【玉突き事故・前編】玉突き事故の特徴と過失割合の仕組み、自賠責保険・任意保険の適用ルール|久留米で整形外科診療を行う まつもと整形外科

院長ブログ DIRECTOR

【玉突き事故・前編】玉突き事故の特徴と過失割合の仕組み、自賠責保険・任意保険の適用ルール|久留米で整形外科診療を行う まつもと整形外科
  1. Home
  2. >
  3. 院長ブログ
  4. >
  5. 【玉突き事故・前編】玉突き事故の特徴と過失割合の仕組み、自賠責保険・任意保険の適用ルール

【玉突き事故・前編】玉突き事故の特徴と過失割合の仕組み、自賠責保険・任意保険の適用ルール

【執筆】 

この記事は、福岡県久留米市安武町の「まつもと整形外科」院長 松本淳志(整形外科専門医)が執筆しています。
整形外科疾患、交通事故によるむちうちやケガの治療、リハビリテーションについて、医学的な見地から正しい情報をお届けします。

はじめに

 

交通事故の中でも、複数の車が連続して衝突する「玉突き事故」は、一般的な2台の車による事故とは異なる特有の複雑さを持っています。
突然の出来事にパニックになってしまい、誰に連絡すればいいのか、これからの治療費はどうなるのかと不安を抱えておられる方も少なくありません。
まつもと整形外科では、交通事故に遭われた患者さまが1日でも早く心身ともに健康な日常を取り戻せるよう、医学的なアプローチだけでなく、事故後の手続きに関する正しい知識の情報発信にも力を入れています。
そこで今回は、「玉突き事故の特徴について」というテーマで、全2回にわたって詳しく解説いたします。 

第1回となる今回は、玉突き事故特有の過失割合の仕組みや、自賠責保険・任意保険の適用ルール、そして生活を支える休業補償や慰謝料の基礎知識について詳しくお伝えします。

玉突き事故とは?その特徴と発生しやすい状況

 

玉突き事故とは、3台以上の車が縦一列に並んだ状態で、連続して追突を繰り返す事故のことを指します。
多くの場合、赤信号で停車している列の最後尾の車がブレーキを踏み遅れたり、前方を不注意で見落としたりして追突し、その衝撃で前の車がさらにその前の車に押し出される形で発生します。

玉突き事故の大きな特徴は以下の通りです。

  • 衝撃が予測できない
    停車中や減速中に不意に後ろから大きな衝撃を受けるため、防御姿勢が取れない。

  • 複数回の衝撃を受ける場合がある
    中間に挟まれた車は、後ろから追突された衝撃とその勢いで前方の車に衝突した衝撃の「2回の衝撃」を受けることがある。

  • 責任の所在(過失割合)が複雑になる
    どの車が最初に原因を作ったかによって、法律上の責任が大きく変わる。

特に高速道路や幹線道路、雨の日の視界が悪い時間帯、冬の路面凍結時などに発生しやすい傾向があります。

玉突き事故における「過失割合」の複雑な仕組み

 

交通事故の解決において避けて通れないのが「過失割合(事故に対する責任の割合)」の決定です。
一般的な追突事故(停車中の車に後ろから追突した場合)は、追突した側の過失が10割(100対0)となるケースがほとんどですが、玉突き事故では状況によって過失割合のパターンが異なります。

主要な3つのパターンを解説します。

パターン1:最後尾の車がすべての原因である場合(基本形)

 

先頭のA車、中間のB車がともに安全な車間距離を保って完全に停車していたところへ、最後尾のC車が減速せずに追突し、その勢いでB車がA車に押し出されて衝突したケースです。
この場合、事故の原因は全面的に最後尾のC車にあるとみなされます。
過失割合は「A車:0、B車:0、C車:10」となり、A車とB車の損害(お怪我の治療費や車の修理代など)はすべてC車が加入する保険から支払われます。

パターン2:中間の車が先に追突していた場合

 

