以下の3つに分類されます。
(いずれも空腹時の血清中濃度)
  • LDLコレステロール(悪玉コレステロール):140mg/dL以上
  • トリグリセライド(中性脂肪):150mg/dL以上
  • HDLコレステロール(善玉コレステロール):40mg/dL未満
脂質の異常を指摘されても自覚症状がないため放置している方がよくいますが、脂質異常症は動脈硬化の一番の原因でもあると言われており、脂質異常症を放置すると増えた脂質がどんどん血管の内側に溜まり、動脈硬化を引き起こし、結果として脳梗塞や心筋梗塞、脳卒中が発生したりすることもありますので、放置せずに先ずは当院にご相談ください。

血圧

高血圧ガイドライン2019
高血圧ガイドライン2019では、75歳未満の成人の目標血圧を130/80mgHg未満に、75歳以上の方の目標血圧を140/90mmHg未満に定めています。さらに、既往のある方では、糖尿病・脳血管障害の方で130/80mmHg未満、慢性腎臓疾患方で140/90mmHg未満をそれぞれ目標値としています。
高血圧の診断基準
家庭血圧で135/85以上、診察室血圧が140/90以上の場合、高血圧と診断されます。
血圧が高い状態が続くと心臓や血管に負担がかかり、自覚症状がなくても動脈硬化や心肥大になる可能性があります。放っておくと脳卒中や心筋梗塞、心不全、不整脈、動脈瘤、腎不全など、多くの循環器病が起こります。
高血圧症の合併症は放置すると危険度が高い病気が多いため、血圧が高くなっていることが分かったら放置せずまずは当院にご相談ください。

糖尿病:血糖値・HbA1c

健康診断で血糖値やHbA1cが高いと指摘された場合は、糖尿病の可能性があります。糖尿病は放置すると全身に様々な合併症を引き起こし、命の危険に関わる病気です。
また、糖尿病の種類はいくつかありますが日本人では95%の糖尿病患者は2型糖尿病で、運動不足や不摂生などの「生活習慣の乱れ」が主な原因です。
健康診断で早めに気付くことが出来れば、運動療法・食事療法で重症化せずに改善することができます。
血糖値
血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のことで、空腹時に低下し、食後には上昇します。血糖値が高い場合は糖尿病の可能性が疑われます。検査は、できるだけ空腹時に行うことで正確な数値を測定できます。
健康診断で血糖値が基準値より高い結果が出ている場合は、「空腹時の血糖値が高い」状態です。空腹時の血糖値は110mg/dL以上で高値と判定されます。空腹時血糖が110mg/dL以上の場合、糖尿病である可能性が高く、血糖糖負荷試験(75gOGTT)を含め、精査が望ましいです。
HbA1c
HbA1cは、糖尿病治療において血糖コントロール状態の最も重要な指標として利用され、過去1~2か月の血糖コントロールの状態を反映します。糖尿病の「治療効果」を確認する目的としても用いられます。
HbA1cの基準値は人間ドック学会では5.5%以下とされています。HbA1cが6.5%以上の場合は「糖尿病」が強く疑われます。もしHbA1cが6.5%未満であっても、それに近い数値の場合には、糖尿病あるいはその一歩手前の状態を示す「境界型糖尿病」の可能性があります。
境界型糖尿病の場合、将来的に糖尿病へ進行する可能性が高く、定期的に検査をしていく必要があるため、当院へご相談下さい。

肝機能:ビリルビン・AST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GTP・アルブミン

肝臓の機能に関する項目で、肝臓に何らかの異常、機能低下がみられた際に、通常よりも高くなったり低くなったりします。
ASTとALTは肝臓の機能を調べるための代表的な検査項目で、いずれも肝臓の細胞で作られる酵素です。肝臓に何らかのダメージが加わって細胞が破壊されると、血液中にASTとALTが放出されるため、ASTとALTが上昇します。このことから、ASTとALT濃度が上昇しているときは肝臓にダメージが生じ、働きが悪くなっていることが分かるのです。
γ-GTPは肝臓の解毒作用に関係する酵素で、過度の飲酒によるアルコール性肝障害で値が上昇します。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、障害があってもなかなか自覚症状が出ません。何らかの症状が現れたときには、すでに病気がかなり進行している可能性があります。これらの項目で指摘された際は、直ちに当院までご相談ください。

腎機能:クレアチニン(Cr)・推算糸球体ろ過量(e-GFR)、尿素窒素(BUN)

腎臓の機能に関する項目で、腎臓に何らかの異常、機能低下がみられた際に、通常よりも高くなったり低くなったりします。
腎臓が正常に働いていればほとんどが尿中に排泄されるため、腎機能の指標とされています。腎臓の機能が低下して、老廃物を尿の中に排出する量が減ると、クレアチニンや尿素窒素の数値が高くなります。クレアチニンや尿素窒素の数値が高い場合、腎臓に何らかの異常が起きていることが考えられます。
腎臓は「糸球体」という血液から不要な老廃物を取り除く組織がたくさん集まって出来ている臓器で、この糸球体が壊れることで慢性腎臓病につながります。慢性腎臓病は“病”という名前がついてはいるものの、ある特定の病気の名称ではなく、生活習慣病や糖尿病性腎症などの病気や危険因子によって腎障害や腎機能の低下が慢性的に続いている状態を示すものです。慢性腎臓病は、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患の重大な危険因子になっています。
慢性腎臓病では初期の段階ではほとんど自覚症状はないので、気づかないまま腎機能の低下が進んでしまわないよう、早い段階で腎機能の低下を見つけることが必要です。これらの項目で指摘された際は、当院までご相談ください。

膵機能:アミラーゼ・リパーゼ

アミラーゼとは膵臓に含まれる消化酵素のひとつで、十二指腸に分泌され、でんぷん(糖類)を分解する働きがあります。アミラーゼは膵臓、唾液腺から分泌される消化酵素で、膵炎や唾液腺炎、耳下腺炎で高値を示します。リパーゼはアミラーゼ同様、膵臓に含まれる消化酵素のひとつで、十二指腸に分泌され、脂肪を分解する働きがあります。
膵臓の働きが正常でない場合は、この「アミラーゼ」と「リパーゼ」が血液中に出てきてしまい、血液検査で異常値となります。
膵臓の異常は見つけにくく、進行してしまうと命にかかわる危険性がありますので、もしこれらの項目で指摘された際は、直ちに当院までご相談ください。