側弯(脊柱側弯症)とは

側弯(脊柱側弯症)とは、背骨(脊柱)が左右に曲がってしまう疾患です。通常、背骨は正面から見るとまっすぐに並んでいますが、側弯症ではS字やC字のようにカーブし、身体のバランスが崩れたり、見た目にも左右差が出ることがあります。
発症時期は小学生〜思春期に多く、特に成長期の女の子に多いのが特徴です。初期は自覚症状がほとんどないため、見逃されやすく、学校の「運動器健診」で指摘されて受診される方も増えています。
症状
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肩の高さが左右で違う
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ウエストラインのくびれ方が左右非対称
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背中や腰の片側が盛り上がって見える
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背中を丸めると片方が高く見える
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長時間立つ・座ると背中や腰が痛くなる
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衣服が片側だけずれる
など
原因
特発性側弯症
(最も多い)
明確な原因は不明ですが、成長期の急激な発育に伴う筋肉バランスの乱れや、 遺伝的要因・姿勢習慣などが関係していると考えられています。
機能性側弯
(姿勢性側弯)
痛みや姿勢のくせ、脚長差などが原因で一時的に背骨が曲がるタイプです。 筋肉や姿勢の改善によって改善がみられることが多いです。
器質性側弯
先天的な骨の形成異常や神経・筋疾患によって起こる稀なタイプです。進行しやすいため注意が必要です。
検査・診断
姿勢・体表評価
○肩や骨盤の高さ、背中の盛り上がりを観察
○前屈検査(アダムステスト)で背中の左右差を確認
画像検査
○レントゲン検査
脊柱のカーブの角度(コブ角)を測定し、進行度を評価
○MRI
必要に応じて神経や骨の異常を詳しく確認
治療法
軽度
(コブ角25°未満)
○経過観察と姿勢指導
○ストレッチや体幹トレーニングによる姿勢改善
○定期的なレントゲンで進行をチェック
中等度(コブ角25〜40°)
○リハビリによる筋力強化・姿勢修正
○成長期の進行防止を目的とした装具療法(コルセット)を併用することもあります。
○呼吸法を取り入れた運動療法(シュロス法など)も有効
重度(コブ角40°以上)
○手術療法が検討されるケースがありますが、これは進行が著しい場合のみ適応となります。
○多くのケースでは、保存療法(リハビリ)で姿勢や筋バランスの改善を目指します。
リハビリテーション
姿勢評価と動作分析
○背骨・骨盤・肩甲骨の位置関係をチェック
○体幹の柔軟性・筋力バランスを評価
○姿勢不良や動作の癖を確認し、原因を特定
ストレッチ

○弯曲を助長する筋肉(広背筋・腸腰筋など)を伸ばす
○背中の左右差を整えるストレッチ
○胸郭(胸まわり)の可動域を広げる呼吸エクササイズ
筋力トレーニング
○体幹(腹横筋・多裂筋)を中心とした安定化トレーニング
○背筋群と腹筋群のバランスを整える
○背骨を支える深部筋を鍛えることで、姿勢をまっすぐに保持
姿勢・動作の再教育
○正しい立ち方・座り方の指導
○学校生活やデスクワークでの姿勢アドバイス
○鏡を使って正しい軸を意識するトレーニング
セルフケア・予防
自宅でできるケア
○毎日の体幹ストレッチ
○背筋を伸ばして座る・立つ習慣
○骨盤を立てて座る習慣をつける(背もたれを頼りすぎない)
○寝具や椅子の高さを調整して左右差を防ぐ
生活上の注意
○重い荷物を片側だけで持たない
○長時間同じ姿勢を避け、こまめに休憩
○運動習慣(ウォーキング・水泳・ピラティスなど)を取り入れる
Q&A
側弯は治りますか?
軽度の姿勢性側弯であれば、リハビリやストレッチで改善が期待できます。構造的な側弯は完全には元に戻らなくても、進行を止めることを目的とします。
子どもの側弯は自然に治りますか?
成長に伴い軽快する場合もありますが、そのまま進行することもあります。定期的な検査と姿勢指導が大切です。
スポーツをしても大丈夫ですか?
症状が軽ければ問題ありません。体幹を安定させるスポーツ(スイミング、ヨガなど)は特におすすめです。
放置するとどうなりますか?
成長期に進行してしまうと、背中や腰の痛み、姿勢の崩れ、呼吸機能の低下を引き起こすことがあります。早期発見・早期対応が重要です。















