【玉突き事故・後編】玉突き事故によるケガの特徴と、後遺障害・弁護士特約の活用法|久留米で整形外科診療を行う まつもと整形外科

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【玉突き事故・後編】玉突き事故によるケガの特徴と、後遺障害・弁護士特約の活用法|久留米で整形外科診療を行う まつもと整形外科
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【玉突き事故・後編】玉突き事故によるケガの特徴と、後遺障害・弁護士特約の活用法

【執筆】 

この記事は、福岡県久留米市安武町の「まつもと整形外科」院長 松本淳志(整形外科専門医)が執筆しています。
整形外科疾患、交通事故によるむちうちやケガの治療、リハビリテーションについて、医学的な見地から正しい情報をお届けします。

 

はじめに

 

交通事故の形態の中でも、複数の車両が絡む「玉突き事故」は、身体にかかる負担が非常に大きいという特徴があります。
「軽い追突だと思ったのに、何ヶ月も痛みが引かない」「頭痛やめまいが続いて仕事に支障が出ている」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

「玉突き事故の特徴について」の解説シリーズ、第2回(最終回)となる今回は、玉突き事故によって引き起こされやすいケガの医学的な特徴や、なぜ後から痛みが悪化しやすいのか、そして万が一症状が残ってしまった場合に行う「後遺障害」の手続きや「弁護士特約」の活用法について詳しく解説します。

玉突き事故で多いケガの特徴:なぜ症状が深刻化しやすいのか?

 

玉突き事故における負傷で最も頻度が高いのが、「外傷性頸部症候群」、いわゆる「むち打ち症(頸椎捻挫)」です。
また、背部捻挫や腰椎捻挫(腰痛)、外傷性頚肩腕症候群、膝や胸部をダッシュボードやハンドルに強打する打撲や骨折も多く見られます。

なぜ玉突き事故では、通常の2台の車による事故よりもケガが深刻化しやすいのでしょうか。それには物理的な3つの理由があります。

 

1. 予期せぬ衝撃(身構えることができない)

 

バックミラーで後方を確認していない限り、停車中に後ろから追突されることを予測することは不可能です。
人間は衝撃を予測できると、無意識に身構えて筋肉を緊張させ、関節や神経を守ろうとします。
しかし、全くの無警戒な状態で強い衝撃を受けると、首や腰が鞭(むち)のようにしなり、通常の何倍もの負荷が深い部分の靭帯や筋肉、神経にダイレクトに伝わってしまいます。

2. サンドイッチ状態による「多方向からの衝撃」

 

玉突き事故の中間に挟まれた車両の場合、まず「後ろから追突される衝撃」が加わり、その反動で自車が前に押し出され、「前の車に衝突する衝撃」という、わずか数秒の間に2回以上の強い衝撃をお身体に受けることになります。
これにより、首が前後に激しく振り回され、筋肉や靭帯、神経の損傷がパターンの異なる複雑なものになりやすいのです。

 

3.前後の大破による車内(客室)の変形 

 

玉突き事故では、車の前後の双方が大破することがあります。本来、衝撃を吸収するはずのボンネットやトランクが限界まで潰れてしまうと、その凄まじい圧力が客室(キャビン)にまで及びます。
シート自体が押し込まれるような強い力が、ドライバーの腰や背中に強烈な突き上げ衝撃として加わるため、長引く腰痛や手のしびれの原因となるのです。


玉突き事故で多いケガの特徴:なぜ症状が深刻化しやすいのか?


玉突き事故はなぜ「後から痛みが悪化しやすい」のか?

 

玉突き事故に遭われた患者さまの多くは、「事故当日は少し違和感がある程度だったのに、数日経ってから急に激しい痛みやしびれが出てきた」「日が経つにつれて痛みがどんどん悪化している」というお悩みを抱えていらっしゃいます。
一般的な事故に比べ、玉突き事故で後から痛みが悪化・長期化しやすいのには、医学的・心理的な明確な理由があります。

 

① 事故直後の「アドレナリンの影響」

 

