【執筆】
この記事は、福岡県久留米市安武町の「まつもと整形外科」院長 松本淳志(整形外科専門医)が執筆しています。
整形外科疾患、交通事故によるむちうちやケガの治療、リハビリテーションについて、医学的な見地から正しい情報をお届けします。
目次
はじめに
梅雨明けの猛暑が本格化する7月の久留米市。
6月の田植えのピークは過ぎたものの、農家の皆さまにとっては「終わりのない草刈り」や水田の管理、夏野菜の収穫など、炎天下での過酷な作業が続く時期です。
立っているだけで滝のように汗が噴き出すこの季節は、皆さまのお身体から急激に体力を奪っていきます。
これまでの連載では、日中の農作業中に起こる「腰や膝、手や足の痛み」について解説してまいりました。
しかし、日中の過酷な作業を終え、ようやく布団に入って疲れを癒やそうとした矢先に、容赦なく襲いかかってくる恐ろしい激痛があります。
それは、ぐっすりと眠りについた深夜や明け方に、突然ふくらはぎの筋肉が痙攣を起こす「こむら返り(足のつり)」です。
今回は、7月の久留米市で急増する夜間のこむら返りの原因と、まつもと整形外科での専門的な治療について詳しく解説いたします。
こむら返りとは?なぜ激痛が走るのか?
こむら返りとは、医学用語で「腓腹筋痙攣(ひふくきんけいれん)」と呼ばれます。
「こむら」とはふくらはぎのことを指し、ふくらはぎの筋肉が自分の意志とは無関係に異常に収縮し、痙攣(けいれん)して硬く縮こまってしまう状態です。
一度つってしまうと、数分間は身動きが取れないほどの激痛に襲われます。
さらに、筋肉の繊維に微小なダメージ(ごく軽い肉離れのような状態)を受けるため、翌日以降もふくらはぎに重い痛みが残ってしまい、炎天下の農作業の効率を大きく落としてしまう原因になります。
7月の久留米市で「こむら返り」が多発する3つの原因
普段は全く足がつらないという方でも、7月に入ると毎晩のようにこむら返りに悩まされることがあります。
それには、この時期特有の以下の3つの原因が複雑に絡み合っています。
1. 大量発汗による「水分とミネラル」の圧倒的な不足
7月は猛暑日が続き、屋外での農作業では想像以上の大量の汗をかきます。人間の筋肉がスムーズに伸び縮みするためには、カルシウムやマグネシウム、カリウムといった「ミネラル」が不可欠です。
しかし、大量の汗とともにこれらのミネラルが体外へ流れ出てしまうと、筋肉への信号伝達が乱れ、異常な収縮(痙攣)を引き起こしやすくなります。
2. 終わりのない草刈りや収穫による「極度の筋肉疲労」
振動の強い草刈り機を持っての斜面での踏ん張り、トマトやナスなどの夏野菜を収穫するための中腰姿勢、重い収穫物の運搬などは、ふくらはぎの筋肉に絶え間ない負担をかけ続けます。
筋肉が極度に疲労してガチガチに硬くなると、筋肉の中にある「伸びすぎを防ぐセンサー」が過敏になり、寝返りなどで少し足首を動かしただけで「筋肉が縮め!」という誤作動を起こしてしまいます。
3. 夜間のクーラーによる「足元の冷えと血行不良」
日中の猛暑を乗り切るため、夜間はクーラーや扇風機をつけて就寝される方が多いと思います。
しかし、冷たい風を足元に直接当てたり、薄着で寝たりすると、ふくらはぎが冷えて血管が収縮します。
血流が悪くなると、日中の農作業で筋肉に蓄積した疲労物質が排出されず、柔軟性が失われてこむら返りの引き金となります。

まつもと整形外科での専門的な治療と対策
「たかが足のつりだから」と我慢していると、慢性的な睡眠不足に陥り、日中の農作業での思わぬケガやトラクターの事故などに繋がりかねません。
1. 危険な病気が隠れていないかの正確な診断(エコー・レントゲン)
実は、頻繁に足がつる症状の裏には「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」や「椎間板ヘルニア」といった腰の神経の圧迫が原因となっているケースがあります。
まつもと整形外科では、整形外科専門医がレントゲン検査を用い、単なる疲労や脱水によるものか、それとも背骨の神経からきている症状なのかを診断いたします。
2. 即効性が期待できるお薬(漢方薬など)の処方
こむら返りに対しては、筋肉の急激な痙攣を鎮める作用を持つ「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」という漢方薬が非常に有効です。
即効性が高く、就寝前に服用することで夜間の痛みを劇的に予防できる患者さまが多くいらっしゃいます。
