【執筆】
この記事は、福岡県久留米市安武町の「まつもと整形外科」院長 松本淳志(整形外科専門医)が執筆しています。
整形外科疾患、交通事故によるむちうちやケガの治療、リハビリテーションについて、医学的な見地から正しい情報をお届けします。
はじめに:薄着になる夏、鏡を見て「O脚」が気になっていませんか?
7月に入り、久留米市でも本格的な夏の暑さが続いています。夏場はハーフパンツやスカートなど、脚のラインが出やすい薄着で過ごす機会が増える季節です。お出かけ前に鏡を見た際、あるいはふとガラスに映ったご自身の姿を見たときに、「両膝の間に隙間が空いている」「脚が外側に湾曲している」といったいわゆる「O脚(オーきゃく)」が気になったことはありませんか?
O脚は「見た目が悪い」という美容上の悩みとして捉えられがちですが、整形外科専門医の視点から見ると、決して見た目だけの問題ではありません。
実は、O脚は将来的に膝の痛みを引き起こす「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」の最も大きな原因(リスクファクター)の一つなのです。
今回は、O脚と変形性膝関節症の密接な関係性と、痛みを進行させないための具体的な治療・リハビリ法について詳しく解説いたします。
なぜO脚になるの?加齢と筋力低下のサイン
日本人は骨格的にもともとO脚になりやすい傾向があると言われていますが、年齢を重ねるにつれてO脚がさらに進行してしまうのには明確な理由があります。
最も大きな原因は、膝周りや股関節周りの「筋力低下」です。
特に、太ももの内側にある筋肉(内転筋)や、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)が衰えてくると、膝の関節をまっすぐに支えきれなくなります。
その結果、体重の負荷に負けて徐々に膝が外側へと押し出されるように湾曲し、O脚の角度が強くなってしまうのです。
また、長年の歩き方のクセや、猫背などの不良姿勢、骨盤のゆがみなども、脚のラインを崩す要因となります。
放っておくと進行する?O脚と変形性膝関節症の関係
O脚の状態のまま歩いたり立ったりしていると、膝の関節にはどのようなことが起きるのでしょうか。
脚がまっすぐであれば、体重の負荷は膝関節の「内側」と「外側」に均等に分散されます。
しかし、O脚になると体重の重心が「膝の内側」に偏ってしまいます。
この状態が何年も続くことで、膝の内側にあるクッションの役割を果たす半月板や軟骨がすり減り、最終的には太ももの骨とすねの骨が直接ぶつかり合って痛みや炎症を引き起こします。
これが、日本人に非常に多い「内側型の変形性膝関節症」のメカニズムです。
この疾患の恐ろしいところは、「痛みの悪循環」に陥りやすい点です。
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膝の内側が痛むため、無意識に痛みをかばう歩き方になる。
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脚を動かす機会が減り、さらに太ももの筋力が低下する。
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筋力が低下することで関節が不安定になり、O脚がさらに進行する。
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O脚が悪化し、軟骨がより一層すり減って痛みが強くなる。
夏場は旅行やお盆の帰省などで歩く機会が増えるため、この悪循環によって急激に膝の痛みが悪化し、整形外科に駆け込まれる方が後を絶ちません。

まつもと整形外科で行う膝関節への専門的な治療アプローチ
変形性膝関節症は、一度すり減ってしまった軟骨を自然に元の状態に戻すことはできません。
そのため、「いかに早く進行を食い止め、痛みをコントロールするか」が治療の最大の目標となります。まつもと整形外科では、患者さまの進行度に合わせて以下のような治療を組み合わせています。
薬物治療と物理療法
痛みが強い急性期や、膝に水が溜まっているような時期には、まず「関節内の炎症を落ち着かせる」ことが最優先です。
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内服薬、外用薬
患者様の痛みの程度や体質に合わせて適切なお薬を処方します。
飲み薬としては、痛みや炎症をすばやく抑える「ロキソニン」や「ボルタレン」、胃への負担が少ない「セレコキシブ」などの消炎鎮痛薬を基本とします。
また、患部に直接作用する外用薬(湿布や塗り薬)も併用し、特に痛みが強い場合には、変形性関節症に対して非常に高い鎮痛効果を持つ「ロコアテープ」などを処方します。
これらで効果が乏しい慢性的な強い痛みには、より鎮痛効果の高い「トラムセット」や「ツートラム」を用いてしっかりと痛みをコントロールします。
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注射療法
症状に応じて、膝関節に直接注射をおこないます。
すり減った軟骨の働きを補い、関節の動きをなめらかにする「ヒアルロン酸注射」が一般的ですが、膝に水が大きく溜まっている(関節水腫)など、強い炎症が起きている場合には、水を抜いた上で強力な抗炎症作用をもつ「ステロイド注射」をおこなうこともあります。
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物理療法
マイクロ波や超音波治療器で患部を深部から温めることで、こわばった膝周りの筋肉や靭帯の血流が改善し、関節の動きがなめらかになります。
また、低周波などの電気治療を併用することで、緊張した筋肉をしっかりとほぐし、痛みを伝える神経に作用してより効果的に痛みを和らげます。
装具療法/インソール
O脚が進行すると、歩くたびに体重の負荷が「膝の内側」ばかりに集中し、さらに軟骨がすり減るという悪循環に陥ってしまいます。
これを断ち切るために有効なのが、医療用の靴の中敷き(足底挿板:そくていそうばん)です。
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仕組みと効果
