足底線維腫|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

足底線維腫 PLANTAR-FIBROMATOSIS

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足底線維腫(そくていせんいしゅ)とは

人間の足の裏には、踵(かかと)の骨から足の指の付け根に向かって、強靭な扇状の腱(結合組織)がピンと張っています。これを「足底腱膜(そくていけんまく)」と呼びます。足底腱膜は、足の裏の土踏まず(アーチ)をバネのように支え、歩行時やジャンプの着地時に地面からの衝撃を吸収する、極めて重要なクッションの役割を果たしています。

「足底線維腫」とは、この足底腱膜の一部に線維細胞が異常に増殖し、コラーゲンが過剰に蓄積することで、硬い「しこり(結節)」ができてしまう病気です。(医学的にはレダーホース病:Ledderhose disease とも呼ばれます)。

しこりの大きさは数ミリ程度の小さなものから、数センチにも及ぶ大きなものまで様々です。一つだけポツンとできることもあれば、複数のしこりが数珠つなぎのように多発することもあります。最初は痛みがなく、お風呂上がりなどに足の裏を触っていて偶然「硬い豆のようなものがある」と気づくケースが多いのが特徴です。

手のひらの皮膚の下にある腱膜が硬くなって指が曲がってしまう「デュピュイトラン拘縮(こうしゅく)」という病気と極めてよく似た性質を持っており、実際に両方の病気を併発される患者さまもいらっしゃいます。 最も大切なポイントは、このしこりは細胞が線維化した「良性」の病変であり、他の臓器へ転移したり、命を脅かしたりする「悪性腫瘍(がん)」ではないということです。

症状

足底線維腫の症状は、しこりの大きさやできる場所によって大きく異なります。

足の裏の硬いしこり(結節)

最も特徴的で、初期に気づきやすい症状です。足の裏の土踏まず(内側のアーチ)から、やや踵(かかと)寄りの部分にかけて、皮膚の下にゴリゴリ、あるいはコロコロとした硬いしこりを触れます。しこりは皮膚の表面にできているわけではなく、その奥の組織(腱膜)に発生しているため、皮膚自体を指でつまんで動かすことはできても、しこりそのものは骨やスジにくっついているように固定されており、あまり動きません。

歩行時や体重をかけた時の足の裏の痛み・違和感‌

しこりが小さいうちは無症状であることが多いですが、しこりが大きくなってきたり、炎症を伴ったりすると痛みが出現します。歩く時、特に素足でフローリングなどの硬い床を歩いた際や、靴の中でしこりが直接圧迫された時に、「小石を踏んづけているような痛み」や「ビリッとした鋭い痛み」が走ります。痛みをかばって歩くようになるため、足首や膝、腰など、他の部位にまで負担がかかり二次的な痛みを引き起こすこともあります。

足の指のつっぱり感と変形(進行・重症化した場合)

足底線維腫がさらに進行し、しこりが広範囲にわたって足底腱膜全体を硬く縮めさせてしまうと、足の指(特に親指や人差し指)へ向かうスジが強く引っ張られてしまいます。手の指に起こる類似疾患(デュピュイトラン拘縮)に比べると足の指が変形することは非常に稀(まれ)ですが、極度に重症化すると、足の指をしっかりと上に反らせることができなくなったり、指が常に少し曲がったまま伸びなくなったりする変形や、強い突っ張り感が生じることがあります。

原因

遺伝的な体質・素因

手のひらにしこりができるデュピュイトラン拘縮と同様に、遺伝的な要素が強く関与していると考えられています。ご家族に足底線維腫やデュピュイトラン拘縮の方がいらっしゃる場合は、発症しやすい体質を受け継いでいる可能性があります。

足底腱膜への繰り返しの微小な外傷

立ち仕事が長い方、硬い地面でのランニングやジャンプを繰り返すスポーツ選手、あるいは底の薄い靴を長期間履き続けている方など、足の裏(足底腱膜)に持続的・反復的な機械的ストレス(負担や衝撃)がかかることで、組織に微小な傷がつき、それを修復しようとする過程で線維細胞が過剰に増殖してしまうという説が有力視されています。

全身的な疾患との関連

糖尿病をお持ちの方や、肝臓の疾患(アルコール性肝障害など)、てんかんの治療薬(抗てんかん薬)を長期服用されている方に合併しやすい傾向があることが分かっています。

診断

問診と触診

「いつ頃しこりに気づいたか」「少しずつ大きくなっているか」「痛みはどの動作で出るか」を詳しく伺います。その後、実際に足の裏を触診し、しこりの硬さ、大きさ、皮膚との癒着の有無、押した時の痛み(圧痛点)を丁寧に確認します。足の指を反らせて足底腱膜をピンと張った状態にすると、しこりがよりはっきりと触れやすくなるのが特徴です。

