皆様こんにちは。久留米市にある「まつもと整形外科」院長の松本です。
当院は、地域の皆様の「健康をプロデュースする企業」として、整形外科診療に加え、内科(糖尿病内科・循環器内科)を併設して、患者様が1カ所の医療機関で必要な診療を完結できるようにワンストップ診療を実現しています。
また、グループ企業として整骨院やピラティスの事業まで幅を広げ、医療からコンディショニング・予防まで幅広くサポートし、地域の健康づくりに継続的に貢献したいと思っています。
さて、今回は外来でもよくご相談を受ける膝のトラブル、「鵞足炎(がそくえん)」について詳しく解説します。
「走ると膝の内側が痛い」「階段の昇り降りでズキッと痛む」といった症状がある方は、ぜひ最後までお読みください。
今回は、数ある膝のトラブルの中でも、特に「膝の内側」に強い痛みが現れる鵞足炎(がそくえん)」という疾患について、詳しく解説していきたいと思います。
目次
膝の内側が痛い!その症状、本当に「変形性膝関節症」ですか?
中高年の方で「膝が痛い」、特に「膝の内側が痛い」と感じた際、多くの方が真っ先に疑うのが「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」ではないでしょうか。
テレビの健康番組やCMなどでもよく耳にする病気のため、「加齢で軟骨がすり減ってしまったんだ」「もう治らないかもしれない」と悲観して来院される方が後を絶ちません。
久留米市のみではなく、柳川市、大川市、佐賀市、鳥栖市、みやき町、小郡市など遠方からも膝の痛みで来院されますが、変形性膝関節症と誤って診断されている方も見受けられます。
確かに、変形性膝関節症は中高年の膝の痛みの代表的な原因であり、進行すると膝の内側に痛みが出やすいという特徴があります。
しかし、「膝の内側が痛い=すべて変形性膝関節症」というわけではありません。
レントゲン検査を行ってみると、骨の変形や軟骨のすり減りは年齢相応でほとんど見られない、あるいは軽度であるにもかかわらず、強い痛みを訴える患者様がいらっしゃいます。
このような場合、痛みの真の原因が骨や関節軟骨ではなく、関節のすぐ内側にある筋肉の腱や滑液包(摩擦を減らすクッションのような袋)の炎症であるケースが非常に多いのです。
その代表格が、今回取り上げる「鵞足炎」です。 鵞足炎は変形性膝関節症と痛む場所が非常に近いため、一般の方には見分けがつきにくく、間違われやすい疾患です。
しかし、原因となる組織が全く異なるため、当然ながら治療のアプローチも変わってきます。
「軟骨のすり減りだから仕方ない」と諦める前に、まずは整形外科専門医による正確な鑑別診断を受けることが、治療の第一歩となります。
鵞足(がそく)とは?なぜ炎症が起きるのか
では、そもそも「鵞足」とはどこのことでしょうか。
鵞足とは、膝の関節から数センチ下、すねの骨(脛骨:けいこつ)の内側にある部位の名称です。
ここには、骨盤や太ももから伸びてきた3つの筋肉(縫工筋・薄筋・半腱様筋)の腱が集まって骨にくっついています。
この3つの腱が集まって付着している様子が、ガチョウ(鵞鳥)の足の形に似ていることから「鵞足」と呼ばれています。
膝の曲げ伸ばしを行う際、これらの筋肉の腱は骨の表面を滑るように動きます。
通常は、腱と骨の間にある「鵞足滑液包(がそくかつえきほう)」というゼリー状の液体が入った袋がクッションの役割を果たし、摩擦を防いでいます。
しかし、膝の曲げ伸ばしを過度に繰り返したり、太ももの筋肉が硬く緊張した状態で膝を使い続けたりすると、腱と骨(または腱同士)の摩擦が通常よりも強くなります。
その結果、クッションである滑液包や腱そのものに炎症が生じ、痛みが発生します。
これが鵞足炎のメカニズムです。
スポーツをしている若者から、中高年やご高齢の方まで幅広い年齢層でみられます。
鵞足炎になりやすい人の特徴と原因
鵞足炎は、基本的には膝の使いすぎ(オーバーユース)によって引き起こされる「スポーツ障害」の一つとして知られています。
しかし、実際に臨床の現場ではスポーツをしていない一般の方に多く発症し、決して珍しい疾患ではありません。
【鵞足炎を引き起こしやすい主な原因】
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スポーツによる過度な負担(オーバーユース)
陸上競技の長距離走(ランニング・マラソン)、サッカー、水泳の平泳ぎなど、膝の曲げ伸ばしや方向転換を頻繁に行うスポーツでよく見られます。
特に、休息を十分に取らずに練習を繰り返すことで発症リスクが高まります。
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太ももの筋肉(ハムストリングスなど)の柔軟性低下
運動前のウォーミングアップや運動後のストレッチ不足により、太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)や内ももの筋肉が硬くなっていると、鵞足部に過剰な牽引力がかかり、摩擦が起きやすくなります。
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身体的特徴(X脚・扁平足)
両膝が内側に入りやすい「X脚」の方や、土踏まずが潰れて足首が内側に倒れこむ「扁平足(回内足)」の方は、歩行時やランニング時に膝の内側に引っ張られるようなストレスが集中しやすいため、鵞足炎のリスクが高くなります。