先頭のA車が停車中、後ろのB車がブレーキの手遅れなどでA車にまず追突しました。
その直後、後ろから走ってきたC車がB車にさらに追突したというケースです。
この場合は、B車にも「A車に追突した責任」が生じます。
そのため、A車に対する賠償はB車とC車がそれぞれの加害行為に応じて分担することになり、過失割合の算出は非常に複雑になります。

 

パターン3:中間の車が車間距離を詰めていた場合

 

最後尾のC車がB車に追突し、B車がA車に押し出されたものの、B車がA車との車間距離を極端に詰めて停車していた、あるいはB車が走行中に急ブレーキを踏んだことが原因で玉突きになったケースです。
この場合、B車にも前方の安全不配慮や車間距離保持義務違反などの過失が一部(1割〜2割程度)認められる可能性があります。

このように、玉突き事故は「どの順番で、どのような衝撃が発生したか」によって過失割合が大きく変動するため、目撃者の証言やドライブレコーダーの映像といった客観的な証拠が極めて重要になります。


玉突き事故とは?その特徴と発生しやすい状況


自賠責保険と任意保険の適用:誰の保険を使うべきか?

 

玉突き事故でケガをした場合、治療費や慰謝料などの賠償金は誰に請求すればよいのでしょうか。
ここでも自賠責保険と任意保険の複雑な仕組みを理解しておく必要があります。

  • 自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)
     法律で加入が義務付けられている保険で、被害者の人身損害(ケガ)に対してのみ支払われる強制保険です。
    ただし、傷害分の補償限度額は被害者1人につき「最大120万円」と定められています。

  • 任意保険
    自賠責保険の120万円を超える損害や、車の修理代(物損)をカバーするためにドライバーが任意で加入する保険です。

先頭のA車や、過失のない中間のB車の同乗者がケガをした場合、基本的には「最後に追突してきたC車の任意保険会社」が窓口(一括対応)となり、治療費の手続きを進めることになります。
しかし、加害者が任意保険に加入していない場合や、過失割合で揉めていて相手方の保険会社が治療費の支払いを拒否・保留してきた場合は、適切に治療できるようにご自身が加入している任意保険を活用して「人身傷害補償保険」や「自賠責保険への被害者請求」を利用して、まずは治療費を確保する必要があります。

まつもと整形外科では、保険会社とのやり取りがスムーズに進まない場合でも、患者さまが治療を中断することなく安心して通院を続けられるよう、必要なアドバイスやサポートを行っています。

玉突き事故で請求できる「休業補償」「慰謝料」と初期対応

 

玉突き事故の強い衝撃により、首の痛み(むち打ち症)や腰痛、めまいなどが生じ、仕事を休まざるを得なくなった場合は、正当な権利として「休業補償(休業損害)」を請求することができます。
また、事故によって受けた肉体的・精神的な苦痛に対しては「入通院慰謝料」が支払われます。

これらには、国が定める自賠責保険の基準によって、以下のように具体的な補償額が定められています。

入通院慰謝料:1日あたり「4,300円」 

 

自賠責基準における入通院慰謝料は、対象となる日数1日につき4,300円と決められています(※実際の通院日数や治療期間によって正確な対象日数が計算されます)。
玉突き事故の衝撃でむち打ち症になり、まつもと整形外科へ定期的に通院された場合、この日額4,300円をベースとした慰謝料が補償されます。

休業補償(休業損害):原則1日あたり「6,100円」


事故のケガが原因で仕事を休んだ場合の補償です。
自賠責基準では原則として1日あたり6,100円が支給されます(※実際の減収がそれ以上であることを証明できる場合、規程の範囲内で最大日額19,000円まで増額可能です)。

専業主婦(主夫)の方も日額6,100円の対象になります

 

この休業補償は、会社員やパート、アルバイト、自営業者の方だけでなく、「専業主婦(主夫)」であっても請求が可能です。
「自分は収入がないから請求できない」と諦めてしまう方が非常に多いのですが、家事という労働を金銭的に換算し、自賠責基準である日額6,100円をもとに、ケガのために家事ができなかった期間の補償を受け取ることができますのでご安心下さい。

権利を守るための最も重要な初期対応

 