玉突き事故のような予期せぬ多重衝突に巻き込まれると、人間の体はパニックと恐怖から強い興奮状態に陥ります。
このとき、脳内では「アドレナリン」や「エンドルフィン」といった、痛みを麻痺させる脳内物質が大量に分泌されます。
そのため、身体の組織(筋肉や靭帯、神経)が激しく損傷していても、事故直後は「大したケガではない」と錯覚してしまうのです。
数日経って精神的に落ち着きを取り戻すと、これらの脳内物質の分泌が収まり、本来の激しい痛みが一気に襲ってきます。

② 時間の経過とともに広がる「深部の炎症」

 

玉突き事故による多方向からの強い衝撃は、首や腰の目に見えない微細な筋肉や靭帯を断裂させます。
筋肉の微細な損傷は、事故直後よりも24時間〜72時間ほどかけてじわじわと炎症が広がっていくという特徴があります。
傷ついた組織が時間をかけて腫れ上がり、それが周囲の神経を圧迫し始めるため、「後から痛みが強くなる」「痛みが悪化していく」という現象が起こるのです。

③ 自律神経の乱れによる慢性化

 

前後からの強い衝撃によって首(頸椎)が大きなダメージを受けると、首の周りを通っている「自律神経」にまで影響が及びます。
自律神経のバランスが崩れると、血流が極端に悪くなり、筋肉が硬直して痛みがさらに強くなるという悪循環(痛みの悪循環)に陥ります。
これが、玉突き事故の後に首の痛みだけでなく、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、異常なだるさといった「むち打ち症特有の二次的な症状」が悪化していく原因です。

痛みが後から悪化しやすいからこそ、「最初は軽い違和感だけだから様子を見よう」と放置することは非常に危険です。
まつもと整形外科では、こうした玉突き事故特有の負傷メカニズムを理解し、見落とされがちな微小な損傷も見逃さない治療を心掛けています。

治療を続けても治らない場合の「後遺障害」認定手続き

 

自賠責保険や任意保険の適用を受けながら適切な治療を数ヶ月にわたって継続したとしても、残念ながら首の痛みや手のしびれ、めまいなどの症状が完全に消えず、残ってしまうことがあります。
これ以上治療を続けても症状の改善が見込めないと医師が判断した状態を「症状固定(しょうじょこてい)」と呼びます。

症状固定を迎えた後、身体に残ってしまった後遺症に対して正当な補償(後遺障害慰謝料や逸失利益)を受け取るためには、損害保険料率算出機構などの審査機関から「後遺障害等級認定」を受ける必要があります。

この等級認定を申請する手続きにおいて、最も重要な鍵を握るのが、医師が作成する「後遺障害診断書」です。

むち打ち症の場合、主に「14級9号」という等級が認定される可能性がありますが、まつもと整形外科で適切な後遺障害診断書を作成し、適正な認定を受けるためには、以下の3点が不可欠です。

  • 事故直後から定期的に、十分な頻度で通院していること(通院実績)

  • 症状が一貫しており、医学的に説明可能であること

  • 医療機関での適切な検査(レントゲンや、必要に応じたMRI検査など)のデータがあること

後遺障害の申請には、医師が作成する「後遺障害診断書」が最も重要な書類となります。
まつもと整形外科では、患者さまの残存症状を正確に書類に反映させ、適正な等級認定が受けられるよう、医学的な観点から真摯にサポートをいたします。


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複雑な玉突き事故こそ力を発揮する「弁護士特約」

 

玉突き事故は、第1回で解説した通り過失割合の決定や、どの保険会社が窓口になるかという話し合いが非常に難航しやすい特徴があります。

このようなトラブルやストレスから被害者の方を守る強力な味方が、ご自身の自動車保険などに付帯されている「弁護士特約(弁護士費用特約)」です。

弁護士特約を利用すると、以下のような大きなメリットがあります。

  • 費用負担が実質ゼロ
     弁護士への相談費用(最大10万円)や、示談交渉・裁判にかかる弁護士費用(最大300万円)を保険会社が負担してくれます。
    一般的な事故で費用が300万円を超えることはほぼないため、自己負担なしで弁護士に依頼できます。

