腱板断裂(腱板損傷) ROTATOR-CUFF-INJURY

  1. Home
  2. >
  3. 腱板断裂(腱板損傷)

腱板断裂(腱板損傷)とは

腱板とは、上腕骨と肩甲骨をつなぐ4つの筋肉(棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋)の総称で、肩の安定性を保つ重要な役割を持っています。

腱板断裂(腱板損傷)とは、これらの腱板が老化現象や怪我で切れたり傷ついたりする状態をいいます。
転倒やスポーツで腕を強くひねった時などの外傷が原因のこともありますが、多くは加齢による変性(すり減り)により徐々に損傷し、ある日突然肩が上がらなくなることもあります。

放置すると肩の動きが悪化し、筋力低下が進んでしまうことがあるため、早期の診断と治療がとても大切です。

解剖

肩関節は上腕骨、肩甲骨、鎖骨の3つの骨から構成されています。
腱板は4つの筋肉(棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋)で構成され、腱板が腕の骨を関節窩に引きよせて肩関節を安定化させる役割を持っています。また腕を上に挙げたり、捻ったりする作用もあります。

症状

CONSULTATION

  • 肩が痛くて腕を上げにくい
  • 夜寝ている時に肩がズキズキ痛む(夜間痛)
  • 力が入らず、物が持ち上げられない
  • 肩を動かすと引っかかり感や鋭い痛みがある
  • 肩の可動域が徐々に狭くなる

など

原因

● 加齢による変性

40~50代以降になると腱板は血流が低下することで強度が低下し、、日常の何気ない動作でも損傷しやすくなります。
使用頻度の高い利き腕に発症しやすく、一度の強い力ではなく、繰り返される動作で擦り減って腱板が断裂します。

◯反復動作
野球、テニスなどの肩を酷使するポーツ、重いものを持ち上げる重労働、布団の上げ下ろしなど家事で腱板が摩耗して腱板断裂の起きることがあります。

◯循環不全
加齢により腱板の血流が減少するとことで腱板の強度が低下して、腱板断裂の危険性が高くなります。

◯骨棘(こつきょく)
加齢変性により骨棘(こつきょく)という骨のトゲができて、骨棘と腱板が衝突して擦れることをインピンジメントと言います。 インピンジメントを繰り返すことで腱板断裂が切れることがあります。

● 外傷(ケガ)

・転倒して手をついた
・重い物を無理に持ち上げた
・スポーツで腕をひねった

などの急激な力で腱板が断裂(損傷)することがあります。

どのような人がなりやすいか

◯肩をよく使う仕事(介護・建設・工場作業など)
◯野球・テニス・バレーボールなど肩を酷使するスポーツ
◯中高年の方(特に40~70代)、発症年齢のピークは60代
◯猫背や巻き肩で肩に負担がかかりやすい姿勢の方

検査・診断

触診・徒手検査

触診にて、筋の萎縮や疼痛の有無を確認

超音波(エコー)検査

断裂(損傷)の有無や大きさがリアルタイムで確認可能

レントゲン検査

骨の変形や石灰などを評価

MRI検査

最も正確に腱板断裂(腱板損傷)の状態を判断できます

治療法

● 保存療法


◯鎮痛薬・湿布
◯ステロイド注射(痛みが強い場合)
◯ヒアルロン酸注射
◯温熱療法、電気治療、超音波治療
◯リハビリテーション(最も重要)

断裂が小さい・部分断裂・損傷の場合、多くは保存療法で日常生活が改善します。

● 手術療法

以下の場合に検討します。

◯断裂が大きい
◯若年者の外傷性腱板断裂(腱板損傷)
◯リハビリを続けても改善しない
◯夜間痛が強い
◯日常生活が困難

関節鏡で腱板を縫合する「腱板修復術」が一般的です。

リハビリテーション

徒手療法

肩の痛みの原因には、
・腱板自体の損傷
・肩周囲の筋肉のこわばり
・肩甲骨の動きの悪さ
が複雑に絡み合っています。

そのため、まずは理学療法士が徒手的に筋肉・関節を丁寧にほぐし、動きやすい状態へ導きます。

・肩甲上腕関節(肩関節)の可動域改善
・肩甲骨周囲筋の筋膜リリース
・前鋸筋・僧帽筋・広背筋などの硬さを調整
・胸椎(背中)の動きを出して、肩が上がりやすい環境を整える

