目次
【6月の農繁期】久留米市で長靴や安全靴による足の裏の痛みに悩む方へ!整形外科専門医が教える原因と対策
【執筆】
この記事は、福岡県久留米市安武町の「まつもと整形外科」院長 松本淳志(整形外科専門医)が執筆しています。
整形外科疾患、交通事故によるむちうちやケガの治療、リハビリテーションについて、医学的な見地から正しい情報をお届けします。
はじめに
筑後平野の肥沃な大地が広がる福岡県久留米市。
6月は、黄金色に色づいた麦の刈り取りと、水田への田植えがピタリと重なり、さらに特産のスイートコーンや枝豆などの夏野菜の収穫も本格化する、一年で最も活気にあふれる「農繁期」です。
これまで、農作業による腰や膝の痛み、手首の腱鞘炎について解説してまいりましたが、実はまつもと整形外科の診察室でこの時期に密かに増えるお悩みがあります。
それが「長靴や安全靴での作業による、足裏や踵(かかと)の痛み」です。
腰や手首と比べると見落とされがちですが、不安定な泥の中を歩き回り、重い荷物を支える「足の裏」には、想像を絶する負荷がかかっています。
今回は、久留米市の農繁期に多発する農作業用の長靴・安全靴が引き起こす足裏の痛みの原因と、まつもと整形外科での専門的な治療について、整形外科専門医が詳しく解説いたします。
農作業用の長靴・安全靴が引き起こす「足底腱膜炎」とは?
農作業に欠かせないゴム長靴や安全靴ですが、実は整形外科の視点から見ると、足裏にとって非常に過酷な履物です。
私たちの足の裏には、踵から足の指の付け根に向かって「足底腱膜(そくていけんまく)」という強靭な組織が張っており、歩行時の衝撃を吸収するサスペンションの役割を果たしています。
しかし、長靴や安全靴での作業は、このサスペンションを破壊する2つの大きな原因を抱えています。
1. 長靴による「足の指の踏ん張り」と疲労
ゴム長靴の最大の弱点は「靴底が平らで、クッション性やアーチ(土踏まず)のサポートがほとんどない」という点にあります。
さらに、ぬかるんだ田んぼや、トラクターの轍(わだち)で凸凹になった畑など、踏ん張りが効かない不安定な足場では、無意識のうちに足の指をギュッと曲げて靴の中でバランスをとろうとします。
この状態が何時間も続くことで、足の裏には負担がかかり、足底腱膜が極度に緊張します。
2. 安全靴による「硬い靴底」からのダイレクトな衝撃
草刈りや重機の運転、肥料の運搬などで多く履かれる「安全靴」も、足裏には大きな負担となります。
つま先を守る鉄芯が入って重いうえに、踏み抜き防止の硬い靴底(ソール)が採用されているため、足本来の柔軟な動きが制限されます。
その結果、硬い農道やコンクリート、トラクターのステップなどを踏み込むたびに、踵に強烈な衝撃がダイレクトに突き上げます。
これらの負担が蓄積すると、足底腱膜と踵の骨の付着部に細かな断裂や炎症が起こります。
これが「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」と呼ばれる痛みの正体です。

見逃してはいけない足裏からのSOSサイン
足底腱膜炎の特徴は、以下のような特有の症状として現れます。
-
朝、起きて布団から立ち上がった「最初の一歩目」に、踵の周りに鋭い痛みが走る。
-
長靴や安全靴を脱いで休憩したあと、歩き始めるときに足裏がピキッと痛む。
-
足の裏がつっぱっているような違和感や、土踏まずのあたりがジンジンと痛む。
歩いているうちに少しずつ痛みが和らいでくることが多いため、「そのうち治るだろう」と我慢して農作業を続けてしまう方が少なくありません。
しかし、炎症を放置したまま過酷な作業を繰り返すと、踵の骨に「骨棘(こつきょく)」というトゲのような変形が生じ、歩くことすら困難な激痛に変わってしまう恐れがあります。
明日からの農作業で実践できる足裏の痛み予防策
大切な農作物を守るため、農繁期は作業を止めるわけにはいきません。
だからこそ、靴の環境を改善し、足の裏をケアすることが重要です。
長靴は元々ゆとりのある作りになっているため、インソールを入れることで足が靴の中で滑るのを防ぎ、無駄な踏ん張りを減らす効果もあります。
(※すでにサイズがぴったりの靴の場合は、足の甲が窮屈にならないようインソールの厚みを調整してください。)
特に底の硬い安全靴には必須のアイテムです。
・ふくらはぎとアキレス腱の入念なストレッチ
足の裏の組織は、アキレス腱やふくらはぎの筋肉と深く連動しています。
作業の前後や休憩中に、アキレス腱をしっかりと伸ばすストレッチや、ふくらはぎを優しく揉みほぐすことで、足裏の緊張も同時に和らげることができます。
※過度にやりすぎると痛みの原因となるのでご注意下さい。
まつもと整形外科での専門的な治療とリハビリテーション
もし「朝の一歩目が痛い」「踵が痛くて歩けない」という場合は、決して放置せず、お早めにまつもと整形外科へご相談ください。
まつもと整形外科では、日本整形外科学会認定の整形外科専門医が、レントゲン検査や超音波(エコー)検査を用いて、足の裏の炎症の程度や踵の骨の変形(骨棘など)を正確に診断します。
1. 症状に合わせた適切な内服・外用治療
痛みの程度や患者さまのライフスタイルに合わせて、最適な消炎鎮痛剤(飲み薬)や湿布などの外用薬を処方します。
まずは足底腱膜に起きている炎症をしっかりと抑え込み、日常生活の負担を減らします。