かかとの外側を少し高くした専用のインソールを使用することで、膝の内側にかかっていた偏った負荷を外側へと逃がし、脚の軸をまっすぐに近づけます。
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日常生活での手軽さ
普段履いている靴に入れるだけで済むため、意識せずとも歩行時や立ち仕事での膝への負担が大きく軽減されます。
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患者様に合わせたオーダーメイド
患者様の足の形やO脚の程度に合わせて、義肢装具士が型取りをしてオーダーメイドでご自身の足にぴったり合うものを作成します。(※医師の処方に基づくため、健康保険が適用されます)
手術を避けるための鍵!根本改善を目指すリハビリテーション
お薬や注射で一時的に痛みが和らいでも、O脚の原因である「筋力低下」や「歩き方のクセ」が改善されなければ、必ず痛みは再発し、最終的には人工関節の手術が必要になってしまいます。
まつもと整形外科が最も重要視しているのが「リハビリテーション」です。まつもと整形外科には、国家資格を持つ26名のリハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士)が在籍しており、一人ひとりの骨格や筋力に合わせたオーダーメイドのリハビリを提供しています。
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太ももの筋力強化
膝を安定させるための大腿四頭筋(特に内側広筋)や、脚を内側に引き寄せる内転筋を、関節に負担をかけない安全な方法で鍛えます。
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関節の可動域訓練
痛みをかばって硬くなってしまった膝関節や股関節の柔軟性を取り戻し、スムーズに曲げ伸ばしができるようにストレッチや徒手療法を行います。
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歩行指導
膝に負担の少ない正しい歩き方や、日常生活での立ち上がり方のコツを細かく指導し、変形性膝関節症の進行を根本から防ぎます。
膝の痛みやO脚の進行は「年齢のせいだから」と諦める必要はありません。久留米市周辺で膝の違和感にお悩みの方は、症状が進行して歩けなくなる前に、ぜひお早めにまつもと整形外科へご相談ください。
手術療法
お薬、注射、インソール、そしてリハビリテーションなどの「保存療法」を数ヶ月続けても痛みが和らがず、歩行や階段の昇り降りなど日常生活に大きな支障が出ている場合には、手術を検討することになります。
O脚を伴う変形性膝関節症の手術には、主に以下の2つの方法があります。
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骨切り術(高位脛骨骨切り術:HTO)
ご自身の関節を残す手術です。
すねの骨を切って角度を矯正し、O脚をまっすぐに近い状態(ややX脚気味)に直します。
これにより、傷んだ内側の軟骨にかかっていた負担を、まだ健康な外側の軟骨へと移動させます。
スポーツや力仕事を続けたい比較的お若い方(50〜60代)に適応されることが多い手術です。
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人工膝関節置換術(TKA / UKA)
すり減って変形してしまった軟骨と骨の表面を削り取り、金属でできた「人工関節」に置き換える手術です。
痛みを劇的に取る効果が高く、O脚もまっすぐに矯正されます。変形が強く進行している高齢の患者様に行われることが一般的です。
まつもと整形外科でのサポート体制
当院では、レントゲン等の検査で膝の状態を正確に診断し、手術が必要と判断される患者様には、近隣の信頼できる連携病院(専門の手術施設)へご紹介いたします。
また、病院での手術・退院後は、再び当院に通院していただきながら、理学療法士とマンツーマンで「術後のリハビリテーション」を継続して行うことが可能です。
手術からその後の生活復帰まで、しっかりとサポートさせていただきます。

よくある質問(Q&A)
Q1. O脚だと将来ひざが痛くなる」と聞いたのですが、本当ですか?
A1. 必ずしも全員が発症するわけではありませんが、生まれつきO脚の方や骨格的に湾曲が強い方は、そうでない方に比べて膝の内側の軟骨がすり減りやすく、将来的に変形性膝関節症になるリスクが高いことは事実です。
痛みがまだない状態でも、まつもと整形外科で正しい歩き方や筋力トレーニング(リハビリ)の指導を受けておくことで、将来の痛みをしっかりと予防することができます。
Q2. 夏になり、冷房の効いた部屋から外に出ると膝が痛みます。これもO脚や軟骨のすり減りと関係がありますか?
A2. はい、関係している可能性があります。
冷房によって膝周りの血流が悪くなると、筋肉や関節を包む組織が硬くなります。そこにO脚による物理的な負担が加わることで、動かし始め(立ち上がりや歩き始め)に強い痛みが出やすくなります。
Q3. O脚を治したくて、ネットで見た膝を縛る体操やストレッチをしています。効果はありますか?
A3. 必ずしもO脚のすべての方が変形性膝関節症を発症するわけではありませんが、生まれつきO脚の方や骨格的に湾曲が強い方は、そうでない方に比べて膝の内側の軟骨がすり減りやすい傾向にあります。
そのため、将来的に変形性膝関節症になるリスクが高いことは事実です。
まだ痛みがない状態であっても、正しい歩き方や筋力トレーニング(リハビリ)の指導を受けておくことで、将来の膝の痛みをしっかりと予防することが可能です。
少しでも不安を感じられている場合は、お早めにご相談ください。
当院には国家資格を持つ理学療法士・作業療法士・柔道整復師が計32名在籍しています。
患者さま一人ひとりに合った専門性の高いリハビリメニューを提供させていただきます。
ご不明な点などありましたら、お気軽にご相談ください!
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