急性腰痛症(ぎっくり腰)|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

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急性腰痛症(ぎっくり腰)とは

ぎっくり腰とは、重いものを持ち上げた瞬間や、ふとした日常の動作をきっかけとして、腰に突然激しい痛みが走る症状の「総称」で、医学的には「急性腰痛症(きゅうせいようつうしょう)」と呼ばれます。

「ぎっくり腰」という言葉は特定の病名(たとえば「腰椎圧迫骨折」や「腰椎椎間板ヘルニア」といったもの)を指すわけではなく、「急激に発症した腰の痛み」全体を表す言葉です。そのため、実際に腰の内部で何が起きているか(痛みの本当の原因)は、患者さまお一人おひとりによって異なります。

腰は、積み木のように重なる腰椎(ようつい)、骨と骨の間でクッションの役割を果たす椎間板(ついかんばん)、背骨の椎間関節(ついかんかんせつ)、そしてそれらを複雑に取り巻く筋肉や筋膜、靭帯など、数多くの組織で構成されています。ぎっくり腰は、これらの組織のどこかに許容量を超える急激な負荷がかかり、微小な断裂(ケガ)や強い炎症が起こることで発症します。

症状

CONSULTATION

  • 重いものを持ち上げようとした瞬間に腰に激痛が走り、その場から動けなくなった
  • 朝起きて顔を洗おうと前かがみになった瞬間、腰がピキッとなって立てなくなった
  • くしゃみや咳をしただけで腰に痛みが響き、座っていることも辛い
  • 痛みのあまり、腰を伸ばして真っ直ぐに立つことができず、常に前傾姿勢になってしまう
  • 寝返りを打つたびに腰がズキズキと痛み、夜も熟睡できない
  • 痛みで靴下を履いたり、ズボンを履き替えたりする日常の動作が一人でできない
  • 腰の特定の場所(右側だけ、あるいは左側だけ)にピンポイントで激しい痛みを感じる
  • 安静に寝ていると少し楽だが、立ち上がろうとしたり歩き始めたりする「動作の開始時」に激痛が走る

など

原因

筋肉や筋膜の損傷(肉離れ)

腰を支える分厚い筋肉(脊柱起立筋など)や、筋肉を包む膜(筋膜)が急激に引き伸ばされ、微小な断裂を起こした状態です。いわゆる「腰の筋肉の肉離れ」であり、筋肉が硬くなっている疲労時に起こりやすいです。

椎間関節(ついかんかんせつ)の炎症

背骨の後ろ側にある小さな関節(椎間関節)に無理な力がかかり、関節を包む袋(関節包)が挟み込まれたりして炎症が生じます。腰を反らせたり、捻ったりした時に発症しやすい原因です。

椎間板(ついかんばん)へのストレス

背骨の間のクッションである椎間板に急激な圧力がかかり、表面の組織に亀裂が入ったり炎症が起きたりします。これがさらに進行すると、「椎間板ヘルニア」へと悪化する恐れがあります。

生活習慣と疲労の蓄積(根本的な要因)

長時間のデスクワークによる姿勢の悪化(猫背や反り腰)、運動不足による腹筋・背筋の筋力低下、冷えによる血流の悪化などが、腰の組織の柔軟性を奪い、ぎっくり腰を引き起こす準備状態を作ってしまいます。

診断

詳細な問診(エピソードの確認)

「いつ」「どのような動作をした時に」「腰のどのあたりが痛くなったか」を詳しく伺います。ぎっくり腰の場合は「発症した瞬間が明確にわかる」のが特徴です。

危険なサイン(レッドフラッグ)の除外

ただのぎっくり腰ではない可能性を示すサインを見逃しません。具体的には、「足に強いしびれや麻痺があるか」「尿や便が出にくい(排泄障害)はないか」「発熱を伴っていないか」「どんな姿勢で安静にしていても痛みが全く引かないか」などを確認し、椎間板ヘルニア、圧迫骨折、細菌感染、内臓疾患などの病気を除外します。

