アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎 ACHILLES-TENDINITIS

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アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎とは

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)とかかとの骨(踵骨:しょうこつ)をつなぐ、人体で最も太く強靭な腱です。歩く、走る、ジャンプするといった動作を行う際、アキレス腱には体重の何倍もの非常に大きな引っ張られる力がかかります。この負荷が蓄積し、アキレス腱がダメージを受けて痛みや腫れを引き起こした状態を、一般的に「アキレス腱炎」と呼んでいます。

しかし、整形外科の専門的な視点では、痛みを起こしている組織がどこであるかによって、大きく以下の2つに分類して診断と治療を行います。

1. アキレス腱炎(腱そのものの炎症) アキレス腱自体のコラーゲン線維に、過度な負担による微小な断裂(傷)が生じた状態です。加齢による腱の変性(弾力の低下)も影響しやすく、腱自体が太く腫れあがってしこりのように硬くなることがあります。

2. アキレス腱周囲炎(パラテノンと呼ばれる膜の炎症) アキレス腱は、他の多くの腱にあるような「腱鞘(けんしょう)」というトンネルを持たず、代わりに「パラテノン」という血流に富んだ薄い膜に包まれています。このパラテノンが、アキレス腱との過剰な摩擦などによって炎症を起こした状態が「アキレス腱周囲炎」です。アキレス腱そのものよりも浅い部分が腫れ、足首を動かした時に「ギシギシ」「キュッキュッ」という独特の摩擦音が鳴るのが特徴です。

これら2つは単独で発症することもあれば、同時に合併して発症することもあります。

症状

CONSULTATION

  • 朝起きてベッドから立ち上がり、歩き始めの最初の一歩でかかとや足首の後ろが痛む
  • ランニング中やスポーツの直後に、アキレス腱の周辺がジンジンと痛む
  • アキレス腱の特定の場所を指でつまんだり、押したりすると強い痛み(圧痛)がある
  • アキレス腱のあたりが、反対の足と比べてぷっくりと腫れて太くなっており、少し熱を持っている
  • 足首を動かしたり歩いたりすると、アキレス腱のあたりからきしむ音がする
  • 靴のかかと部分(ヒールカウンター)がアキレス腱に擦れるだけで痛く、革靴や硬い靴が履けない
  • 足首を上に向けて反らす(背屈する)動作や、深くしゃがみ込む動作をすると、強い痛みが出る
  • 階段を上る時や、つま先立ちをした時に、足首の後ろにピキッと痛みが走る

など

原因

アキレス腱のトラブルを引き起こす原因は、単なる「運動のしすぎ」だけではありません。年齢、身体の柔軟性、足の形、そして環境など、様々な要因が複雑に絡み合って発症します。

オーバーユース(使いすぎ)と摩擦

マラソン、剣道、バレーボール、バスケットボールなど、走る・跳ぶ動作を繰り返すスポーツで、アキレス腱に牽引力がかかり続けることが引き金となります。反復運動によってアキレス腱とパラテノンの間に摩擦が生じ、周囲炎を引き起こします。

加齢に伴う腱の変性(組織のすり減り)

年齢を重ねると、アキレス腱の水分が失われ、線維の弾力が低下して脆くなっていきます。そのため、中高年の方では、激しいスポーツをしていなくても、日常のウォーキングや階段昇降といった軽い負荷の蓄積だけでアキレス腱炎を発症しやすくなります。

足の形や歩き方のクセ(アライメント異常)

扁平足や歩く時にかかとが内側に倒れ込む「過回内(オーバープロネーション)」といった足のクセがある方は、着地のたびにアキレス腱がねじれるように引っ張られるため、パラテノンや腱そのものに非常に大きな負担がかかります。

柔軟性の低下と筋力不足

ふくらはぎの筋肉や太ももの裏の筋肉が硬いと着地の衝撃を筋肉でうまく吸収できず、アキレス腱に逃げてしまいます。

環境要因

アスファルトなどの硬い路面でのランニング、かかとのすり減った古いシューズの使用、また、急に練習量や走行距離を増やしたこと(オーバートレーニング)も、直接的な発症原因となります。

