ストレートネックとは?

近年、スマートフォンやパソコンの長時間使用により増えているのが「ストレートネック」、いわゆるスマホ首です。本来、首の骨(頚椎)は前方にゆるやかなカーブを描いており、頭の重さを分散して支えています。しかし、長時間うつむいた姿勢を続けることで、この自然なカーブが失われ、首がまっすぐに伸びた状態になることがあります。
この状態になると、首や肩の筋肉に負担がかかり、慢性的なこり(肩こり)・頭痛・めまい・姿勢不良など、さまざまな不調を引き起こします。
最近では、10代〜20代の若年層にも増加しており、「現代病」といわれることも少なくありません。
早期に正しい診断とリハビリを行うことで改善が期待できます。
症状
-
首や肩のこり、痛み(首こり、肩こり)
-
頭痛、後頭部の重だるさ
-
背中や肩甲骨の張り
-
目の疲れ(眼精疲労)
-
手や腕のしびれ、だるさ
-
朝起きたときの首のこわばり
-
集中力の低下、めまい
など
原因
姿勢の問題
スマホを見るときに、顔を前に突き出してうつむく姿勢を長時間続けると、頭の重さが首に大きくかかります。 頭は約5〜6kgほどありますが、前に傾く角度が15度増えるごとに、首への負担は約12kg、30度で18kg、60度で27kgにもなるといわれています。 この負担が長時間かかることで、首まわりの筋肉が疲労し、自然なカーブが失われてしまいます。
筋肉のアンバランス
首の前側の筋肉(胸鎖乳突筋など)が縮こまり、後ろ側の筋肉(僧帽筋や肩甲挙筋)が過度に引っ張られることで、首全体のバランスが崩れます。 結果として、首が前に出た「スマホ首」の状態が固定され、慢性的なこりや痛みの原因になります。
その他の要因
・枕の高さが合っていない
・猫背や反り腰など姿勢不良
・運動不足による筋力低下
・長時間の車の運転
これらが重なると、ストレートネックが進行し、頚椎椎間板ヘルニアや神経圧迫症状を引き起こすこともあります。
診断

触診・関節可動域検査
首や肩の筋肉を触診し、硬さ・動きの制限・左右差などを確認します。

レントゲン検査
首の骨(頚椎)の配列やカーブの角度を確認します。 正常な前弯が消失している場合や、頚椎の変形・狭小化なども評価します。
神経学的検査
手のしびれや感覚異常がある場合は、神経の圧迫がないかを確認。必要に応じてMRIや超音波検査を行うこともあります。
セルフチェック
自分の身体の状態を調べましょう
☑️壁に背をつけて立つと、後頭部が自然に壁に届かない
☑️上を向く(天井を見上げる)動作がしづらい
☑️ 枕が低いと眠りにくい
☑️首や肩がいつも重く感じる
一つでも当てはまる方は要注意です。
治療
薬物療法

• 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
• 代表的な薬剤:ロキソニン、ボルタレン
• 効能:消炎鎮痛薬として首の痛みを和らげるために使用されます。
• 鎮痛薬
• 代表的な薬剤:カロナール
鎮痛薬として使用され、副作用が少ないため小児や高齢者でも使用しやすい薬剤です。
• 筋弛緩剤
• 代表的な薬剤:ミオナール、チザニジン
• 効能:頭部や頚部の筋肉の緊張を緩和する効果があります。
温熱療法・電気治療
・温熱療法(ホットパック・遠赤外線):患部を温めて血流を促進し、筋肉の緊張を緩めます。
・電気治療(低周波・干渉波など):微弱な電流を流すことで痛みを和らげ、筋肉のこりをほぐす効果があります。
注射
・トリガーポイント注射
・神経ブロック注射
痛みが強い場合、一時的に炎症を抑え、リハビリを始めやすい状態に整えます。
リハビリ

リハビリは体の動きを正常に戻すための訓練で、ストレートネックの症状を改善することができます。リハビリでは、首の筋肉や筋膜を和らげるよう施術を行い、また頚椎を鍛える運動や日常生活の姿勢改善を目指します。 しかし、発症の早期段階でなければ、ストレートネックは一度で改善するものではありません。徐々に改善していくため、継続的なリハビリが必要となります。