糖尿病に対する運動療法の重要性と効果

こんにちは!久留米市安武町にある「まつもと整形外科」の理学療法士の野口です。

2022年5月に移転後より糖尿病内科での診療がはじまりました。

糖尿病治療は食事療法、薬物療法そして運動療法が大切であるとされています。

今回は「糖尿病に対する運動療法」について説明します。

糖尿病に対する運動療法の目的は運動によって血糖値のコントロールを行うことにあります。

運動などの身体活動により、血液中のブドウ糖が筋肉に取り込まれやすくなり、血糖値を下げることができます。運動を一定期間続けることで、インスリンの働きが改善され、筋肉へのブドウ糖取り込み能力が上がります。また、運動により糖尿病の合併症や高血圧などの関連疾患の予防することができます。

運動内容としては、糖尿病の種類や病態、体力、他の治療法、さらに生活環境などを考えて

①運動の種類

②運動強度

③運動継続時間・実施時間

④運動頻度

を個々のライフスタイルに合わせ、継続可能な内容を行うことが大切です。

  1. 運動の種類

散歩などの有酸素運動筋トレなどの無酸素運動を組み合わせて行うことが効果的と言われています。

運動の種類を考えるポイントとしては

・全身の筋肉を使う

・リズミカルな運動を行う

・強度や量の確認が行いやすい

・いつでもどこでもできる

・無理なく楽しく長く続けられる

などがあります。。

有酸素運動:スピードや場所によって強度や時間を自由に設定できるため、歩行が有酸素運動の中で取り入れやすいと言われています。ジョギングなどにすることにより強度を上げることもできます。水泳も全身の筋肉を使用するため、良い有酸素運動とされています。

ウォーキングや自転車

有酸素運動

無酸素運動:おもりなどを使った運動など筋力増強を目的とした運動。筋力をつけることにより日常生活で動作がしやすくなり、日中の活動を行いやすくするために行います。

おもりを使った運動

無酸素運動

  1. 運動強度

インスリンの効果を高めるためには40~60%の運動強度が望ましいとされています。糖尿病のコントロールが不十分な方は強度が強すぎると状態を悪化させる危険性があるので30~40%くらいの運動でもよいとされています。一度に行うのではなく長く続けられるようにし、気持ちいいな~と感じるくらいの運動を選んで行います。

  1. 運動継続時間、実施時間

糖尿病コントロールには少なくとも10分以上の運動が必要と言われています。無理な運動は続かなかったりしますので、ウォーミングアップやクーリングダウンなどを合わせて少しずつ時間を増やし、30分から1時間を継続して行っていけるようにします。

また、糖尿病の運動は、食後30分から60分経過後、血糖値やインスリン値が上がった時に行う方がよいとされています。逆に食前や空腹時は運動を避けるようにします。

  1. 運動頻度

1度の運動の効果は数時間~1日持続し、トレーニング効果は3~4日持続すると言われています。状態にもよりますが、1日2回、週に3回以上を目標としていきます。

日常生活の中でなかなか時間が取れないという方は、買い物などで少し長く歩く、なるべく階段を使う、バスや電車でなるべく立つなど生活活動でちょっとした工夫を行うことで運動を行うことができます。続けられる活動を少しずつ行っていくようにしましょう。

低負荷の運動電車で座らない

また、食事や体重、血糖自己測定などと共に運動の記録をしていくと運動の内容を見直したり、目標を立てたりするのに役立ちます。

ただし、著しい代謝障害や血管合併症、活動性感染症などを合併している場合などは運動をしない方がよいとされています。主治医としっかり相談しながら運動を行っていくようにしましょう。

当院では理学療法士、作業療法士による運動指導を行っております。なにかお困りのことなどありましたらお気軽にご相談ください!

2022年06月14日