診断

問診・視診・触診

いつから痛むか、どのような動作で痛みが強くなるか、スポーツの頻度や靴の種類などを詳しく伺います。そして、アキレス腱に腫れやしこりがないかを目視で確認します。

X線(レントゲン)検査

アキレス腱自体はレントゲンに写りませんが、かかとの骨に「骨棘(こつきょく)」と呼ばれるトゲのような変形ができていないか、石灰化がないかを確認するために必須の検査です。

超音波(エコー)検査

エコーを用いることで、レントゲンでは見えないアキレス腱の厚み(腫れ具合)、内部の微小な断裂、周囲の膜(パラテノン)の水溜まり、そして炎症のサインである「異常な血流の増加」をリアルタイムで視覚的に確認し、アキレス腱炎とアキレス腱周囲炎を正確に鑑別します。

MRI検査(必要に応じて)

痛みが長期間(数ヶ月以上)治まらない難治例や、アキレス腱が部分的に断裂している疑いがある場合には、より詳細な評価のためにMRI検査を行います。必要な場合は、提携する総合病院等の専門医療機関へ速やかにご紹介いたします。

セルフチェック

ご自身の足の痛みがアキレス腱のトラブルによるものかどうか、ご自宅で確認できる簡単なセルフチェックリストです。

☑️ 足首を大きく回したり歩いたりすると、アキレス腱のあたりで「ギシギシ」と音が鳴る気がする。
☑️ 痛い方の足のアキレス腱を親指と人差し指で軽くつまむと、「ズキッ」と強い痛みがある。
☑️ 痛くない方の足と見比べると、痛い方のアキレス腱が明らかに太く腫れてぼやけて見える。
☑️ 朝起きてベッドから降りた最初の一歩目で、かかとの後ろ側に強い痛みを感じる。
☑️ 痛い方の足だけで「片足つま先立ち」をしようとすると、痛くてかかとを持ち上げられない。

※これらの項目に複数当てはまる場合は、アキレス腱や周囲の膜に強い炎症が起きている可能性が高いです。無理にストレッチをしたり走ったりせず、速やかにまつもと整形外科を受診してください。

治療

アキレス腱炎およびアキレス腱周囲炎の治療は、初期から中期であれば手術を行わない「保存的加療」が原則となります。痛みを我慢して運動を続けると慢性化し、治療期間が劇的に長引いてしまうため、まずは的確な対処を行うことが不可欠です。

局所の安静(Rest)

治療の第一歩は、アキレス腱への負荷を減らすことです。ランニングやジャンプを伴うスポーツは一旦休止し、ウォーキングの距離も痛みの出ない範囲に制限します。「痛みを誘発する動作」を避けることが組織の修復には重要です。

薬物療法(飲み薬・塗り薬・湿布)‌

痛みが強い急性期には、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs:ロキソニンやボルタレンなど)の飲み薬や湿布、塗り薬を処方し、患部の激しい炎症を速やかに抑えます。 ※注意点として、まつもと整形外科では、アキレス腱に対してステロイド注射を行うことは原則として推奨しておりません。 ステロイドは強力に炎症を抑えますが、同時に腱の組織を脆くする副作用があるため、注射後に少し無理をしただけで「アキレス腱断裂」を引き起こすリスクが非常に高くなるためです。

装具療法・インソール(ヒールパッド)

靴のかかと部分に「ヒールパッド(かかとを少し高くする中敷き)」を挿入する治療法です。かかとが高くなることで、歩行時や起立時にアキレス腱が引っ張られるテンション(張力)が物理的に緩み、痛みが劇的に軽減します。また、扁平足などが原因の方には、足のアーチを正しく支える医療用インソールの作成をご提案いたします。

物理療法 

物理療法を取り入れて患部の回復を促します。まつもと整形外科では、干渉波などの電気治療器を用いて、ふくらはぎの筋肉からアキレス腱周辺の血流を改善し、筋肉の過度な緊張と痛みを和らげます。また、超音波治療器を用いることで、手技では届かない腱の深部まで細かい振動(マイクロマッサージ効果)や温熱効果を直接届け、傷んだアキレス腱や周囲の組織の修復を促進させます。

リハビリ

筋肉の柔軟性向上(徒手療法・ストレッチ)

ふくらはぎの筋肉が硬いとアキレス腱に負担が集中します。痛みが落ち着いてきた段階で、理学療法士がアキレス腱周囲や下腿のストレッチを行い、筋肉と腱の滑走性を高めます。