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合わない靴の着用や硬い路面での運動
クッション性の乏しい靴を履いていたり、アスファルトなどの硬い路面を走り続けたりすることも、膝への衝撃を強め、発症の引き金となります。
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変形性膝関節症に伴う二次的な発症
変形性膝関節症が進行してO脚に変形してくると、歩行時のバランスが崩れ、膝を支えようと周囲の筋肉に無理な負担がかかります。
その結果として、二次的に鵞足炎を併発しているケースも中高年の方にはよく見受けられます。
まつもと整形外科における鵞足炎の治療法
当院では、鵞足炎に対して多角的なアプローチで治療を行っています。
症状の強さや患者様の生活背景(スポーツの大会が近い、仕事でどうしても歩く必要がある、ご高齢で歩行も困難など)に合わせて、最適な治療法をご提案いたします。
1. 安静・アイシングと内服・外用薬による保存療法
まずは、痛みの原因となっている動作(ウォーキング、ランニングなどのスポーツ)を休止し、局所の安静を保つことが基本です。
炎症が強く熱感がある場合はアイシングを行います。同時に、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の飲み薬や湿布などの貼り薬を処方し、辛い痛みを和らげます。
2. 即効性と正確性を追求した「エコーガイド下ステロイド注射」
強い痛みが持続している場合や、早く痛みを取り除きたい場合、当院では「エコーガイド下ステロイド注射」を実施しています。
従来の注射は、医師が指で押して痛い場所を探り当て、経験と感覚を頼りに注射針を刺す「ブラインド注射」が一般的でした。
しかし、鵞足部の滑液包や腱の周囲は数ミリ単位の非常に狭い空間であり、手探りでは正確に薬液を届けることが難しいケースもありました。
そこで当院では、最新の超音波(エコー)画像診断装置を使用します。
エコーを使うことで、皮膚の下にある筋肉、腱、炎症を起こして腫れている滑液包、さらには神経や血管の位置をリアルタイムでモニターに映し出すことができます。
この画面を直接見ながら、炎症のど真ん中(ターゲット)に数ミリの狂いもなくピンポイントで針先を進め、微量のステロイド剤と局所麻酔薬を注入します。
エコーガイド下注射の最大のメリット
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圧倒的な効果の高さ: 炎症部位に直接かつ確実に薬液が届くため、一度の注射で劇的に痛みが改善することが多くあります。
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安全性の確保: 血管や神経、健康な腱を針で傷つけるリスクを極限まで減らすことができます。
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薬液の最小化: 的確な場所に注入できるため、ステロイドの使用量を最小限に抑えることができ、副作用のリスクを低減できます。
「注射は痛いし怖い」というイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、当院では細い針を使用し、エコーを用いて安全かつ迅速に処置を行いますのでご安心ください。
3. 再発を防ぐための専門的なリハビリテーション
注射や薬で痛みが取れたとしても、「なぜ鵞足炎になったのか」という根本的な原因(筋肉の硬さ、身体の使い方、足のバランスなど)を解決しなければ、スポーツや日常生活に復帰した際に高確率で再発してしまいます。
当院には国家資格を持った理学療法士が多数在籍しており、患者様お一人おひとりの姿勢や歩き方、関節の柔軟性を細かく評価します。
その上で、硬くなっているハムストリングスや股関節周囲筋の入念なストレッチ指導、筋力強化トレーニング、正しい体の使い方(フォーム指導)を行い、痛みの出にくい体づくりをサポートします。
4. インソール(足底板)の処方
扁平足や過回内など、足の骨格的な崩れが鵞足炎の根本原因となっている場合は、靴の中敷きである「インソール(足底板)」の作成をご提案します。
当院では、専門の義肢装具士が患者様の足の型を採り、オーダーメイドでインソールを作成します。
足元からバランスを整えることで、膝の内側にかかるストレスを大幅に軽減することが可能です。
おわりに
膝の内側が痛くなる「鵞足炎」は、変形性膝関節症と間違われやすく、また「ただの筋肉痛だろう」と放置されがちな疾患です。
しかし、適切な診断と治療、そして根本原因にアプローチするリハビリテーションを組み合わせることで、確実な改善が見込めます。
「久留米市で膝が痛い」「スポーツ中に膝の内側が痛む」「階段の昇り降りが辛い」とお悩みの方は、ぜひ一度「まつもと整形外科」へご相談ください。
私たちが、皆様の痛みを取り除き、再び笑顔で歩ける・走れる日常を取り戻すためのサポートを全力でさせていただきます。
当院には国家資格を持つ理学療法士·作業療法士·柔道整復師が計32名在籍しています。
患者さま一人ひとりに合った専門性の高いリハビリメニューを提供させていただきます。
ご不明な点などありましたら、お気軽にご相談ください!















