こんにちは!久留米市安武町にある「まつもと整形外科」、理学療法士の中尾です。
今回は半月板損傷についてお話します。
半月板損傷は若い方でスポーツ時の外傷が多く高齢になると些細な怪我やバランスを崩すだけでも損傷してしまうことがある疾患です。また症状や程度によっては手術も必要になることがあります。そのため膝の痛みが続くようであれば早めに医療機関を受診しましょう。
半月板損傷とは
膝の半月板という軟骨に強い衝撃や大きな負荷がかかってしまい亀裂が生じたり、欠けてしまった状態を半月板損傷といいます。
半月板とは膝関節内にある軟骨のことで役割としては膝にかかる荷重の分散や安定化、衝撃を吸収する役割を持ちます。
半月板損傷の原因
半月板損傷の原因は主に2種類あり外傷によるものと加齢によるものがありますが、膝への強い衝撃や大きな負担が原因となることがほとんどです。
・外傷の場合
スポーツ中の怪我や靭帯損傷と合併して起こる場合もあります。特に膝に体重がかかっている状態でひねったり強い衝撃が加わることで発症することが多いです。
・加齢の場合
加齢により半月板のクッション性が低下し些細な怪我や日常生活動作でも損傷してしまうことがあります。
半月板損傷の症状
半月板を損傷している場合次のような症状が現れます。
・膝が腫れる
・歩行時や階段の昇降時に膝の内側、もしくは外側に痛みが生じる
・膝をまっすぐに伸ばせない
・正座やあぐらができない
・曲げ伸ばしのときに引っかかる感じがある
など
また重症化すると水が溜まったり、激痛により歩行が困難になることもあります。
治療
症状によって必要な治療にも違いがあり軽症であれば保存療法、重症であれば手術療法を医師によって検討されます。
保存療法
軽症であれば手術を行わず安静にして鎮痛剤や炎症を抑える効果のある薬を注入したり、テーピングや装具などを使用し痛みを和らげるためのリハビリを理学療法士、作業療法士によって行います。
保存療法におけるリハビリについて
痛みによる膝関節周りの筋肉のこわばりや靭帯などの硬さが関節の動きを妨げることがあります。リハビリでは膝関節周りの筋肉を柔らかくし膝の曲げ伸ばしが円滑に行えるようにします。また半月板の損傷により筋力が衰えている場合があるので膝を伸ばす筋肉や歩行に必要な筋肉の運動を実施します。
その他にも膝以外の関節が負担を掛ける場合もあるので足首の関節、太ももの付根の関節の状態も確認しながら行います。
手術療法
痛みが長引いた場合や歩行が困難になるほどの激痛を伴う場合は半月板を切除したり、縫合する手術を行うことも考えられます。リスクとしては切除することでクッションが少なくなり変形性膝関節症になりやすくなってしまったり、縫合後は膝に負担をかけないようにするため筋力が低下してしまう事が考えられます。
手術後のリハビリについて
半月板を切除する場合は変形性膝関節症になるリスク、縫合術の場合は縫合した部位の再断裂のリスクが考えられるためリハビリテーションをしっかり行うことが大切です。個人差はありますが縫合したあとは3〜4週間程度は松葉杖を使い足に体重をかけないようにし再び断裂することがないようにする必要があります。松葉杖の期間中は足に体重をかけないため筋力が落ちてしまいます。そのため膝の運動だけでなく股関節、足首の関節、お腹や背中の筋肉の運動も行いながら歩行の練習などを行っていきます。
自宅でできる運動
保存療法の場合は夜間痛や膝の周りの熱が収まってから自宅で行ってください。
膝を曲げるストレッチ
方法:上の図のように痛みのある方の足を伸ばし(両足とも伸ばし背中を壁にもたれても構いません。)、両手で太ももを持ち、下の図のようにゆっくり膝を曲げていきます。ゆっくり10秒程度かけて行ってください。
注意点:
・伸ばした足のつま先が左右に倒れないように天井に向けましょう。
・痛みのない範囲動かしましょう。
・膝を伸ばす筋肉の運動
この運動は太ももの前面の筋肉の運動で、膝の裏に丸めたタオルをはさんで行います。
方法:図のように痛みのある方の足を伸ばし(難しければ両足とも伸ばし背中を壁にもたれても構いません。)膝裏に枕を丸めてはさみます。膝裏のタオルをベッドへ押し付けるようにします。そのときに太ももの前面に力が入るようにします。膝裏でタオルを5秒間押し付ける→緩める。これを10回程度行います。
注意点:
・膝のお皿は左右に向かないように天井を向くようにしましょう。
・太ももの前面に力を入れるようにしましょう。