→ これにより、痛みの軽減とともに肩の動きがスムーズになります。

肩甲骨周囲の安定化向上

腱板は「肩甲骨」という土台の上で働いています。土台が不安定だと、腱板に過剰な負担がかかり、痛みが長引きます。

【行う内容】
・肩甲骨の内転(寄せる)、下制(下げる)などの基本動作
・前鋸筋を活性化させるエクササイズ
・体幹と肩を連動させるトレーニング
・猫背や巻き肩の改善指導

→ 肩甲骨が正しい位置で安定すると、腱板が少し損傷していても肩をスムーズに動かせるようになります。

インナーマッスルトレーニング

腱板断裂(腱板損傷)では、残っている腱板と周囲の筋肉を上手に使うことが重要です。

【代表的なトレーニング】
・チューブを使った外旋・内旋トレーニング
・肩関節の等尺性(静止した状態)トレーニング
・軽い負荷での外転運動
・痛みの少ない範囲での挙上運動

→ 正しく鍛えることで、弱った部分を補い、肩の安定性が高まります。

可動域改善(安全に動かせる範囲を広げる)

痛みのために肩を動かさないでいると、関節が固まり“さらに動かない肩”になってしまいます。 これが続くと、凍結肩(フローズンショルダー)に移行することもあります。

【行う内容】
・ペンデュラム(振り子)運動
・スティックやタオルを使った自動介助運動
・背中・胸のストレッチ
・肩甲胸郭リズムの改善

→ 少しずつ動く範囲を広げ、痛みを減らしながら柔軟性を回復させます。

生活動作の修正(再発予防に最重要)

腱板断裂(腱板損傷)の方の多くは、「日常の動き方のクセ」が原因で悪化しています。
そのため、治療の仕上げとして 毎日の動作を整えること が非常に大切です。

【指導内容】
・肩をすくめない荷物の持ち方
・高い棚の物を取る際の工夫
・片手だけで荷物を持たない
・デスクワーク中の姿勢調整
・寝る姿勢(痛みの少ない寝方)

→ 普段の生活動作が変わることで、痛みの再発を大幅に減らすことができます。

自主トレーニング指導(自宅で継続して改善)

自宅でのセルフトレーニングもとても重要です。

【指導例】
・チューブトレーニングのやり方
・肩甲骨ほぐし(壁を使った運動)
・姿勢改善エクササイズ
・フォームチェック(負担の少ない動かし方の習得)

→ 自宅での継続が、症状改善を早め、再発を防ぐカギになります。

セルフケア・予防

痛みがある時は無理に動かさない 姿勢を整える(猫背は負担増) 肩甲骨を柔らかく保つセルフストレッチ 冷やす・温めるの使い分け 過度な反復動作を避ける

Q&A

Q

腱板断裂(腱板損傷)は自然に治りますか?

A

完全断裂が自然にくっつくことはありません。しかしリハビリで痛みや機能改善は十分可能です。

Q

手術は必ず必要ですか?

A

多くの方は保存療法で改善します。外傷性や大断裂では手術を検討します。

Q

夜に痛くなるのはなぜ?

A

夜間に血流が変化することで痛みが強く出るためです。圧迫の少ない姿勢で眠ることが大切です。

Q

放置するとどうなる?

A

断裂が拡大し、肩の動きが悪化することがあります。早期受診をおすすめします。

Q

リハビリはどれくらい必要?

A

3か月ほどで日常動作が改善する方が多く、6か月ほどでより安定してきます。

Q

腱板断裂(腱板損傷)と四十肩(五十肩)の違いは何ですか?

A

腱板断裂(腱阪損傷)と四十肩(五十肩)はどちらも肩が痛くなり、肩の動きが悪くなる病気です。腱板断裂(腱阪損傷)では腱板が断裂していることで腕を動かすことができませんが」、四十肩(五十肩)では肩関節内の強い炎症と癒着で肩が動かせない、腕が挙がらないという違いがあります。