ここで非常に重要なのが、「事故直後に必ず整形外科を受診し、医師の診断を受ける」ということです。
玉突き事故から何日も経ってから受診すると、相手方の保険会社から「その首の痛みや腰痛は、本当に玉突き事故のせいですか?」「事故とは関係がない(因果関係がない)のではないか」と主張されてしまうリスクがあります。
最悪の場合、治療費だけでなく、日額4,300円の慰謝料や休業補償の支払いまでもすべて拒否されてしまうことになりかねません。

違和感や痛みがその時は軽く思えても、事故当日、遅くとも数日以内にはまつもと整形外科などの医療機関を受診することが、ご自身の健康を守り、正当な補償を受け取るための第一歩となります。


当院の強み:九州最大規模のリハビリテーション体制


【前編】よくある質問

 

Q1. 玉突き事故で真ん中の車(B車)に乗っていました。私の治療費は、先頭の車と後ろの車のどちらに請求すればよいですか?

 

A1. あなた(B車)が完全に停車しており、後ろの車(C車)の追突によって押し出されただけであれば、あなたに過失はありません。
そのため、治療費や慰謝料は、最後に追突してきた「最後尾の車(C車)の保険会社」に請求することになります。先頭の車(A車)に請求することはできません。

 

Q2. 事故直後は何ともなかったのですが、翌日になって首や背中が激しく痛んできました。今から病院に行っても自賠責保険は使えますか?

 

A2. はい、利用可能です。
玉突き事故のような不意の追突事故では、興奮状態で直後は痛みを感じにくく、翌日や数日後に「むち打ち症」の症状が強く現れることが非常によくあります。
事故から1週間〜2週間以上空いてしまうと、事故との因果関係を疑われて保険が使えなくなる恐れがあるため、痛みに気づいた時点で速やかにまつもと整形外科を受診してください。

Q3. 加害者の保険会社から「過失割合が決まるまで治療費は払えない」と言われました。どうすればよいですか?

 

A3. 玉突き事故では過失割合の協議に時間がかかることがあります。
その場合は、相手方の対応を待つのではなく、ご自身が加入している任意保険の「人身傷害特約(人身傷害補償保険)」を先に使って治療費を支払ってもらうか、ご自身で相手方の「自賠責保険」に直接治療費を請求する(被害者請求)という方法があります。
まずは治療を最優先するためにも、まずはまつもと整形外科へご相談ください。

 

 

👉当院のリハビリについて知りたい方はこちら

👉当院の交通事故治療について知りたい方はこちら

👉交通事故治療の制度について知りたい方はこちち

 

【お問い合わせ・ご予約はこちら】

お電話:0942-27-0755

(平日:9~13時、14時30分~18時 / 土曜:9時~13時)

駐車場:69台完備

 

【初診の方へ】交通事故治療を受けられる方はネット予約が可能です(24時間受付中)

 

慰謝料計算ツール

 

【久留米で整形外科をお探しの方へ】

まつもと整形外科では、整形外科専門医による診療、リハビリテーション、交通事故治療、骨粗しょう症治療など幅広い診療を行っています。

医院紹介や診療内容、診療時間などはトップページよりご覧いただけます。

👉久留米の整形外科「まつもと整形外科」トップページはこちら

 

【関連ブログ】

・【玉突き事故・後編】玉突き事故によるケガの特徴と、後遺障害・弁護士特約の活用法
【久留米市の整形外科】夜間や休日に交通事故に遭った場合の対処法:初動対応と翌日受診のメリット

著者

院長
松本 淳志 Atsushi Matsumoto

経歴

  • 済生会福岡総合病院
  • 製鉄記念八幡病院
  • 福岡市民病院
  • 九州大学病院
  • 九州医療センター
  • 福岡赤十字病院
  • 済生会八幡総合病院
  • 福岡青洲会病院

資格・所属学会

  • 日本整形外科学会 専門医(日本専門医機構)
  • 日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医
  • 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
  • 日本フットケア学会認定 フットケア指導士
  • インフェクションコントロールドクター
  • 身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)
  • 難病指定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本整形外科学会
  • 日本感染症学会
  • 日本フットケア・足病医学会