まつもと整形外科では、患者さまのお身体の状態や他のお薬との飲み合わせをしっかり確認した上で、安全で最適な処方を行います。
3. 32名の専門スタッフによる徹底したリハビリテーション
まつもと整形外科には、国家資格を持つ理学療法士(PT)や作業療法士(OT)が32名在籍しており、230平方メートルにおよぶ広々とした地域最大級のリハビリテーション室を備えています。
日々の過酷な草刈りや収穫作業でガチガチに固まり、血流が滞ってしまったふくらはぎから太もも、腰にかけての筋肉を、専門のセラピストが徒手療法(マッサージやストレッチ)で丁寧に揉みほぐします。
筋肉の柔軟性を取り戻し、良質な血流を促すことで、夜間の痙攣を根本から予防します。

今夜からできる!こむら返りを防ぐセルフケア
農作業の忙しさは待ってくれません。ご自宅で簡単にできる対策を3つご紹介します。
-
こまめな電解質(ミネラル)補給
お茶や水だけでなく、スポーツドリンクや経口補水液などで塩分とミネラルを一緒に補給してください。麦茶はミネラルを含みますが塩分が足りないため、少量の塩を足したり、塩飴を舐めたりするのも効果的です。 -
就寝時の保温対策
クーラーを使用する際は、設定温度を下げすぎず、足元に直接風が当たらないように工夫してください。薄手の長ズボンやふくらはぎを覆うレッグウォーマーの着用も大変おすすめです。
-
寝る前の優しいストレッチ
アキレス腱とふくらはぎをゆっくりと伸ばすストレッチを、反動をつけず痛みのない範囲で1分程度行ってから布団に入りましょう。
地域の農業を支える皆さまの「安らかな睡眠」と「健康」を守るために
毎日汗だくになりながら、地域の豊かな食卓を支えてくださる農業従事者の皆さまは、久留米市にとってなくてはならない大切な存在です。
しかし、ご自身の睡眠時間を削ってまで痛みに耐え続ける必要はありません。
まつもと整形外科は、単なる医療機関にとどまらず、「健康をプロデュースする企業」として、農業の最前線で働く皆さまが、毎日気持ちよく目覚め、痛みや不安なくお仕事に取り組めるよう、全力でサポートさせていただきます。
夜間の足のつりでお悩みの方は、「これくらいで病院に行ってもいいのかな」と遠慮なさらず、ぜひお気軽にまつもと整形外科へご相談ください。
よくある質問
Q1. 夜中に突然こむら返りが起きたとき、どう対処すればいいですか?
A1. 激痛でパニックになりがちですが、まずは深呼吸をしてリラックスしてください。
痛む方の足の膝をできるだけ伸ばし、足のつま先を両手で持ち、ゆっくりとご自身のすねの方へ向かって反らすようにストレッチします。
無理に急激に引っぱると筋肉の繊維を傷めてしまう(肉離れ)ため、痛気持ちいい範囲でゆっくりと優しく伸ばすのがポイントです。
手が届かない場合は、タオルをつま先に引っ掛けて手前に引くのも効果的です。
Q2. 毎日足がつるのが怖くて眠れません。病院でお薬をもらうことはできるのでしょうか?
A2. はい、可能です。
まつもと整形外科では、こむら返りの特効薬とも言える「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」などの漢方薬を処方しています。
筋肉の異常な緊張を緩め、痛みを素早く鎮める効果があり、予防として就寝前に飲んでいただくことで、多くの方が朝までぐっすり眠れるようになります。
我慢せずにまずは一度診察にお越しください。
Q3. 足がつるのを予防するために、食事で気を付けることはありますか?
A3. 筋肉の働きを正常に保つ「ミネラル(マグネシウム、カルシウム、カリウム)」を意識して摂取することが大切です。
7月の農繁期は大量の汗で特に不足しやすいため、マグネシウムが豊富な大豆製品(納豆や豆腐)や海藻類(わかめやひじき)、カリウムが含まれるバナナや夏野菜、カルシウムが摂れる乳製品などを、毎日の食事に積極的に取り入れることをおすすめします。
当院には国家資格を持つ理学療法士·作業療法士·柔道整復師が計32名在籍しています。
患者さま一人ひとりに合った専門性の高いリハビリメニューを提供させていただきます。
ご不明な点などありましたら、お気軽にご相談ください!
【関連ブログ】
【6月の農繁期】久留米市で腰・膝・首の痛みに悩む方へ!整形外科専門医が教える原因と対策
【6月の農繁期 第2弾】久留米市で手首の痛みや腱鞘炎に悩む方へ!整形外科専門医が教える原因と対策















