運動器健診でわかること〜子どもの未来の健康を守る第一歩〜

福岡県久留米市安武町にある「まつもと整形外科」

こんにちは !

久留米市安武町にある整形外科クリニック まつもと整形外科 院長 松本淳志です

運動器健診でわかること〜整形外科受診とリハビリで、子どもの健やかな成長をサポート〜

毎年、小学校などで実施される「運動器健診」。この健診は、子どもの骨・関節・筋肉といった“運動器”に異常がないかを調べる大切な機会です。

近年、スマートフォンやパソコン、ゲーム機の普及など外遊びの減少により、姿勢の崩れや運動機能の低下が目立つ子どもが増えてきました。その一方で、痛みを我慢していたり、周囲が気づかないまま成長期を過ごしてしまうケースも少なくありません。

今回は、運動器健診で何がわかるのか、どんなサインが見逃せないのか、そして整形外科受診・リハビリによって何ができるのかをご紹介します。


「運動器健診」ってどんなもの?

運動器健診は、2016年度から文部科学省の指針により全国の小学校で本格的に導入されました。子どもたちの運動器(骨・関節・筋肉・神経など)に関する異常を早期に発見することが目的です。

成長期は体のバランスが急激に変化する時期です。見た目は元気そうでも、姿勢の崩れや関節の異常、痛みの我慢など、本人も気づかないうちに異常が進行していることもあります。


健診でチェックされるポイント

1. 姿勢や背骨・腰骨のゆがみ(側弯症など)

後ろ姿や体の傾き、肩や肩甲骨の高さから背骨の変形(側弯)があるかを確認します。

放置してしまうと、将来的に外観的な異常だけではなく、腰痛・肩こり・集中力の低下につながることも。

側弯変形が心理的ストレスを引き起こす原因となることがあります

▶整形外科では、レントゲンで正確な診断が可能です。


2. 関節の動きや左右差

腕や脚の曲げ伸ばしがスムーズに行えるか、左右差がないかを確認します。

関節の痛みや不安定さは、成長期の関節障害や外傷のサインかもしれません。

理学療法士による評価と、関節を保護するリハビリが有効です。


3. 筋力やバランスの確認

片脚立ちやしゃがみこみの姿勢などから、体幹の安定性やバランス能力をチェックします。

つまづきやすさ、運動のぎこちなさには注意が必要です。

▶筋力トレーニングやバランス指導をリハビリで行うことで、運動機能の向上が期待できます。


こんなサインは見逃さないで

日常生活で次のような様子が見られたら、整形外科の受診をおすすめします。


・リュックがいつも片方だけずり落ちる

・体育のあとに足の痛みを訴える

・よく転ぶ・つまずく

・肩の高さが左右で違う

・長時間の座位で姿勢が崩れる

・「痛いけど我慢してる」と言う


これらは、成長期の体に無理がかかっているサインかもしれません。早めの受診が、お子さまの将来の運動能力を守る第一歩です。


こんなサインは見逃さないで
成長期の体に無理がかかっているサインかも

整形外科でできること

当院では、運動器健診後の精密検査やリハビリテーションに対応しています。


● レントゲンや超音波による精密な診断

外観的には異常がないようでも、目では見えない関節や骨の状態をレントゲンで正確に評価します。

▶側弯症や関節の異常も見逃しません。


● 理学療法士による個別リハビリ

お子さま一人ひとりの状態に応じたストレッチや体幹トレーニングを行います。

▶正しい姿勢や歩き方の習得をサポートします。


● ご家族への運動指導・生活アドバイス

ご家庭でできる簡単な運動や、正しい座り方・立ち方のポイントも丁寧にお伝えします。


リハビリが子どもの将来を変える

成長期の運動器の異常は、リハビリによって改善できる可能性もあります例えば、以下のような成果が見られます。


・側弯傾向のある子どもが、ストレッチと体幹トレーニングで姿勢が改善

・運動嫌いだった子が、バランス練習を通じて体育が楽しくなった

・足の痛みが続いていた子が、リハビリと靴の見直しで症状軽減


こうした変化は、子どもの自信や意欲にも良い影響を与えます。


リハビリが子どもの将来を変える
リハビリによって改善できる可能性もあります


健診後、案内があったら早めに受診を

運動器健診の結果、「整形外科の受診をおすすめします」といった通知が届いた場合、放置せず早めに整形外科を受診してください。

当院では、土曜日に脊椎外来も実施しておりますので、平日に時間がとれない方も安心してご来院いただけます。


まとめ:運動器健診は“未来の健康診断”

運動器健診は、お子さまの未来の姿勢・運動能力・生活の質を守るための“予防”の第一歩です。


もし健診で気になる結果が出たら、整形外科を受診し、必要に応じたリハビリを受けることで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。


「まだ小さいから大丈夫」ではなく、「今だからこそ整えておく」ことが大切です。


お子さまの成長を、医療とリハビリの力で一緒に支えていきましょう。


【参考文献】

・全国ストップザロコモ協議会,学校保健における運動器検診 https://sloc.or.jp/?page_id=151

2025年05月06日
著者
執筆者 松本 淳志
まつもと整形外科 院長
<経歴>
福岡大学医学部卒
済生会福岡総合病院
九州大学病院
九州医療センター
福岡赤十字病院
<保有資格>
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本フットケア学会認定フットケア指導士
<所属学会>
日本整形外科学会
日本感染症学会
日本フットケア・足病学会
院長 松本 淳志