糖尿病内科

糖尿病とは

糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖値)が正常より多い状態です。ほとんどの方には症状がありませんが、放っておくと合併症を引き起こす事が問題となります。

糖尿病の原因

糖尿病は主に1型、2型に分類されます。
ほとんどの方が2型糖尿病であり、食生活、肥満、ストレス、遺伝などによって膵臓からでるインスリン(血糖値を下げるホルモン)の不足や、効きが悪くなることで血糖値が上昇します。
1型糖尿病はウイルス感染や自己免疫の反応が原因で、膵臓からインスリンが出なくなった状態です。1型糖尿病の方はインスリン治療が必要です。

糖尿病の診断

糖尿病になっていても、ほとんどの場合、症状がありません。このため、糖尿病の診断は主に血液検査で行います。
検査時点の血液中の糖濃度を調べる血糖値と、血糖値の1~2か月の平均値を表すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を調べます。
糖尿病と診断される基準は2つあります。
血糖測定器

糖尿病型が2回確認される

(1) 空腹時血糖値が126mg/dL以上、随時血糖値が200mg/dL以上、75gOGTT(グルコース負荷試験)の2時間値が200mg/dL以上のいずれか
(2) HdA1cが6.5%以上
のどれかひとつを満たすと糖尿病型と診断されます。
同日に(1)(2)が確認された場合、または(1)、(2)がそれぞれ別日に確認された場合に糖尿病と診断されます。
また、(1)が別日に2回確認された場合も、糖尿病と診断されます。
空腹時血糖、HbA1cの値が再検査でも(1)(2)の基準のいずれかひとつのみを満たす場合は糖尿病型(糖尿病疑い)として、さらに3~6カ月以内の再検査が推奨されます。

血糖値が基準を超え、かつ、高血糖症状が確認される

・空腹時血糖値(10時間以上食事をとらない状態での血糖値)が126mg/dL以上、随時血糖値が200mg/dL以上、75gOGTT(グルコース負荷試験)の2時間値が200mg/dL以上のいずれかの条件が1回だけ確認された場合であっても、口渇、多飲、多尿、体重減少といった典型的な高血糖症状や、糖尿病の合併症である明らかな網膜症がある場合は、糖尿病と診断されます。
血糖値やHbA1cの値が糖尿病型の基準に該当しなくても、
・空腹時血糖値が110~125mg/dL
・時間関係なく測定した血糖値が140~199mg/dL
・HbA1cが6.0~6.4%
特に、家族歴(血縁の方に糖尿病の方がいる)、肥満、高血圧、脂質異常症を有する方には75gOGTTをおすすめします。糖尿病の前段階でご自身のインスリン分泌や血糖値の上昇パターンを知ることで、この時期より適切な運動や食事を行い、糖尿病への進行や他の動脈硬化疾患の発症を予防することが可能です。

糖尿病の合併症について

糖尿病の合併症には
神経障害、膜症、腎症の3つがあり、糖尿病に特徴的な合併症として3大合併症とよばれています。また、高血圧や高脂血症、喫煙などの他のリスクとともに心筋梗塞、脳梗塞を引き起こします。その他、糖尿病の方は癌の発症リスクが高いといわれています。
合併症の発症や進行を予防するには、適切な血糖値を長く維持すること、合併症の検査を定期的に行うことが大切です。定期的な受診や検査で、合併症や癌を予防・早期発見することができます。

糖尿病の治療

適切な治療により血糖値をコントロールすることで合併症を予防し、糖尿病がない方と同じ生活や健康寿命を保つことが、治療の目的です。
血糖値の1~2か月の平均値を表すHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を血糖コントロールの指標とし、患者様ごとに目標を設定して治療を行います。治療の基本は食事療法・運動療法ですが、食事療法・運動療法を十分に行っても効果が不十分な場合にはお薬での治療が必要となります。
1型糖尿病の方は食事・運動療法と同時に初期よりインスリン治療が必須です。

