上腕骨内側上顆炎|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

上腕骨内側上顆炎 GOLFERS-ELBOW

上腕骨内側上顆炎|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)とは

上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)とは、肘の内側にある骨の出っ張り(上腕骨内側上顆)に炎症が起きて痛みが出る病気です。
名前の通り、ゴルフのスイング動作で発症することが多いのでゴルフ肘と呼ばれますが、実際にはテニス・野球・家事・デスクワークなど、手や腕をよく使う方にも起こります。
肘の内側の骨に、前腕の筋肉(特に手首を曲げる筋肉)が繰り返し引っ張られることで、筋付着部の微小な損傷と炎症が生じます。
30〜60代の男女に多く見られ、特に家事やパソコン作業を日常的に行う方にも発症しやすいのが特徴です。
早期に正しい診断とリハビリを行うことで、多くの場合は保存療法で改善が可能です。

症状

CONSULTATION

  • 肘の内側を押すとズキッと痛む
  • 物をつかんで持ち上げると痛い
  • 手首を曲げたり、ひねったりすると痛みが出る
  • ゴルフのスイングやボールを投げるときに痛む
  • 進行すると、日常動作(ドアノブ・ペットボトルなど)でも痛みが出る

など

原因

肘の内側にある硬い骨を内側上顆と呼びます。内側上顆には橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、長掌筋、円回内筋が付着しており、この前腕の屈筋群が繰り返し引っ張られることで、筋肉の付着部である上腕骨内側上顆に炎症が起こることが原因です。

主な原因


○ゴルフやテニスなどの繰り返される動作(オーバーユース)
○重い荷物を持ち上げる、雑巾を絞るなどの家事動作
○パソコンのキーボードやマウス操作の長時間使用
○手首を曲げる・ひねる動作の繰り返し
○加齢に伴う筋肉の柔軟性の低下
○大工など職業による繰り返される動作

特に、手首や肘まわりの筋力が弱い状態での反復動作や、フォーム不良によって発症しやすくなります。

どんな人が発症しやすいですか?


☑️40代以上の方
☑️ゴルフやテニスの初心者
☑️料理や掃除など家事をよくする方
☑️仕事でタオルを絞る、重たい物を持つなど手首に力を入れる方
☑️パソコン作業のマウスやキーボードを長時間使用する方

検査・診断

整形外科的検査

○手関節屈曲テスト
手首を手のひら側に曲げて、肘の内側の肘に痛みが現れるかどうかを確認します。

○圧痛テスト
肘の内側の骨(上腕骨内側上顆)を押すと痛む

画像検査


○レントゲン検査
骨の変形や石灰化の有無を確認

○エコー(超音波)検査
筋肉や腱の炎症・微細損傷を確認

治療法

鎮痛薬や湿布


<<鎮痛薬>>

○代表的な薬剤:カロナール

中枢神経に作用して、痛みを抑える薬です。副作用が少ないため小児や高齢者でも使用しやすいです。


<<非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)>>
○代表的な薬剤:ロキソニン、セレコキシブ、ボルタレン

痛みと炎症を和らげる薬です。痛みがある部位には炎症が起きています。この痛みや炎症を引き起こす物質の産生を抑制し、痛みを軽減させます。


<<オピオイド系鎮痛薬>>

○代表薬剤:ワントラム、ツートラム、トラムセット、トラマール

非麻薬性のオピオイド鎮痛薬でロキソニンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDS)などに効果がない場合に使用されます。脳内にあるオピオイド受容体という鎮痛に関わる受容体を刺激し、脳に痛みの信号が伝わりにくくする働きがあります。

温熱療法・電気治療

○温熱療法(ホットパック・遠赤外線)
血流促進と筋緊張の緩和

○電気治療(低周波・干渉波)
痛みの伝達を抑制し、筋肉をほぐす

注射治療

【ステロイド注射製剤の種類】

1.ケナコルト-A(トリアムシノロンアセトニド)

白色の懸濁液で、注射した組織内に長時間とどまるため、持続時間が長いのが特徴です。整形外科で最も使用されるステロイド注射薬になります。

2.デカドロン(デキサメタゾン)
 即効性がありますが、作用の持続時間は短いのが特徴です。

3.リンデロン懸濁注(ベタメタゾン)
ケナコルトと同様に懸濁液で、作用時間が長いのが特徴です。

4.デポメドロール(メチルプレドニゾロン酢酸エステル)
ケナコルトと同様に長期作用型です。臨床試験ではケナコルトと症状改善効果に実質的な差はないと言われています。


副作用

感染:頻回のステロイド注射は感染のリスクを高めます。
血糖上昇:糖尿病の方は血糖値が上昇することもあります。

注射した腱組織が脆弱になることがあります。

リハビリテーション

徒手療法(ストレッチ)


○前腕の筋肉(橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、長掌筋、円回内筋など)の緊張を和らげる
○肘・手首・肩の関節可動域を改善する
○血流促進・筋膜リリースで癒着を取り、痛みの原因を緩和

動作・姿勢の再教育


○手首や肘に過剰な負担がかからない使い方の指導
○ゴルフ・テニスなどのスイングフォーム指導
○デスクワーク時の姿勢改善(肘の角度・手首の位置)

筋力トレーニング


○前腕屈筋群・伸筋群のバランスを整える
○手首の安定性を高める軽負荷トレーニング(ゴムバンド・ボール使用)
○肩甲骨や体幹の筋力強化による全体的な安定性向上

筋力のバランスを整えることで、再発リスクを減らします。

セルフケア・予防


上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)は、再発しやすい疾患の一つです。
日常生活やスポーツ中に、次のポイントを意識することが予防につながります。

✅痛みを感じたら無理せず休む
✅練習や仕事前のストレッチを習慣化
✅手首を反らした状態で力を入れない
✅肩・肘・手首の連動を意識して動かす
✅スポーツ後はアイシングで炎症を抑える

Q&A

Q

ゴルフをしていないのに上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)になりますか?

A

はい。家事やパソコン作業など、日常的に手を使う方にも多く発症します。スポーツだけが原因ではありません。

Q

自然に治りますか?

A

軽症であれば安静で改善することもありますが、使いすぎを続けると慢性化しますが、早期にリハビリを行うことで再発も防げます。

Q

どのくらいで治りますか?

A

軽症なら1〜2か月、慢性化した場合は3〜6か月程度のリハビリが必要です。

Q

注射や手術は必要ですか?

A

ほとんどのケースは保存療法で改善します。強い炎症があり、痛みが強い場合にはステロイド注射を行います。手術はほとんどありません。

Q

注射の効果はありますか?

A

はい。エコー(超音波)を使って、炎症を起こして痛みの原因となっていると部位を特定して、その部位にピンポイントに注射しますので、ほとんどの方が1回の注射で痛みがなくなります。