部活動で腰痛…腰椎分離症と診断されたらどうする?|久留米市の整形外科|まつもと整形外科

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部活動で腰痛…腰椎分離症と診断されたらどうする?|久留米市の整形外科|まつもと整形外科

部活動で腰痛…腰椎分離症と診断されたらどうする?

まつもと整形外科は福岡県久留米市安武町にある、整形外科・リハビリテーション科・スポーツ整形外科のクリニックです!!



こんにちは!



久留米市安武町にある整形外科クリニック まつもと整形外科 院長 松本淳志です



部活動やクラブ活動で腰痛…腰椎分離症と診断されたらどうする?


「部活の練習中に腰が痛い」「反らすとズキっとする」「休むとよくなるけど、練習するとまた痛む」

こんな症状がある中高生、実は腰椎分離症かもしれません。


腰椎分離症は、成長期のスポーツ選手に多い腰の疲労骨折です。早めに対応することでしっかり治る病気ですが、放置すると長引いたり、再発したり、将来的に腰椎分離すべり症に進行することもあります。


今回は、整形外科医の立場から「腰椎分離症と診断されたらどうしたらいいか」をわかりやすく解説します。



1. 成長期の部活動と腰痛


最近は部活動やクラブチームで、練習量や試合数が増えています。特に夏休みの時期などは部活での運動量が増えることが多いです。また、体育祭やマラソンの時期には、部活動での運動に加えて、さらに運動量が増えるので、腰や足に疲労骨折を起こしやすい時期とも言えます。

中学生・高校生の体はまだ成長途中で、骨が柔らかく疲労骨折を起こしやすい状態です。


特にこんなスポーツで腰椎分離症が多く見られます。



    • 野球(特にピッチャー、キャッチャー)


    • サッカー(キックやジャンプ動作)


    • バレーボール、バスケットボール(ジャンプ着地)


    • 陸上競技(ハードル、短距離、跳躍)



「腰が重い」「痛い」と言い出したときは、早めに整形外科を受診しましょう。


成長期の部活動と腰痛

サッカー(キックやジャンプ動作)


2. 腰椎分離症とは?


腰椎分離症は、腰の骨(腰椎)の後ろの部分にひびが入る疲労骨折です。

繰り返し腰を反らしたり、ひねったりする動きで少しずつ腰の骨に負担がかかって、ひびが入ります。


10歳〜18歳くらいの成長期に多く、放置すると骨が完全にズレて、離れてしまうこともあります。



3. 主な症状



    • 腰を反らすと痛い


    • スポーツ中に痛みが出る


    • 朝より夕方のほうが痛い


    • 安静にすると楽になるが、再開するとまた痛む



痛みがあるのに我慢して練習を続けると、骨のひびが広がり、治りにくくなることがあります。



4. 診断の流れ


整形外科では、まずレントゲンを撮ります。

早期の分離症ではレントゲンではわからないこともあるため、MRIやCTで詳しく確認することもあります。


早く見つければ治る確率が高くなるため、症状が出たらできるだけ早めに受診することが大切です。



5. 診断されたらまずやること


スポーツを中止して安静に


骨をしっかりくっつけためには(骨癒合)、まずは運動量を減らすために部活での練習を休む必要があります。

「休んだらレギュラーが…」と不安になるかもしれませんが、治さずに続けると長引いてしまい、結果的に復帰が遅れます。


保存療法が基本


多くの場合、手術は必要なく、安静+コルセット+リハビリで改善します。

骨がつながるまで(骨癒合)には数週間〜数か月かかります。



6. リハビリの重要性


リハビリの目的



  • 腰に負担がかからない身体作り

  • 腰回りの筋肉の柔軟性を上げる
  • 体幹(お腹まわり)の筋肉強化

  • 太ももやお尻の筋肉の柔軟性を上げる


自宅でもできるストレッチ例


ハムストリングストレッチ(太ももの裏伸ばし)



    1. 床に座って、片足を前に伸ばす

    2. 上体をゆっくり前に倒す

    3. 太ももの裏が気持ちよく伸びるところで20秒キープ

    4. 反対の足も同じように行う




無理に反らしたり、痛みがある動きは避けましょう。



7. スポーツ復帰までのステップ



    1. 痛みが完全になくなる

    2. 体幹や下肢の筋力が回復する

    3. 軽いランニングから開始

    4. 徐々に練習量を増やす

    5. コーチや医師のOKが出て全力プレー再開





あせらず段階を踏むことが、再発防止のポイントです。



8. 保護者・指導者ができるサポート



    • 子どもの「腰痛サイン」を見逃さない


    • 無理な練習や試合スケジュールを調整する


    • ストレッチや体幹トレーニングを日常に取り入れる


    • 医師・理学療法士と情報を共有する



早期に気づいて環境を整えることで、再発や重症化を防ぐことができます。


保護者・指導者ができるサポート

指導者ができるサポート


まとめ


腰椎分離症は、部活動の盛んな中高生によく見られる腰痛です。

早く見つけて安静・リハビリをしっかり行えば、元気にスポーツへ復帰できます。

安静にするだけでは再発を繰り返して完治が難しく、リハビリを行い、腰椎分離症を起こさないように根本的な治療に取り組むことが望ましいです。


「ただの腰痛だから大丈夫」と思わず、気になる痛みがあれば整形外科で相談してください。

当院では、レントゲンやMRIによる診断から、リハビリ、復帰までサポートしています。



当院には国家資格を持つ理学療法士·作業療法士が計26名在籍しています。患者さま一人ひとりに合った専門性の高いリハビリメニューを提供させていただきます。



ご不明な点などありましたら、お気軽にご相談ください!



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【参考文献】

・日本整形外科学会・日本小児整形外科学会 編. 「小児の腰椎分離症診療ガイドライン」. 南江堂, 2020 chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00498.pdf

・山本宣幸ほか. 腰椎分離症に対する保存療法の効果とスポーツ復帰. 日本臨床スポーツ医学会誌, 25(2): 276-283, 2017. chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://jsoa.or.jp/content/images/2023/07/jsoa-Vol.39_No.3.pdf

・笠井達哉ほか. 成長期腰椎分離症のMRI診断と予後. 整形外科と災害外科, 64(4): 654-660, 2015. chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.kanazawa-med.ac.jp/kenkyu/assets/2015-gyouseki.pdf


著者

院長
松本 淳志 Atsushi Matsumoto

経歴

  • 済生会福岡総合病院
  • 製鉄記念八幡病院
  • 福岡市民病院
  • 九州大学病院
  • 九州医療センター
  • 福岡赤十字病院
  • 済生会八幡総合病院
  • 福岡青洲会病院

資格・所属学会

  • 日本整形外科学会 専門医(日本専門医機構)
  • 日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医
  • 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
  • 日本フットケア学会認定 フットケア指導士
  • インフェクションコントロールドクター
  • 身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)
  • 難病指定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本整形外科学会
  • 日本感染症学会
  • 日本フットケア・足病医学会