2. 即効性と安全性の高い「エコーガイド下ステロイド注射」
痛みが非常に強く、どうしても農作業を休めない、歩くのも辛いといった重症例には、「エコーガイド下ステロイド注射」が非常に有効です。超音波(エコー)画像を用いて、足底腱膜の厚みや炎症部分をリアルタイムでモニター画面で確認しながら針を進めます。
これにより、周囲の神経や血管を安全に避けつつ、炎症の最も強いピンポイントな位置へミリ単位の正確さで薬液を注入できるため、極めて高い即効性と安全性が期待でき、多くの場合で劇的に踵の痛みが和らぎます。
さらに、まつもと整形外科では、一時的にお薬や注射で痛みを抑えるだけでなく、根本改善を目指すお薬だけに頼らない「専門的なリハビリテーション」に非常に力を入れています。

32名の専門スタッフによる徒手療法(マッサージ)と動作指導
まつもと整形外科には、国家資格を持つ理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が32名在籍しており、230平方メートルにおよぶ広々とした地域最大級のリハビリテーション室を完備しています。
リハビリテーションでは、足の裏だけではなく、足の裏の痛みに関連する「ふくらはぎ」や「足首」のガチガチに固まった筋肉を、電気治療などの物理療法に加え、セラピストの手による丁寧なマッサージ(徒手療法)でしっかりと揉みほぐします。
過酷な農作業で蓄積した疲労物質を流し、血流を改善することで、足裏の痛みを根本から解きほぐしていきます。
また、不安定な泥の中や硬い安全靴でも足裏に負担をかけにくい立ち方、ご自宅で簡単にできる足底のストレッチ方法もマンツーマンで指導いたします。
「久留米市の農業を支える皆さまの健康を守るために」
6月の農繁期は、久留米市の豊かな食卓と産業を支えるために欠かせない大切な時期です。
しかし、無理を重ねて歩けなくなってしまっては元も子もありません。
まつもと整形外科は、単に痛みを抑えるだけの医療機関ではなく、地域の皆さまの「健康をプロデュースする企業」として、農業の最前線でご活躍される皆さまが、いつまでもご自身の足で力強く大地を踏みしめ、元気に仕事が続けられるよう全力でサポートすることを使命としています。
足の裏や踵に少しでも違和感を感じたら、我慢をなさらず、どうぞお気軽にまつもと整形外科へご相談ください。
よくある質問
Q1. 毎朝、ベッドから起きて歩き出すときの最初の一歩が踵に響いて痛いです。これも長靴や安全靴が原因でしょうか?
A1. はい、それは「足底腱膜炎」の最も典型的な症状です。寝ている間に足裏の筋肉が縮こまって硬くなり、朝一番に体重がかかった瞬間に強く引き伸ばされることで激しい痛みが出ます。農繁期にサポート力のない長靴で泥の中を歩き回ったり、底の硬い安全靴で作業を続けたりすることで、足底に疲労と炎症が蓄積していることが大きな原因です。放置すると悪化するため、お早めにまつもと整形外科を受診されることをお勧めします。
Q2. 長靴や安全靴に入れるインソール(中敷き)は、どのようなものを選べば良いですか?
A2.最も確実でおすすめなのは、整形外科でご自身の足の形に合わせて作成する「オーダーメイドの医療用インソール(足底装具)」です。
足のアーチ(土踏まず)の高さや体重のかかり方、痛みの出方は患者さま一人ひとりで全く異なります。まつもと整形外科では、医師の正確な診断のもと、義肢装具士が患者さまの足の型を採り、長靴や底の硬い安全靴の環境にピタリと合う専用のインソールを作成いたします(※医師の処方に基づくため、各種医療保険が適用されます)。
市販のインソール(かかとにクッション性があるもの等)で一時的に代用することも可能ですが、万が一ご自身の足の形に合っていないと、かえって特定の部位に負荷がかかり痛みを悪化させてしまうケースもあります。根本的に足裏の負担を減らし、長時間の農作業を快適に続けるためにも、まずは当クリニックでご自身の足に最適なオーダーメイドインソールを作成されることを第一にお勧めいたします。
Q3. 足の裏が痛いときは、お風呂で温めてマッサージした方が良いですか?それとも冷やした方が良いですか?
A3. 痛みの状態によって異なります。農作業の直後で足の裏がジンジンと熱を持っているような「急性期(強い炎症が起きている状態)」は、氷水や保冷剤で冷やした方が痛みが和らぎます。一方で、何日も続くような慢性的な重だるい痛みや、朝方のこわばりが強い場合は、お風呂でしっかりと温めて血流を良くし、ふくらはぎから足の裏にかけて優しくマッサージをすると効果的です。判断に迷う場合は、まつもと整形外科で適切なケア方法を丁寧にお伝えいたします。
当院には国家資格を持つ理学療法士·作業療法士·柔道整復師が計32名在籍しています。
患者さま一人ひとりに合った専門性の高いリハビリメニューを提供させていただきます。
ご不明な点などありましたら、お気軽にご相談ください!
【参考文献】
・高齢農作業者に対する腰痛予防に関する研究,高氏 涼太, 河野 奈美
【関連ブログ】
・【久留米市の整形外科】久留米市で腰・膝・首の痛みに悩む方へ!整形外科専門医が教える原因と対策【6月の農繁期-第1弾-】
・【久留米市の整形外科】久留米市で手首の痛みや腱鞘炎に悩む方へ!整形外科専門医が教える原因と対策【6月の農繁期-第2弾-】















