大腿骨内顆骨壊死|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

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大腿骨内顆骨壊死(だいたいこつないかこつえし)とは

大腿骨の膝側の先端は、内側と外側の二つの丸い出っ張り(顆部:かぶ)に分かれています。このうち、内側の出っ張りを「内顆(ないか)」と呼びます。歩行時など、人間の体重の多くはこの「内側の関節部分」に直接かかっています。

「大腿骨内顆骨壊死」とは、この大腿骨の内顆部分の骨組織への血流が何らかの原因で悪くなり、骨の一部が局所的に死んでしまう(壊死する)病気です。(※医学的には、特発性膝骨壊死:SONK とも呼ばれます)。

主に60歳以上の女性に多く発症するのが特徴です。壊死した骨はもろくなり、体重を支えきれなくなるため、進行すると骨の表面(関節面)が陥没(ペチャンコに潰れること)してしまい、関節の形がいびつになって激しい痛みと変形性膝関節症を引き起こします。

「壊死」という言葉が使われていますが、ばい菌に感染して足全体が腐っていくような病気(壊疽)ではありません。あくまで「膝の関節の軟骨のすぐ下にある、数ミリから数センチの範囲の骨だけ」が血流障害を起こして脆くなっている状態です。

症状

大腿骨内顆骨壊死の最大のサインは膝の内側の急激な痛みです。

何の前触れもなく起こる、膝の内側の痛み

「階段を降りようとした瞬間」「朝、布団から立ち上がろうとした時」「庭いじりをしていて立ち上がった時」など、はっきりとしたケガや転倒などの原因がないにもかかわらず、ある日突然、歩くことも困難なほどの激しい痛みに襲われます。痛みの場所は、ほぼ例外なく「膝の内側」に限定されます。

安静にしていても痛む「夜間痛」

一般的な加齢による膝の痛み(変形性膝関節症)は、動かした時に痛み、休むと和らぎます。しかし、骨壊死の場合は骨の内部で強い炎症と圧力の上昇が起きているため、歩いている時はもちろんのこと、ソファーでじっと座っている時や、夜ベッドで寝ている時(安静時)にもズキズキとした激しい痛みが続き、痛みで目が覚めてしまうことが多々あります。

膝の腫れ(水が溜まる)と動かしにくさ(可動域制限)

骨が壊死して関節の中に強い炎症が起こると、関節液が異常に分泌され、膝全体がパンパンに腫れ上がります(膝に水が溜まった状態)。痛みに加えて、水による圧迫感で膝を最後までピンと伸ばすことや、深く曲げることができなくなり、足を引きずるようにして歩くようになります。

原因

骨粗鬆症による微小骨折からの「二次的な骨壊死」

閉経後の女性は女性ホルモンの低下により、骨密度が急激に低下します。スカスカになってもろくなった膝の骨に日常の歩行の負担がかかり続けると、軟骨のすぐ下の骨に気づかないうちに微小骨折が起こります(軟骨下脆弱性骨折)。この骨折部分が腫れて内圧が上がることで局所の血流が途絶え、結果としてその周囲の骨が「壊死」してしまうというメカニズムが、現在最も有力な原因とされています。

半月板(はんげつばん)の損傷によるクッション機能の破綻

膝のクッションの役割をしている「内側半月板」が加齢で傷ついたり、後根(根元の部分)が切れて機能しなくなったりすると、太ももの骨(大腿骨)への衝撃を吸収できなくなります。その結果、内顆部分の骨に直接激しい負担が集中し、上記の微小骨折や骨壊死を引き起こす強力な引き金となります。

O脚(内反膝)によるメカニカルストレス

日本人に多いO脚は、もともと膝の内側に体重が集中しやすい構造になっています。これに骨の老化が加わることで、内側の骨が日々の歩行ストレスに耐えきれなくなり、発症を助長するケースが多々あります。

