骨粗しょう症とは
骨粗しょう症は骨折の危険性が高まることから、深刻な状態であるといえます。早期発見が重要であり、定期的な検査を受けることが望ましいです。一度、骨粗しょう症が進行してしまうと、元の骨量に戻すには非常に時間がかかります。
健康な骨(健康な骨量)を保つには、骨を作る細胞(骨芽細胞)と古い骨を溶かす細胞 (破骨細胞)のバランスが重要になります。破骨細胞は古くなった骨を破壊し、骨芽細胞は、新しい骨を形成します。骨芽細胞と破骨細胞のリモデリング(サイクル)が乱れたり、崩れたりすると骨粗しょう症になります。骨密度を測定後、骨密度が低い場合には、内服や注射での治療を提案します。
骨粗しょう症の症状
骨粗しょう症は、骨の密度と強度が低下する病気で、高齢者や中高年の女性に多く見られます。しかし、症状が出ないことも多く、予防や早期発見が重要です。
骨折しやすくなる
背骨(胸椎、腰椎)や太ももの付け根(大腿骨頚部)、手首(頭骨遠位端)、腕の付け根 (上腕骨近位端)が骨折しやすくなります。これは腰や背中の痛みを誘発します。転倒しなくても、くしゃみや咳など、本来骨折には至らないわずかな衝撃で骨折をするリスクが高くなります。特に、背骨(胸椎、腰椎)や太ももの付け根(大腿骨頚部)が骨折すると寝たきりにつながり、結果的に死亡リスクを高めてしまいます。
背中が丸くなる・身長が縮む
背骨(胸椎、腰椎)が骨密度の低下により潰れてくるため、背中が丸くなったり身長が縮んだりします。
骨粗しょう症・ロコモについて

早めの対策で
健康寿命を延ばしましょう
高齢化が進む現代において、骨粗しょう症やロコモティブシンドローム(運動器症候群)に悩まされる方が年々増加しています。これらは、加齢によって骨や筋肉、関節の機能が徐々に低下していくことで発症する病気で、進行がゆるやかなため、ご本人が気づかないうちに悪化してしまうケースも少なくありません。 特に骨粗しょう症は、骨がもろくなりちょっとした転倒でも骨折を招くリスクがあり、要介護状態や寝たきりの原因にもなります。また、ロコモティブシンドロームでは、「歩く」「立ち上がる」といった日常動作が困難になるため、生活の質(QOL)が大きく低下してしまいます。 後悔しないためにも、少しでも気になることがあれば、お早めに当院へご相談ください。
このような症状、
お悩みはご相談ください
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骨密度検査を受けたことがない
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普段ほとんど運動をしない
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閉経を迎えた
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椅子から立ち上がりにくい
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最近、身長が低くなった
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歩幅が小さい
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両親のどちらかが太ももの骨を折ったことがある
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階段の昇り降りがつらい
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最近、転倒した
など
骨粗しょう症治療の重要性

骨粗しょう症は骨の強度や骨質が低下して、骨がもろくなることで骨折が起きやすくなり、高齢者や女性に多い病気です。超高齢化社会が進む中、骨粗しょう症の方は日本で推定1300万人以上と言われていますが実際に治療を受けている方は2割以下という現状があります。骨粗しょう症のみでは症状がなく気付かないために、骨折して初めて骨粗しょう症だったとわかるケースが多いのも特徴です。ご高齢の場合、骨折するとそれを契機に寝たきりになることもあり、健康寿命が短縮してしまいます。骨粗しょう症で骨折をおこした方は骨折のない方に比べ死亡リスクは8倍にも上昇するというデータが出ています。そのため、骨折を起こす前に骨粗しょう症に対して治療を開始する必要があります。
漫画でわかる骨粗しょう症

数字でわかる骨粗しょう症

実際に治療を受けている人は
ごく一部
国内では推定で1,300万人以上が骨粗しょう症の状態にあると言われています。しかし、治療を受けている方は、全体の2割以下です。骨粗しょう症を発症すると生活が大きく制限され、ご本人はもちろんご家族にも大きな負担となります。
3分に1件

