高尿酸血症

高尿酸血症とは

高尿酸血症は、血液中の尿酸濃度が通常よりも高い状態をいいます。具体的には、尿酸値が7mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されます。高尿酸血症は、生活習慣病の一種で、尿酸値の上昇は高尿酸食品の摂取や生活習慣の乱れなどにより引き起こされますが、遺伝性素因や腎機能低下も発症の要因となります。
高尿酸血症とは
高尿酸血症そのものは無症状であることが多いですが、尿酸値が高い状態が続くと、突然痛風になることがあります。痛風は、足の親指のつけ根が赤く腫れあがり、激しい痛みを引き起こす発作性の疾患です。痛風は「風が当っただけで痛い」と表現されているように激痛で、そして発作的に起こる関節炎です。尿酸は水分に溶けにくいため尿酸塩になり、それが鋭い針状に結晶化することがあります。結晶化した尿酸が関節にたまって炎症を起こして激しい痛みを生じさせるのが痛風発作です。高尿酸血症の人すべてが痛風を発症するわけではありませんが、痛風になる人は必ず高尿酸血症を抱えています。痛風の発症には遺伝要因も関与しており、さらに暴飲暴食、ストレス、肥満、脱水なども痛風の引き金となる可能性があります。

また、高尿酸血症は30歳〜40歳代の男性に多くみられ、成人男性の約20%にのぼり、痛風で治療する患者さんの数は日本に約100万人いるといわれています。高尿酸血症を長い間放置していると、尿酸が全身に蓄積され、腎障害や尿路結石などの合併症が引き起こされる可能性もあります。また、高尿酸血症は痛風発作を引き起こすだけではなく、動脈硬化による狭心症、心筋梗塞の危険因子としても知られています。また、高尿酸血症は痛風発作を引き起こすだけではなく、動脈硬化による狭心症、心筋梗塞の危険因子としても知られています。そのため早い段階で発見し、適切な治療を行うことが重要です。健康診断などで高尿酸血症、腎障害などを指摘された方は、症状がなくてもお気軽に当院へお越しください。

高尿酸血症の原因

そもそも尿酸とは、体の細胞内に存在するプリン体から産生されます。プリン体はレバーや魚卵などの食品にも多く含まれていますが、食品から摂取するプリン体は全体の20%程度で、残りは体内でつくられます。プリン体からつくられた尿酸は、体内で一定の量がためられています(尿酸プール)が、余分な尿酸は尿中などに排泄されます。この尿酸の産生と排泄のバランスが崩れてしまうと、高尿酸血症となります。さらに、アルコールによって尿酸値が上がりやすいため、飲酒習慣がある場合にも発症リスクが高くなります。

多くの場合は、遺伝的素因と、過食や飲酒などの外因が合わさって発症しますが、血液の病気や、癌、腎臓病、薬剤の影響などでも起こることがあります。
高尿酸血症の原因

高尿酸血症の症状

高尿酸血症そのものは基本的に無症状です。しかし、痛風を発症したときには、足の親指の付け根に激痛が生じて、赤く腫れあがります。また、痛風発作は他にも、膝、肘、手首、手の関節などに出ることもあります。初めは、痛みは一過性のものです。しかしその後、再発を繰り返すたびに激痛を伴う時間が長くなり、慢性化します。

高尿酸血症の進行は、以下の3つに分けられます。

無症候性高尿酸血症期

尿酸値が高くなっているものの、痛風発作を起こしていない時期です。
自覚症状がないために、多くの方があまり危機感を感じておらず、放置している状態です。しかし、この段階で生活習慣を改善し、尿酸値を下げることができれば、痛風発作を避けることも可能です。

痛風発作期

尿酸が結晶化し、足の親指の付け根の関節で、腫れ、突然の激しい痛みが発生します。
初めは、痛みは数日から2週間ほどで治まります。しかし再発を繰り返すに従って、痛みが続く時間が長くなります。

慢性結節性痛風期

病状が進み、腫れ、痛みが慢性化します。その後、関節が変形することもあります。
また、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などの発症リスクが高くなります。