診断

X線(レントゲン)検査

まずはレントゲン撮影を行い、骨の形や軟骨のすき間を確認します。しかし、発症して数週間以内の初期段階では、レントゲン上は「全く異常なし」と見えてしまうことが多々あります。ここで「異常がないからただの捻挫だろう」と見逃されて無理に歩き続けてしまい、後から骨が潰れてしまう(陥没する)ケースがあります。

MRI検査

突然の激痛や夜間痛があり、レントゲンで異常がない場合は大腿骨内顆骨壊死を強く疑い、早期にMRI検査を行うことが重要です。MRIでは、レントゲンには写らない「骨の内部の浮腫(むくみ)」や「血流が途絶えた壊死の範囲」を鮮明に映し出すことができます。まつもと整形外科では、MRI検査が必要な場合には連携する高度医療機関へ速やかにご紹介致します。

DXA(デキサ)骨密度測定装置

この病気の背景には「骨粗鬆症」が高確率で隠れています。まつもと整形外科では、世界基準の高精度なDXA(デキサ)骨密度測定装置を完備しております。膝の治療と並行して、根本原因である骨粗鬆症の評価を行うことが、今後の人生における骨折予防において極めて重要です。

超音波(エコー)画像診断

膝にどれくらい水(関節液)が溜まっているか、被曝なくリアルタイムで評価するために、エコー検査も併用いたします。

セルフチェック

「急に膝が痛くなった」という時、ご自宅で確認できるセルフチェックリストです。

☑️ 数日前までは平気だったのに、ある日を境に突然、歩けないほど膝が痛くなった。
☑️ 痛いのは、膝の「内側(お皿の斜め下あたり)」である。
☑️ 痛む側の足に体重をかけること(片足立ち)が痛くてできない。
☑️ 歩いている時だけでなく、夜、布団の中でじっとしていてもズキズキと痛む。
☑️ 膝全体が熱を持ってパンパンに腫れている。
☑️ 60歳以上の女性である。

治療

保存療法(壊死の範囲が狭く、骨が潰れていない初期の場合)

◯徹底した免荷と装具療法
痛みが強い急性期(最初の数週間〜数ヶ月)は、患部の骨が潰れるのを防ぐために、松葉杖を使用して痛い方の足に体重をかけない(免荷)ことが最も重要です。また、靴の中に外側を高くしたインソール(足底挿板)を入れたり、専用の膝サポーターを装着したりすることで、膝の内側にかかる負担を外側へと逃がす治療を行います。

◯骨粗鬆症の治療
まつもと整形外科のDXA検査で骨粗鬆症と診断された場合は、骨を強化するお薬(ビスホスホネート製剤や骨形成促進薬など)の治療を並行して行います。

◯薬物療法
痛みを抑える飲み薬を処方します。

◯注射
膝に水がパンパンに溜まっている場合は、針を刺して水を抜き、炎症を鎮める薬やヒアルロン酸を関節内に注射して痛みを和らげます。

手術療法(壊死範囲が広く、痛みが取れない場合)

数ヶ月保存療法を行っても激痛が引かない場合や、壊死した骨が体重に耐えきれずに陥没してしまった場合は、歩行機能を回復させるために手術が必要となります。 ご自身の骨を切ってO脚を真っ直ぐに矯正し、内側の負担を減らす「高位脛骨骨切り術(HTO)」や、傷んだ内側の関節部分だけを金属に置き換える「人工膝関節部分置換術(UKA)」、膝全体を置き換える「人工膝関節全置換術(TKA)」などがあります。まつもと整形外科にて手術が最善であると判断した場合は、膝の専門手術において実績のある高度医療機関へ責任を持ってご紹介いたします。

リハビリ

免荷期間中の筋力低下防止トレーニング

松葉杖で体重をかけない期間が続くと、太ももの筋肉(大腿四頭筋)は驚くほどのスピードで衰え、細くなってしまいます。筋肉が落ちると、治った後に膝を支えられなくなります。まつもと整形外科の経験豊富な理学療法士が、体重をかけずに太ももの前側に力を入れる運動(パテラセッティング)や、座ったまま足上げを行う安全な筋力トレーニングをマンツーマンで指導いたします。

