上腕骨近位端骨折|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

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上腕骨近位端骨折とは

上腕骨近位端骨折とは、肩関節を構成する腕の骨(上腕骨:じょうわんこつ)のうち、肩に近い根本の部分(近位端:きんいたん)が折れてしまうケガのことです。

人間の肩関節は、肩甲骨の浅いお皿に対して、上腕骨の丸い頭(上腕骨頭:じょうわんこっとう)がはまり込むような構造をしています。この上腕骨の「ボール」のような形をした部分のすぐ下の首にあたる部分は、内部がスポンジ状の組織(海綿骨)で構成されているため、構造的に強度が低く、外からの力が加わった際に骨折しやすい部位となります。

そのため、転倒して肩を直接地面に打ち付けたり、手や肘をついて倒れた際にその衝撃が肩へと突き抜けたりすることで、この部分がポキッと折れたり、粉砕したりします。

太ももの付け根の骨折(大腿骨近位部骨折)、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)、背骨の骨折(脊椎圧迫骨折)と並んで、「高齢者の4大骨折」の一つに数えられており、骨粗しょう症が進行しているご高齢の女性に特に多く発症します。

症状

CONSULTATION

  • 激しい肩の痛み
  • 腕が全く上がらない
  • 肩から腕にかけての強い腫れ
  • 広範囲に広がる皮下出血(内出血)
  • 安静にしていても痛む
  • 痛い方の肩を下にして寝られない
  • 肩を動かすと骨がこすれる音がする(軋轢音)
  • 腕全体がだらんとして力が入らない

など

原因

ご高齢の方(最も多いケース)

背景に「骨粗しょう症(骨密度が低下してスカスカになる病気)」が隠れていることがほとんどです。骨が脆くなっているため、室内でカーペットにつまずいて転んだ、雨の日に濡れたマンホールで滑って手をついた、ベッドから落ちたといった、日常のささいな転倒(軽微な外力)でも簡単に骨折してしまいます。

若い方・現役世代の方

骨が丈夫な若い世代の場合は、交通事故(バイクでの転倒など)や、スノーボード、ラグビー、柔道などの激しいコンタクトスポーツ中における高エネルギー外傷(非常に強い衝撃)が原因となります。この場合、単なる骨折だけでなく、肩関節の脱臼を伴うケース(脱臼骨折)も多く見られます。

診断

レントゲン(X線)検査

骨折の有無、骨の折れている位置を正面や側面など様々な角度から撮影して確認します。

CT検査‌

上腕骨近位端骨折は、骨の頭(骨頭)、大結節、小結節、骨幹部という4つのパーツがバラバラに砕けることがある複雑な骨折です。まつもと整形外科では、レントゲンだけでは分かりにくい骨のズレ(転位)を立体的に把握するため、CT検査を行うことがります。CT検査を行う際は、連携先である総合病院へ検査を依頼させていただきます。

セルフチェック

ご自身やご家族が転倒し、肩を痛めている場合の簡単なセルフチェック項目です。当てはまる場合は、決して無理に動かさず、すぐにまつもと整形外科を受診してください。

転倒のエピソード

肩を直接打ち付けた、または手や肘をついて強く倒れましたか?

挙上困難

自力で腕を「前ならえ」の高さまで持ち上げることができますか?(全く持ち上がらない場合は危険です)

内出血の出現

転倒から2〜3日経過して、二の腕や脇の周辺に青や黄色のアザ(内出血)が下がってきていませんか?

【注意点】‌

骨折しているかどうか確かめようとして、無理やり腕をぐるぐる回したり、誰かが強く引っ張ったりするのは絶対にやめてください。折れた骨が周囲の神経や血管を傷つける恐れがあります。痛む腕を反対の手でそっと抱え込むようにしてご来院ください。

治療

上腕骨近位端骨折の治療方針は、骨のズレ(転位)の大きさ、骨片の数、そして患者さまの年齢や普段の活動性などを総合的に判断して決定します。大きく分けて「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。

保存療法(手術をしない治療)‌

骨のズレがほとんどない、あるいはズレが許容範囲内に収まっている場合は、保存療法を選択します。三角巾(腕を吊る布)とバストバンド(胸に腕を固定するバンド)を用いて肩を固定し、骨が自然にくっつくのを待ちます。上腕骨近位端骨折の約8割は、この保存療法で治療が可能だと言われています。