糖尿病の食事療法

糖尿病の食事療法は、糖尿病をお持ちの方も、そうでない方にもあてはまる、健康食です。
身長、体重、年齢、活動量を元に医師や管理栄養士が一日の総エネルギー摂取量とバランス(糖質、脂質、タンパク質の比率)を設定します。総エネルギー摂取量やバランスが適正に保たれると、インスリンの分泌能力や効きがよくなり、血糖値が改善します。肥満がある場合はその解消が期待でき、お薬を使っている方は量を減らすこともできます。
また、食事の順番や時間も大切です。副菜(野菜)、主菜(肉、魚など)、炭水化物(ごはん、めん、パン)の順に、ゆっくりと味わって食べることで食後の血糖値の上昇を抑えることができます。

糖尿病の運動療法

糖尿病の治療には、有酸素運動(歩行、ランニング等)やレジスタンス運動(筋トレ)組み合わせた運動療法が有効です。
医師や理学療法士などの指導の下、個々人の年齢や体力に応じて運動メニューを設定します。ウォーキングなどの軽い有酸素運動は、特に実践しやすいものとして挙げられます。
当院では、整形外科併設の糖尿病内科として、理学療法士による運動指導も行っております。

糖尿病の薬物療法

食事療法・運動療法を十分に行っても効果が不十分な場合にはお薬での治療が必要となります。病態や年齢、生活スタイルに合ったお薬を選び、効果をみながら調整していきます。
当院では、経口血糖降下薬、GLP1製剤(注射、経口薬)、インスリン治療に対応しています。また、注射剤を使用されている方は自宅での自己血糖測定が保険診療で可能です。
健診で血糖値が高いと言われた方。
糖尿病が心配な方、治療したい方。
生活習慣病(高血圧、高脂血症、高尿酸血症)、メタボリックシンドロームが心配な方。
年齢、合併症、生活スタイルなどを考慮して患者様ごとに目標を設定し、治療を行っています。
お気軽にご相談ください。

糖尿病外来担当

松本 千紗
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本内科学会 内科認定医

Q&A

糖尿病になると、どんな症状がでますか?
血糖値が高くても、ほとんど症状がありません。このため、健診や病院受診がなければ発見されにくく、発見されたときには合併症が進行している、ということもあります。(特に持病のない方も健診は毎年受けましょう。)
しかし、著名な高血糖となった場合には、体がだるい、食べても痩せる、喉が渇く、多尿・頻尿などの症状がみられることがあります。
体がだるくなったり、食べても痩せるのはなぜですか?
膵臓から出ているインスリンというホルモンが作用して血糖値を下げたり、食事から摂った糖をエネルギーとして利用しています。高血糖となることでインスリンの作用不足がおこることで、この働きが破綻し、エネルギー不足となり、体がだるくなったり、脂肪や筋肉のタンパク質をエネルギー源として分解するため食べてもやせることがあります。
喉が渇いたり、トイレが近くなるのはなぜですか?
血糖値が高くなりすぎると血液が濃くなります。これを体が薄めようと反応するため、激しい喉の渇きを感じます。また、血糖値が高いと尿糖が増えることで浸透圧により尿量が増えます。さらに脱水が進行して喉が渇いてしまう、という悪循環となります。
このような症状が見られた場合には、すぐに治療が必要な状態となっていることがあります。必ずクリニックを受診しましょう。
尿が泡立つのは糖尿病の疑いがありますか?
尿が泡立つ主な原因は、尿に蛋白が含まれている、尿に糖が含まれている、尿の濃度が高い、尿に細菌が入っているといったことが考えられます。これらは糖尿病以外にも、腎臓の病気、膀胱の病気や、水分不足など、様々な要因が考えられます。尿が泡立つだけでは判断をすることは難しいため、ご心配される場合は医師に相談し検査を受けましょう。
糖尿病は遺伝しますか?
特殊な場合を除いては、親が糖尿病の場合に子が必ず糖尿病を発症するわけではありません。糖尿病になりやすい体質が遺伝し、それに糖尿病を促すような環境要因(運動不足、食べすぎ、ストレスなど)が加わった場合に発症します。なりやすい体質となる遺伝因子は様々あり、その性質や、遺伝因子をいくつもっているかも発症にかかわります。