超音波(エコー)画像診断装置を用いた評価

足底線維腫の診断において、大きな威力を発揮するのが超音波(エコー)検査です。レントゲンには骨しか写りませんが、エコーを足の裏に当てることで、足底腱膜の中に存在するしこり(低エコー結節)をリアルタイムで鮮明に映し出すことができます。しこりの内部の血流の状態や、周囲の神経や血管との位置関係を詳細に評価でき、被曝の心配もないため、非常に安全かつ強力な診断ツールとなります。

MRI検査

しこりが大きく成長している場合やエコー検査で他の腫瘍が疑われる場合、あるいは手術を検討する場合には、MRI検査が必要となります。MRIでは、病変の足の裏での広がり具合や、深部の組織への入り込み方を立体的に正確に把握することができます。まつもと整形外科にてMRI検査が必要と判断した場合は、近隣の連携する高度医療機関にて、スムーズに検査を受けていただけるよう迅速にご紹介致します。

セルフチェック

ご自身の足の裏にあるしこりや痛みが、足底線維腫の可能性があるかどうか、ご自宅で確認できるセルフチェックリストです。

☑️ 足の裏の「土踏まず」のあたりに、数ミリから数センチの硬いコロコロとしたしこりがある。
☑️ しこりは皮膚の表面ではなく、皮膚の少し奥(スジの中)にあるように感じる。
☑️ 裸足でフローリングなどの硬い床を歩くと、しこりが当たってズキッと痛む。
☑️ 足の親指を手で強く反らせて足の裏をピンと張ると、しこりがよりくっきりと浮き出て触りやすくなる。
☑️ 痛い部分を指で直接強く押すと、飛び上がるような痛みがある。
☑️ 手のひらにも、同じように硬いしこりやスジの引きつれがある(デュピュイトラン拘縮の合併)。

治療

足底線維腫の治療方針は、痛みの程度としこりの大きさによって決定されます。この病気のしこりは「良性」であるため、痛みが全くなく、日常生活に支障がない場合は、無理に治療や手術をする必要はなく「経過観察」となります。しかし、歩くたびに痛みがある場合は、以下の治療を行います。

保存療法

【保険診療で作成可能】オーダーメイドインソール(治療用装具)の処方
足底線維腫の痛みを和らげる最も効果的な方法が、インソール(中敷き)の工夫です。まつもと整形外科では、患者さま一人ひとりの足の形やしこりの位置に合わせ、「しこりが当たる部分だけをくり抜いた(除圧した)柔らかいインソール」を、健康保険適用(保険診療)で作成することが可能です。ご自身の足にぴったりとフィットするインソールを毎日の靴に入れるだけで、しこりへの直接的な圧迫や摩擦を劇的に減らし、痛みを気にせず歩行できるようになります。

◯超音波(エコー)下ステロイド注射
痛みが極めて強く歩行困難な場合には、超音波(エコー)画像を見ながら、しこりの周囲の炎症を起こしている部位へピンポイントで少量のステロイド薬を注射することがあります。的確な場所に注射することで、炎症が速やかに鎮まり、縮小することもあります。

◯薬物療法(内服薬・外用薬)
痛みをコントロールするために、消炎鎮痛薬(飲み薬や湿布)を処方します。

手術療法(保存療法で改善しない重症の場合)‌

インソールや注射などの保存療法を数ヶ月続けても痛みが引かない場合、しこりが急速に巨大化して靴が履けない場合、痛みで日常生活に支障が出る場合、手術療法が検討されます。 手術では、しこりを含めた足底腱膜の一部、または全体を切除します。ただし、足底線維腫は手術でしこりを取り除いても「非常に再発しやすい(再発率が高い)」という厄介な特徴を持っています。そのため、手術の適応は極めて慎重に判断する必要があります。まつもと整形外科にて手術が最善であると判断した場合は、足の外科手術を専門とする高度専門医療機関へ責任を持ってご紹介いたします。

リハビリ

足底腱膜とふくらはぎのストレッチ指導

足底腱膜が硬く緊張していると、しこりへの負担が増加し痛みが悪化します。まつもと整形外科では経験豊富な理学療法士が、足の裏の筋肉や、それと連動して働くふくらはぎ(下腿三頭筋)やアキレス腱の正しいストレッチ方法をマンツーマンで指導いたします。柔軟性を高めることで、足底腱膜にかかる張力を緩和させます。

歩行フォームの修正とインソール適合の確認

痛みをかばった不自然な歩き方(跛行:はこう)を続けていると、膝や腰を痛めてしまいます。理学療法士が患者さまの歩き方を分析し、オーダーメイドのインソールがしっかりと機能しているかを確認しながら、足裏全体でバランス良く体重を支える理想的な歩行フォームを取り戻すための訓練を行います。日常生活やお仕事の動作に合わせた、きめ細やかなリハビリプランを提供いたします。

セルフケア・予防

足底線維腫の発症を完全に防ぐことは難しいですが、しこりが大きくなるのを防ぎ、痛みを悪化させないためには、日常生活で「足の裏への負担を減らし、しこりを刺激しない工夫」が不可欠です。以下のセルフケアを心掛けてください。

しこりを強く揉む・刺激するのは絶対にNG!