視診・触診・徒手検査

歩き方や姿勢を確認し、実際に腰を触ってどこを押すと痛いか(圧痛点)を探ります。また、仰向けで足を真っ直ぐに持ち上げるテスト(SLRテスト)などを行い、神経が圧迫されていないかを調べます。

X線(レントゲン)検査

骨の変形や、加齢に伴う椎間板の隙間の狭さ、もともとの背骨のアライメント(並び方)、そして高齢の方に多い「圧迫骨折」がないかを確認するために実施します。

MRI検査(必要に応じて)

レントゲンでは写らない椎間板の飛び出し(ヘルニア)や、神経の圧迫、ごく小さな骨折が疑われる場合には、より精密なMRI検査が必要となります。その際は、提携する総合病院へご紹介し、スムーズに検査を受けていただけるよう手配いたします。

セルフチェック

急激な腰の痛みに襲われた際、ご自宅で確認していただきたいセルフチェックリストです。以下の項目に一つでも当てはまる場合は、ただのぎっくり腰ではなく「神経の障害」や「骨折」の可能性があるため、我慢せずに速やかにまつもと整形外科を受診してください。

☑️ お尻から太もも、ふくらはぎ、足先にかけて「しびれ」や「強い痛み」が走っている。
☑️ 足に力が入らず、つま先立ちやかかと立ちができない、または歩く時につまずいてしまう。
☑️ 尿が出たい感じがするのに出ない、または便や尿を漏らしてしまう(膀胱直腸障害)。
☑️ 楽な姿勢で横になって安静にしていても、痛みが全く和らがずズキズキと痛み続ける。
☑️ 最近、尻もちをついたり、転倒したりする出来事があった(特にご高齢の方や骨粗鬆症の方)。
☑️ 発熱を伴っている、または冷や汗が出るほどの激痛である。

治療

薬物療法(飲み薬・湿布など

激しい炎症を速やかに抑えるために、まずは非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs:ロキソニンやボルタレンなど)の飲み薬や湿布を処方します。また、身動きが取れないほど痛みが非常に強い場合や、一般的な痛み止めでは効果が不十分なケースには、痛みを伝える神経に働きかけて強力な鎮痛効果を発揮する「弱オピオイド系鎮痛薬(ツートラムやトラムセットなど)」を段階的に処方し、辛い痛みをしっかりとコントロールします。さらに、痛みのために腰の筋肉が過度に緊張している場合には、筋肉のこわばりをほぐす「筋弛緩薬(ミオナールなど)」を併用することが非常に効果的です。

注射療法(トリガーポイント注射など)

筋肉が硬くこわばって痛みの芯となっている部分(トリガーポイント)に直接注射をすることで、痛みを緩和させます。

装具療法(コルセットの装着)

痛みが強い急性期には、腰を固定する医療用のコルセットを装着します。コルセットでお腹の圧力(腹圧)を高め、背骨の動きを制限することで、腰の筋肉や関節にかかる負担を大幅に減らすことができます。患者さまの体型に合った正しいサイズと着け方をご指導いたします。

物理療法(電気治療・超音波治療など)

発症から数日が経過し、ピークの激痛が少し落ち着いてきた段階で、物理療法を取り入れます。干渉波などの電気治療器を用いて筋肉の深い部分の緊張をほぐしたり、血流を改善したりすることで、傷んだ組織の修復を早めます。

リハビリ

筋肉の緊張を解く徒手療法

痛みをかばうことでガチガチに硬くなった腰や背中、お尻の筋肉を、理学療法士が適切な力加減でほぐし、関節の動きを滑らかにします。

ストレッチと可動域訓練

腰の負担を減らすためには、腰そのものよりも「股関節(太ももの裏や前)」の柔軟性が極めて重要です。股関節が柔らかく動くようになれば、前かがみになる際の腰へのストレスを逃がすことができます。