手術療法‌

骨が大きくズレている場合や、骨片がいくつにも砕けている場合は、そのままでは骨がくっつかない、あるいは肩の関節が動かなくなってしまうため、手術が必要になります。

◯骨接合術:金属のプレートとネジ(スクリュー)、あるいは骨の中に太い釘(髄内釘)を入れて、折れた骨を元の位置に戻して強力に固定します。

◯人工関節置換術:骨折が粉砕して修復不可能な場合や、骨の頭へ血流が行かなくなり骨が壊死するリスクが高いご高齢の方には、折れた部分を取り除き、金属などでできた「人工骨頭」や「リバース型人工肩関節」に置き換える手術を行うことがあります。(手術が必要な場合は、適切な高次医療機関へ責任を持ってご紹介いたします)。

リハビリ

上腕骨近位端骨折の治療において、骨をくっつけることと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「リハビリテーション」です。肩関節は人間の体の中で最も大きく動く関節ですが、その反面、固定して動かさない期間が続くと、あっという間に周りの組織が癒着して固まってしまう(拘縮:こうしゅく)という厄介な性質を持っています。

まつもと整形外科では、経験豊富な理学療法士が患者さまと二人三脚で専門性の高いリハビリを進めます。

骨折の初期段階(固定期間中)は、折れた部分に負担をかけないよう、手首や指先の運動から始め、前かがみになって腕を振り子のように重力で優しく揺らす「コッドマン体操」などを指導します。 骨がくっつき始めたら、徐々に理学療法士の手を借りて肩の動く範囲を広げていく訓練(可動域訓練)や、衰えた筋肉を取り戻す筋力トレーニングへとステップアップしていきます。
リハビリは痛みを伴い、数ヶ月に及ぶ根気のいるプロセスです。

セルフケア・予防

上腕骨近位端骨折を経験された方も、これから予防したい方も、日常生活の中で以下の点に注意することが重要です。

転倒しない環境づくり

骨折の根本原因である転倒を防ぐことが最優先です。家の中の小さな段差をなくす、滑りやすいお風呂場やトイレに手すりを付ける、電源コードをまとめるなど、住環境を見直しましょう。

骨粗しょう症の治療と予防

骨密度検査を受け、必要であれば内服薬や昼夜による治療を開始してください。また、カルシウムやビタミンDを含む食事、適度な日光浴を心がけましょう。

筋力とバランス感覚の維持

転びそうになった時にパッと踏みとどまれるよう、日頃からウォーキングや軽いスクワットなどで足腰の筋力とバランス感覚を養っておくことが最高の予防薬となります。

Q&A

Q

骨がくっつくまで、どれくらいの期間がかかりますか?‌

A

骨のズレ具合や年齢にもよりますが、レントゲン上で仮骨ができて、日常生活で三角巾を外せるようになるまでに、おおよそ4週間から6週間程度かかります。完全に骨癒合するは約12週間ほどかかります。さらに3〜6ヶ月程度のリハビリが必要になることがあります。

Q

痛みが引いてきたので、自分で三角巾を外して腕を回してもいいですか?‌

A

絶対に自己判断で外したり、無理に回したりしないでください。痛みがないからといって骨が完全についているとは限りません。受傷から2週間程度で内出血が引いて痛みが軽減してきますが、それは内出血が引いてきているだけで骨がつながっているわけではありません。勝手に動かすと、せっかく良い位置にあった骨がズレてしまい、手術が必要になってしまうことがあります。必ず医師の指示に従ってください。

Q

高齢の母が骨折しました。手術をしなくても治りますか?

A

ご高齢の方の場合、全身麻酔の手術は体力的な負担が大きいため、骨のズレが許容範囲であれば、できる限り保存療法(手術なし)を選択します。実際、上腕骨近位端骨折の多くは保存療法で治療可能です。ただし、ズレが大きく放置すると将来腕が全く挙がらなくなるリスクが高い場合は、患者さまの活動性(例えば、一人暮らしで家事をする必要があるなど)を考慮し、ご家族としっかり話し合った上で手術をお勧めすることもあります。

Q

リハビリは痛いと聞いて不安です。

A

肩のリハビリは、固まった関節を動かしていくため、痛みを伴うこともあります。しかし、患者さまの痛みを確認しながら愛護的に安全に行います。痛みを怖がって全く動かさないと後遺症が残ってしまいますので、一緒に乗り越えていきましょう。

Q

治療が終わった後も、以前のように腕が上がらないなどの後遺症は残りますか?‌

A

上腕骨近位端骨折は、非常に拘縮(関節が固まること)を起こしやすい骨折です。完璧にリハビリを行っても、受傷前と全く同じ角度まで腕が上がるようにはならない(可動域制限が残る)ケースも少なくありません。しかし、洗濯物を干す、髪を洗うといった日常生活の動作に支障が出ないレベルまで回復させることは十分に可能です。早期からの正しいリハビリが、後遺症を最小限に抑える鍵となります。