患者さまが最もやってしまいがちな間違いが、「青竹踏みでゴリゴリと強く踏む」「マッサージ店でしこりを強く揉みほぐしてもらう」「ゴルフボールを足の裏で転がす」といった行為です。足底線維腫は、外部からの物理的な刺激(摩擦や圧迫)を受けると、それを「組織への攻撃(傷)」と勘違いしてしまい、修復しようと線維細胞がさらに増殖し、しこりが余計に大きく、硬くなってしまいます。しこりには絶対に強い刺激を与えず、優しく労わるようにしてください。

足底を優しくストレッチする習慣

お風呂上がりなど、足が温まって筋肉がほぐれているタイミングで、手を使って足の指全体をゆっくりとスネの方へ反らせる(足底腱膜を伸ばす)ストレッチを行ってください。決して「痛気持ちいい」まで強くやらず、「心地よく伸びている」と感じる程度の強さで10〜15秒ほどキープするケアを毎日の習慣にしましょう。

適切な靴(シューズ)選びの徹底

靴底がペラペラに薄い靴(パンプスなど)や、サイズの合っていない靴は、足底へのダメージを増大させます。靴底に適度な厚みとクッション性があり、足の甲を紐やマジックテープでしっかりと固定できるスニーカータイプの靴を選ぶことが、「健康をプロデュース」する第一歩となります。

Q&A

Q

足の裏のしこりは、将来がん(悪性腫瘍)に変わってしまうことはありますか?‌

A

足底線維腫は良性の腫瘍(細胞の増殖)であり、時間の経過とともに悪性腫瘍(がん)に変化(悪性化)したり、他の臓器に転移したりすることは原則としてありません。その点はどうぞご安心ください。ただし、足の裏にできるしこりの中には、ごく稀に元々が悪性の病気(滑膜肉腫など)であるケースも存在します。「これは良性だろう」と自己判断して放置せず、整形外科でエコー検査やMRI検査を受け、正確な確定診断を受けておくことが何よりも大切です。

Q

痛い部分を自分でマッサージして、しこりをほぐして柔らかくしてもいいですか?

A

絶対にやめてください。しこりを強く揉んだり刺激したりするのは逆効果です。足底線維腫は、外部からの強い摩擦や圧迫(メカニカルストレス)を受けると、組織が傷ついたと反応して線維がさらに増殖し、しこりが急激に大きくなったり、痛みが強くなったりする性質があります。青竹踏み、ゴルフボールでのマッサージ、整体での強い指圧などは厳禁です。治療の基本は「しこりへの刺激を極力減らすこと(除圧)」ですので、オーダーメイドのインソールなどを活用して足裏を保護することが最も効果的です。

Q

足の裏のしこりは、市販の「ウオノメ・タコ用の薬」で治りますか?

A

治りません。足底線維腫は、皮膚の表面の角質が硬くなる「タコ」や「ウオノメ」とは全く異なり、皮膚の奥にある腱膜(足底腱膜)にできる腫瘍です。そのため、市販のウオノメ用の薬(サリチル酸絆創膏など)を貼っても効果がないどころか、健康な皮膚を傷つけて炎症を起こしてしまう危険があります。足の裏のしこりがタコなのか、イボなのか、足底線維腫なのかをご自身で見分けることは非常に困難ですので、自己判断でお薬を使う前に、まずは整形外科で正確な診断を受けてください。

監修

院長
松本 淳志 Atsushi Matsumoto

経歴

  • 済生会福岡総合病院
  • 製鉄記念八幡病院
  • 福岡市民病院
  • 九州大学病院
  • 九州医療センター
  • 福岡赤十字病院
  • 済生会八幡総合病院
  • 福岡青洲会病院

資格・所属学会

  • 日本整形外科学会 専門医(日本専門医機構)
  • 日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医
  • 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
  • 日本フットケア学会認定 フットケア指導士
  • 身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)
  • 難病指定医
  • 日本整形外科学会
  • 日本フットケア・足病医学会