こんにちは
久留米市安武町にある整形外科クリニック まつもと整形外科 院長 松本淳志です
今回は、オスグッド病克服への道を探るために、効果的なリハビリ法や再発予防法について詳しく解説します。スポーツをする成長期の子供にみられるオスグッド・シュラッター病はスポーツ障害で、その発症原因や治療法について理解することが重要です。
サッカーやバスケットボール、バレーボールのような膝への負担が大きいスポーツで多くみられます。男女比では男子に多いのが特徴です。スポーツ障害であるオスグッド病を理解し、リハビリテーションを通じて治療と予防を行うことが大切です。
オスグッド病は、正式には「オスグッド・シュラッター病」といいます。アメリカの整形外科医オスグッド氏と、スイスの外科医シュラッター氏が、別々にこの症例を学会に報告したことから名づけられました。
オスグッド・シュラッター病は、スポーツをする成長期の子どもたちに多く見られる膝の痛みを引き起こす病気です。
スポーツを行っている10歳~15歳の子供に発症します。病気は膝の下部、脛骨(すねの骨)の前面にある骨の隆起部分、オスグッド・シュラッター結節と呼ばれる部分で起こります。治療には安静や適切な運動、症状に応じたストレッチやリハビリが必要で、治療に時間を要する場合もあります。適切な対応と予防策を取ることで、スポーツを行う活発な子どもたちの膝痛を軽減させ、身体の成長をサポートすることができます。
オスグッド・シュラッター病は特にサッカーやバスケットボール、バレーボールなどのジャンプや膝の激しい動作が多いスポーツをしている成長期の子供に多く見られます。体育の授業で、縄跳びやマラソンの季節にもよくみられます。運動中に膝にかかる負荷が高まると、膝蓋靭帯(膝蓋腱)が脛骨前面の骨を引っ張ることで刺激となり、膝の痛みや腫れが生じます。痛みは通常、運動を行っている間や運動後に感じられます。適切な治療と安静を取ることで膝の痛みを緩和させることが可能です。
オスグッド・シュラッター病の主な症状は、膝の下部にある脛骨前面の痛みと腫れです。運動やジャンプを行った際に特に痛みを感じます。また、膝を曲げる動作でも痛みが生じることがあります。成長期の子供は、骨の成長に筋肉の成長が追いつかず、バランスが崩れてしまい、筋肉の柔軟性が落ちてしまいます。筋肉に強度と柔軟性がないため、スポーツなどの運動を過度に行なうと、大腿四頭筋から膝蓋骨を介してつながる膝蓋靭帯(膝蓋腱)に過度の負担がかかります。この膝蓋靭帯(膝蓋腱)が付着する脛骨粗面部に負荷がかかり、脛骨粗面に腫れや痛みが生じたり、軟骨が剥げたりします。適切なストレッチや筋力トレーニングを行うことで、筋肉や腱の柔軟性を高め、症状の改善や予防に繋がります。
オスグッド・シュラッター病の診断は、まず医師の診察によって症状を確認します。その後、レントゲン検査を行い、脛骨前面(脛骨粗面)の骨の変化や損傷を調べます。正確な診断を行うことで、適切な治療法や運動療法を選択し、症状を改善することが期待できます。また、定期的に診察を受けることで、症状の進行や改善状況を確認し、必要に応じて治療計画を見直すことが重要です。
・運動後に膝蓋骨の下(お皿の下)が痛くなる
・膝を深く曲げると、膝蓋骨の下(お皿の下)が痛くなる
・膝を床に着くと膝蓋骨の下(お皿の下)が痛くなる
・膝蓋骨の下(お皿の下)が出っぱり始めた
オスグッド・シュラッター病は、大腿四頭筋が膝蓋骨を介して膝蓋靭帯(膝蓋腱)となり、膝蓋靭帯(膝蓋腱)が付着する脛骨粗面を過度に引っ張ることで、脛骨粗面に痛みや腫れが生じます。特にスポーツをする成長期の子供(特に男児)が発症しやすいため、治療と予防のために適切なリハビリテーションが必要です。
まずは安静とアイシングで腫脹と疼痛の軽減を図ります。次に柔軟性を高めるストレッチを行い、徐々に筋力トレーニングを再開します。特に、大腿四頭筋やハムストリングス、股関節の筋力と柔軟性を強化することが大切です。さらに、骨盤の姿勢や足首の柔軟性にも注意しながら、全身のバランスを整えることが大切です。