股関節・足関節の柔軟性向上

膝をかばって歩くことで、股関節や足首、腰回りの筋肉がに固まって二次的な痛みを引き起こします。膝以外の関節の可動域をしっかりと広げ、全身のバランスを整えるコンディショニングを徹底します。

段階的な荷重訓練と歩行指導

医師と理学療法士の監視のもと、全体重の3分の1、半分……と、少しずつ膝に体重をかける練習(荷重訓練)を開始し、安全に独歩(杖なしでの歩行)へと復帰するサポートを行います。

セルフケア・予防

定期的な骨密度検査

骨粗鬆症は「沈黙の病」と呼ばれ、骨折するまで症状がありません。特に女性の方は、閉経を迎える50歳前後から定期的にDEXA法による骨密度検査を受けることを強くお勧めします。久留米市では、25歳以上の女性を対象に5年ごとの節目年齢で「骨粗しょう症検診」が実施されています。ご自身の骨の強さを知ることが予防の第一歩です。

栄養と適度な運動による骨への刺激

カルシウムやビタミンD、ビタミンKを豊富に含むバランスの良い食事を心掛けてください。また、骨は「適度な物理的刺激(体重がかかること)」を受けることで強くなります。激しい運動は不要ですが、ウォーキングなどの適度な運動を日常的に続けることが大切です。

適正体重の維持(膝への負担軽減)

体重が1kg増えると、歩行時に膝にかかる負担は3〜4kg増えると言われています。健康的な体重を維持することも、膝の骨を守る大きなケアとなります。

Q&A

Q

普通の「変形性膝関節症」とは何が違うのですか?‌

A

変形性膝関節症は、長年の負担によって関節の「軟骨」が少しずつすり減り、何ヶ月・何年もかけて徐々に痛みが出てくる病気です。一方、大腿骨内顆骨壊死は、軟骨の下にある「骨そのもの」の血流が途絶えたり微小な骨折が起きたりする病気です。そのため、昨日まで元気に歩いていたのに、ある日突然、夜も眠れないほどの激痛に襲われるという、非常に急激な発症の仕方が決定的な違いです。

Q

膝の痛みが激しいのに、近くの病院でレントゲンを撮ったら「異常なし。加齢のせい」と言われました。どうすればいいですか?‌

A

大腿骨内顆骨壊死や骨粗鬆症による不全骨折は、発症して間もない初期の段階では、レントゲンに全く異常が写らないのが一般的な特徴です。「レントゲンで異常がないのに、歩けないほど痛い」場合、当院では大腿骨内顆骨壊死などを強く疑い、早期にMRI検査の手配を行います。初期段階で見逃さず、正しく診断して足に体重をかけない(免荷する)ことが、将来手術を回避するための最大の分かれ道となります。

Q

骨が壊死しているということは、足を切断しなければならないのですか?‌

A

いいえ、絶対に足を切断することはありません。どうかご安心ください。「壊死」という言葉から、糖尿病などで足全体が腐ってしまう「壊疽(えそ)」を想像されて恐怖を感じる方が非常に多いのですが、全く別の病態です。大腿骨内顆骨壊死は、膝の関節の表面にある数ミリ〜数センチの範囲の骨だけが血流不足でもろくなっている状態です。適切な保存療法で治ることもありますし、仮に骨が潰れて進行してしまった場合でも、人工膝関節置換術などの専門的な手術を受けることで、再び自分の足でしっかりと歩けるようになります。

監修

院長
松本 淳志 Atsushi Matsumoto

経歴

  • 済生会福岡総合病院
  • 製鉄記念八幡病院
  • 福岡市民病院
  • 九州大学病院
  • 九州医療センター
  • 福岡赤十字病院
  • 済生会八幡総合病院
  • 福岡青洲会病院

資格・所属学会

  • 日本整形外科学会 専門医(日本専門医機構)
  • 日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医
  • 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
  • 日本フットケア学会認定 フットケア指導士
  • 身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)
  • 難病指定医
  • 日本整形外科学会
  • 日本フットケア・足病医学会