  • 保険料は上がらない
     弁護士特約を使っても、翌年の保険等級が下がる(保険料が高くなる)ことはありません(ノーカウント事故扱い)。

  • 適切な基準での慰謝料請求が可能になる
    交通事故の慰謝料算定には複数の基準(自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準)が存在します。
    弁護士がサポートすることで、過去の裁判例に基づいた「弁護士基準(裁判所基準)」が適用されるため、法律に基づいた適正な賠償を求めることができます。
  • 面倒な交渉をすべて一任
    保険会社との煩わしい電話対応や書類の手続きをすべて弁護士が引き受けてくれるため、患者さまは治療に100%専念することができます。

ご自身だけでなく、ご家族(同居の親族や別居の未婚の子)が加入している保険の特約が使えるケースもありますので、事故に遭われた際は必ず保険証券を確認してみることをおすすめします。

まとめ:交通事故治療はまつもと整形外科へ

 

2回にわたり、玉突き事故の特徴、過失割合、保険の適用、そしてケガの特徴や後遺障害、弁護士特約の活用について解説してきました。

玉突き事故は、精神的にも肉体的にも非常に大きなダメージを受ける不測の事態です。
手続きや過失割合のことで頭を悩ませ、治療を後回しにしてしまうことだけは絶対に避けてください。
初期の適切な治療こそが、後遺症を残さないための最大の鍵となります。

まつもと整形外科では、交通事故の患者さま一人ひとりの症状に合わせたリハビリテーションや投薬治療を行い、全力で回復をサポートします。
お身体の痛みや不調、手続きへの不安がある方は、どうぞ我慢をなさらず、お早めにまつもと整形外科へご相談ください。

【後編】よくある質問

 

Q1. 玉突き事故に遭い、数ヶ月治療を続けていますが、まだ首の痛みやしびれが残っています。治療はいつまで続けられますか?

 

A1. 身体に症状が残っている場合は、自己判断で治療を中断せず、まずは主治医にご相談ください。
玉突き事故は不意に多方向から複雑な衝撃を受けるため、一般的な事故よりも回復に時間がかかるケースがあります。
まつもと整形外科では、現在の症状や身体の状態を医学的な見地から適切に評価し、必要な治療期間を見極めてまいります。
保険会社に対しても、医師の診断に基づいた明確な治療経過や今後の見通しを丁寧に共有しながら進めてまいりますので、まずはご安心いただき、身体の回復を最優先に考えて通院をお続けください。

Q2. 弁護士特約を使いたいのですが、保険会社が紹介する弁護士以外にお願いしても大丈夫ですか?

 

A2. はい、問題ありません。
保険会社から特定の弁護士を紹介されることもありますが、必ずしもその方に依頼しなければならないわけではありません。
ご自身でインターネットなどを通じて探した弁護士や、信頼できる弁護士事務所を自由に選んで依頼することができます。
その場合でも弁護士特約の補償はしっかりと適用されます。

被害者さま1名につき、弁護士費用は最大300万円、法律相談費用は最大10万円まで保険会社から支払われます。
一般的な交通事故の示談交渉において、弁護士費用が300万円を超えるケースは多くないため、ほとんどの場合で自己負担なしでの依頼が可能です。

Q3.が一、事故の症状が残ってしまった場合、後遺障害の手続きはどのように進めるのがスムーズですか?

 

A3. 適切な治療を継続してもこれ以上の改善が難しい(症状固定)と医師が判断した場合、身体に残った症状に対して「後遺障害診断書」を作成し、「後遺障害等級認定」を申請することができます。
 玉突き事故のように症状の経過が複雑なケースでは、弁護士特約を活用して弁護士に依頼する選択肢もあります。
しかし、交通事故のむち打ち症などで申請されることが多い後遺障害14級ですが、一般的な認定率は2%台とも言われており、非常にハードルが高く、申請すれば必ずしも全員が認定されるわけではありません。

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著者

院長
松本 淳志 Atsushi Matsumoto

経歴

  • 済生会福岡総合病院
  • 製鉄記念八幡病院
  • 福岡市民病院
  • 九州大学病院
  • 九州医療センター
  • 福岡赤十字病院
  • 済生会八幡総合病院
  • 福岡青洲会病院

資格・所属学会

  • 日本整形外科学会 専門医(日本専門医機構)
  • 日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医
  • 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
  • 日本フットケア学会認定 フットケア指導士
  • インフェクションコントロールドクター
  • 身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)
  • 難病指定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本整形外科学会
  • 日本感染症学会
  • 日本フットケア・足病医学会