高尿酸血症の治療

高尿酸血症の治療には、「痛風発作の緩和」、「尿酸値を下げること」の2つの目的があります。

痛風発作の緩和

痛風発作の治療では、「痛みと炎症を抑える」ことが目的になります。
症状に応じて、痛みと炎症を抑えるロキソニンなどのNSAIDSと呼ばれる鎮痛剤やステロイド剤、痛風発作前兆時に内服するコルヒチンという痛風発作予防薬を使用します。痛風発作中に尿酸を下げる治療を行うと、尿酸値の大きな変動により症状が悪化を起こす可能性があるため注意が必要です。痛みと炎症が治まってから、高尿酸血症の治療をしていきます。

高尿酸血症の主な治療法

主な治療法は、生活習慣の改善指導と薬物治療で、痛風発作を予防します。ただ、急激に尿酸値を下げると、痛風発作を起こすことがあるため、計画的に、少しずつ下げていくことが大切です。

食事療法:生活習慣の改善

高尿酸血症の方は、肥満や高血圧などの生活習慣病も指摘されていることが多いです。まずは、1日3食規則正しく、バランスの良い食事を取ることで、肥満を解消して適正体重を保つことが重要です。また、プリン体を多く含むレバーなどの内臓や魚卵などの過剰摂取は控えましょう。特に、レバーなどの内臓系や脂身の少ない肉は、ダイエットのために多く摂取する人が多いですが、プリン体が多く含まれるため、注意が必要です。ビールだけでなくアルコールは尿酸値を上昇させますので、できるだけ飲酒は控えるようにしましょう。

運動療法

運動療法は、高尿酸血症の治療や予防においても効果的な方法のひとつです。ポイントは、適度な運動を継続することです。適度な運動は、高尿酸血症の改善に役立ちますが、激しい運動は逆効果になります。無理な運動は疲労や筋肉痛を引き起こし、筋肉疲労や急激なエネルギー消費が尿酸値を一時的に上昇させる可能性があるからです。かえって尿酸値が上昇する可能性があります。適度な運動を継続することで、代謝が高まり、尿酸値を下げやすくなります。また、定期的に運動することで、体重の増加を抑える効果もあります。過剰な体重は、尿酸値の上昇を招く要因のひとつですので、体重管理は高尿酸血症の予防にも繋がります。
  • ウォーキング
  • 水泳
  • 自転車漕ぎ
  • ヨガ
  • ストレッチング
これらの運動は、適度な負荷がかかりつつも無理のない範囲で行えるものばかりですので、高尿酸血症の方にも取り入れやすいと言えます。特にウォーキングは、手軽に始められ、持続しやすい運動であり、尿酸値を下げる効果も期待されます。 運動療法を始める際の注意点も押さえておきましょう。まずは自分の体力や状態に合わせて、運動の強度や頻度を調整してください。無理な運動は避けることが大切です。また、運動後はしっかりストレッチを行い、筋肉の柔軟性を保つようにしましょう。加えて、運動中は水分補給を忘れずに行ってください。不十分な水分補給は、尿酸値が上昇する原因となりますので、注意が必要です。 最後に、運動療法だけでなく、食生活や生活習慣を見直すことも重要です。総合的な予防や治療法を実践することで、高尿酸血症と上手に付き合いながら、健やかな生活を送ることができます。

薬物治療

痛風発作を起こしたことがない場合、尿酸値は7mg/dl未満を目標に薬物治療を開始します。過去に1度でも痛風発作を起こしたことがある方は、尿酸値6mg/dl未満を目標に薬物治療を行っていきます。
薬物治療では、尿酸の合成を阻害する薬が一般的に使用されます。一部の薬は尿酸の排泄を促進する効果もありますが、尿路結石の悪化のリスクがあるため、慎重に処方されます。
痛風発作時の治療は、尿酸値のコントロールとは異なります。まず、発作時の激痛を軽減するために、消炎鎮痛剤(NSAIDs)が使用されます。関節の炎症を早く抑えることが重要です。