リハビリテーションは整形外科専門医や理学療法士の指導のもと、適度なペースで行い、無理のない範囲でスポーツ復帰を目指します。また、再発防止のため、継続的な筋力トレーニングやストレッチが勧められます。
筋力強化とストレッチは、スポーツを行う上で非常に重要な要素です。まず、筋力強化により関節や身体を支える筋肉のバランスが整い、怪我を予防することができます。また、筋力が向上することで動作効率やパフォーマンスも向上し、疲労の蓄積を抑えることができます。
ストレッチは、筋肉や腱の柔軟性を高める効果があります。柔軟性が向上することで関節可動域が広がり、筋肉の働きが良くなります。また、筋肉の緊張を和らげることで筋肉痛や疲労の回復も促進されます。
これらの効果により、筋力強化とストレッチは、スポーツ選手にとって怪我の予防やパフォーマンス向上に役立ちます。定期的に取り組むことで、スポーツを長く楽しむことができます。
オスグッド病の治療において重要なポイントのひとつが、柔軟性と筋肉バランスの改善です。柔軟性を高めることで、筋肉や腱にかかる負担が軽減され、痛みの原因となる炎症が抑えられます。一方、筋肉バランスの改善は、関節の安定性を高めることにつながり、再発予防に効果的です。
具体的な方法としては、ストレッチや筋力トレーニングが挙げられます。特に、太ももの前面(大腿四頭筋)と後面(大腿二頭筋)の筋肉を柔らかくするストレッチが効果的です。また、股関節や骨盤の周りの筋肉を鍛えるトレーニングも、筋肉バランスを整えるのに役立ちます。
さらに、スポーツ時のフォームや姿勢を見直すことも大切です。例えば、サッカーや野球、バスケットボールなど、ジャンプやダッシュが多いスポーツでは、正しいフォームで動作を行うことが、膝の負担を軽減し、症状の改善に繋がります。
ただし、過度な運動やストレッチは逆効果となることがあるため、整形外科専門医や理学療法士の指導を受けながら、適切な方法で取り組むことが望ましいです。
オスグッド病のリハビリ期間は個人差がありますが、症状の改善や安定が確認されるまで、スポーツへの復帰は慎重に進めるべきです。復帰時には、痛みが軽減するだけではなく、筋肉や腱、関節の柔軟性が改善していることが重要です。
復帰後は、過度な負荷を避け、筋力や柔軟性のメンテナンスに努めることが望ましいです。また、スポーツシーズン中や急激に活動量が増える時期には、再発防止のためにも、練習の強度や頻度を適切に調整することが大切です。その際には、コーチやトレーナーと相談しながら進めるのが望ましいでしょう。
さらに、症状が悪化したり、再発の兆候が見られた場合は、速やかに医療機関を受診し、診察を受けることが重要です。適切な診断と治療によって、スポーツへの復帰がスムーズに進むことが期待できます。
オスグッド病のリハビリを成功させるポイントは、柔軟性と筋肉バランスの改善、適切なリハビリ期間と復帰への注意点の理解です。具体的には、適切なストレッチや筋力トレーニング、スポーツフォームの見直しなどが効果的です。また、復帰後もメンテナンスに努め、過度な負担を避けることが重要です適切な指導のもと、症状の改善やスポーツへの復帰を目指しましょう。
まつもと整形外科はスポーツリハビリに力を入れています。スポーツによるケガでの早期診断、早期治療、早期スポーツ復帰に向けて、スポーツを専門とする理学療法士が治療を担当させていただきます。
詳細はこちら⇒まつもと整形外科ホームページ スポーツリハビリ
【参考文献】
・日本整形外科学会、オスグッド・シュラッター病 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/osgood_schlatter.html