体幹(インナーマッスル)の強化

痛みが完全に引いた後の再発予防として、お腹の奥の筋肉(腹横筋など)を鍛えるトレーニングを指導します。

セルフケア・予防

物の持ち上げ方を工夫する

床にある物を拾う時や重い物を持ち上げる時は、膝を伸ばしたまま腰だけを曲げる(前屈みになる)のは絶対に避けてください。必ず「膝を曲げて腰を落とし、物にお腹を近づけてから、足の力を使って持ち上げる」習慣をつけましょう。

同じ姿勢を長時間続けない

デスクワークや車の運転など、長時間同じ姿勢で座り続けると、腰の筋肉が血行不良を起こして硬くなります。30分から1時間に1回は立ち上がり、軽く伸びをしたり腰を回したりして、筋肉をリセットしてください。

朝起き上がる時の工夫

朝は筋肉が一番硬くなっています。仰向けから勢いよく起き上がるのではなく、一度横向きになり、手でベッド(布団)を押しながらゆっくりと起き上がるようにすると、腰への負担を激減させることができます。

適度な運動と入浴

ウォーキングや水泳などの全身運動で血流を良くし、筋肉の柔軟性を保つことが最高の予防法です。また、シャワーだけで済ませず、湯船に浸かって腰を温めることも疲労回復に効果的です。

Q&A

Q

ぎっくり腰になった直後は、温めた方が良いですか?それとも冷やした方が良いですか?

A

発症直後から2〜3日間の「激痛がある時期(急性期)」は、腰の内部で強い炎症が起きて熱を持っているため、湿布や氷のうなどで「冷やす」のが基本です。無理に温めると炎症が拡大して痛みが悪化することがあります。しかし、数日経過して激痛が和らぎ、重だるいような痛みに変わってきたら、今度は血流を良くして筋肉をほぐすために「温める」方に切り替えてください。

Q

痛くても無理して動いた方が早く治るというのは本当ですか?

A

半分本当で半分間違いです。発症直後の歩くのも困難なほどの激痛の時は、最も楽な姿勢で数日間安静にすることが必要です。しかし、痛みが少し落ち着いてきた段階でいつまでもベッドに寝込んでいると、筋肉が衰え、関節が硬くなり、かえって治りが遅くなることが最新の医学研究で分かっています。痛みのない範囲で、日常生活の動きを少しずつ再開していくことが早期回復の近道です。

Q

コルセットはずっと着けっぱなしにしておくべきですか?

A

いいえ、ずっと着けっぱなしにするのはお勧めしません。コルセットは「痛みが強い時期」や「腰に負担のかかる仕事をする時」に限定して使用してください。痛みが和らいできた後も長期間コルセットに頼りすぎると、ご自身の腹筋や背筋が衰えてしまい、逆にぎっくり腰を再発しやすい弱い腰になってしまいます。寝る時や、安静にしている時は外すようにしましょう。

Q

痛みを早く取るために、強い力でマッサージしてもらっても良いですか?

A

発症直後の急性期における、強い力でのマッサージや指圧は絶対に避けてください。ぎっくり腰は筋肉や筋膜が断裂している「ケガ(肉離れのようなもの)」です。そこに強い刺激を加えると、炎症を悪化させてしまう危険があります。マッサージやストレッチは、激しい痛みが治まった回復期に入ってから、リハビリ専門家の指導のもとで行うことが大切です。

Q

お風呂(湯船)には入っても良いですか?

A

発症直後で患部が熱を持っているような激しい痛みの時は、湯船に浸かって全身を温めると炎症が強くなり、お風呂上がりに痛みが悪化することがあります。そのため、最初の数日はシャワーのみでサッと済ませることをお勧めします。痛みのピークが過ぎ、動けるようになってきたら、湯船に浸かって血行を良くすることで筋肉の緊張がほぐれ、回復を促す効果が期待できます。