エキセントリック・トレーニング(遠心性収縮運動)

これは、傷ついたアキレス腱の組織を「再生」させるために世界中で推奨されているリハビリです。具体的には、階段の段差などを利用し、つま先立ちの状態から「筋肉で踏ん張りながら、ゆっくりとかかとを下へ降ろしていく(引き伸ばされる)」運動を行います。

動作指導とフォーム改善

ランナーの方であれば、着地の際にかかとから落ちすぎていないか、足首が内側に倒れ込んでいないかなど、患部に負担をかけないフォームへの修正をアドバイスいたします。

セルフケア・予防

アキレス腱の痛みを再発させず、長く健康にスポーツや日常生活を楽しむためには、日々のセルフケアが不可欠です。

入念なウォーミングアップとクールダウン

運動前はアキレス腱だけでなく、股関節や太ももを含めた下半身全体のストレッチを十分に行いましょう。運動後は、ほてった患部をアイシングして炎症の拡大を防ぎ、疲労を残さないことが大切です。

シューズの見直しと定期的な交換

かかとのクッション性が失われた古い靴や、サイズの合っていない靴はアキレス腱の最大の敵です。足の甲とかかとがしっかりホールドされ、適度なクッション性のある靴を選んでください。

練習量(負荷)のコントロール

「週末だけ急に長距離を走る」といった急激な負荷の増加は避けましょう。運動量は、週に10%程度のペースで少しずつ段階的に増やしていくのが安全なルールです。

適正体重の維持

生涯にわたってご自身の足で歩き続けるためには、体重管理が基本です。体重が増えれば、歩くたびにアキレス腱にかかる負担も比例して増大します。バランスの取れた食事と無理のない運動で、足首に負担をかけない適正体重を保ちましょう。

Q&A

Q

アキレス腱炎になった直後は、冷やすべきですか?温めるべきですか?‌

A

運動をした直後や、患部が熱を持って腫れている「急性期」には、氷水や保冷剤で15分程度「冷やす(アイシング)」のが正解です。一方、数週間以上続く慢性的な痛みや、朝起きた時のアキレス腱のこわばりに対しては、お湯やカイロで「温めて」血流を良くすることで、組織の修復を促す方が効果的です。

Q

痛みが強いのですが、ステロイド注射ですぐに治してもらえませんか?

A

アキレス腱に対するステロイド注射は原則として行っておりません。ステロイドは一時的に劇的な鎮痛効果がありますが、腱の組織を弱く脆くしてしまう強い副作用があります。注射を行うことで「アキレス腱断裂」という大ケガを引き起こすリスクが非常に高くなるため、飲み薬やインソール、物理療法といった安全な方法で治療を進めます。

Q

大会が近いので、痛みを我慢して走っても大丈夫ですか?

A

決しておすすめできません。痛みを我慢して走り続けると、パラテノンの炎症が腱本体にまで及び、微小な断裂が広がってしまいます。慢性化すると、組織が変性(しこりのように硬くなること)を起こし、半年以上も痛みが取れなくなったり、アキレス腱が完全に切れてしまったりする恐れがあります。まずは勇気を持って休養し、痛みの根本的な改善に努めましょう。

Q

「アキレス腱炎」と「アキレス腱断裂」はどう見分けるのですか?‌

A

「アキレス腱炎」や「周囲炎」は、痛いながらも自力で歩いたり、つま先立ちができたりします。一方「アキレス腱断裂」は、受傷した瞬間に「後ろから誰かに蹴られたような衝撃」や「バチッという破裂音」を感じることが多く、その後は足に力が入らなくなり、自力でつま先立ちをすることが全くできなくなります。断裂が疑われる場合は、患部に体重をかけないようにし、至急ご来院ください。

Q

市販のインソール(中敷き)を買って入れても効果はありますか?‌

A

足の形に合っていれば一定の効果は期待できます。特に、かかと部分だけが少し厚くなっている「ヒールアップ」タイプのインソールは、アキレス腱が引っ張られる力を緩める効果があるため有効です。ただし、市販品は万人の足に合うように作られているため、過回内(かかとが内側に倒れるクセ)などを矯正するには不十分な場合があります。市販品で痛みが改善しない場合は、まつもと整形外科にて患者さまの足型に合わせた医療用インソールの作成をご相談ください。