足の付け根の骨折の頻度
36%

足の付け根の骨折の後、以前のように歩けない人
4人に1人

運動器の障がいで介護が必要なった女性
1,540万円

骨折が原因で介護となった場合の5年間の費用
当院の骨粗しょう症治療

ガイドラインに
基づいた診断・治療
骨粗しょう症の予防・診断・治療に力を入れており、最新のガイドラインに基づいた診断・治療を提供しております。学会が推奨する骨密度検査機器を導入しており、専用の検査室で、専任の放射線検査技師が検査を行います。予防・治療のために複数の薬物療法に対応するとともに、食事療法や運動療法なども提供して患者さまをしっかりサポートいたします。
検査方法
骨密度検査
まつもと整形外科では総合病院や大学病院と同じ先端骨密度検査機器を導入しています。骨密度専用の検査室で、専任の放射線検査技師が検査を行います。DEXA法(Dual-energy X-ray absorptiometry)による骨密度測定装置を導入しており、骨密度検査を行っています。 DEXA法は2種類の異なるX線を照射して骨密度を測定する検査で、他の方法(超音波法、MD法)よりも精度が高いために骨粗しょう症ガイドラインで最も推奨されている検査法になります。 検査方法は、検査用のベッドに臥位(仰向け)で寝ていただき、骨折しやすい背骨(腰の骨)と太ももの付け根(大腿骨頚部)の2カ所をそれぞれ測定します。各部位の測定時間はおよそ1分程度です。ベットで仰向けになり、検査時間は5~10分程度で終わりますのでお身体への負担もほとんどありません。保険適応の検査であり、検査は痛みもなく、短時間で終了します。
エックス線(レントゲン)検査
骨密度検査に加えて、エックス線(レントゲン)検査装置を使った検査を行う場合があります。背骨(胸椎・腰椎)の様子を撮影することで、ご本人が自覚していないような小さな骨折がないか、骨がスカスカになって骨折が起こりやすい状況になっていないかなどをチェックします。
血液検査
古くなった骨を吸収する破骨細胞と、骨を作る骨芽細胞のバランスを確認することは、骨粗しょう症の診断にとても重要です。血液検査を行って、「骨形成マーカー」と「骨吸収マーカー」をチェックすることで、骨粗しょう症のタイプを診断します。
骨粗しょう症検査が望ましい方
骨粗しょう症の8割近くを女性が占めており、女性ホルモンの低下する更年期以降に多くみられます。閉経を迎える50歳前後から骨量は急激に減少し、60歳代では2人に1人、70歳以上になると10人に7人が骨粗しょう症と言われています。40歳を過ぎたら、年1回は検査をすることが望ましいとされています。 検査骨粗しょう症は骨折を起こす前に早期診断、治療が重要ですので、下記に当てはまる方は当院へお気軽にご相談ください。
- 40歳以降の女性
- 背が低くなってきた方(いつのまにか骨折)
- 腰が曲がってきた方
- 背中や腰が痛い方
- 骨折を繰り返す方
- 健診で骨密度が低いと言われた方
- 治療でステロイドを長期使用している方
- 喫煙歴、アルコールをたしなむ方
- 関節リウマチ、糖尿病、甲状腺機能亢症、早期閉経の方
- ご両親に大腿骨頚部骨折や腰椎圧迫骨折の既往がある方
- 慢性腎不全がある方、透析中の方
- 外出が少なく、あまり日光に当たらない方
- ベッド上生活が長い方
- ご家族が骨粗しょう症の方
- 婦人科疾患のある方(卵巣や子宮の治療歴、手術歴がある方)
- 運動が少ない方
治療方法
薬物療法
カルシウムの吸収を促す活性型ビタミンD製剤、破骨細胞による骨の吸収を抑制するビスフォスフォネート、骨の代謝に影響を及ぼすエストロゲンのバランスを調整するSERM製剤を、患者さまの症状に合わせて処方します。いずれの場合も継続的な服用が大切です。
骨代謝のバランスを整える薬
・活性型ビタミンD製剤
【内服薬】エディロール(1日1回)
骨破壊を抑制する薬
・ビスホスホネート製剤
【内服薬】ボナロン、ボンビバ、フォサマック、アクトネル、リカルボン、ベネット、ボノテオ(毎日、週に1回、月に1回)
【注射】ボンビバ、ボナロン、リクラスト(月に1回、年に1回)
・デノスマブ
【注射】プラリア(6ヵ月に1回)
・SERM
女性ホルモン(エストロゲン)と似た作用
【内服薬】エビスタ、ビビアント(1日1回)
骨形成を促進する薬
・テリパラチド
【注射】フォルテオ、テリボン(週1回注射、週2回自宅で自己注射、毎日自宅で自己注射)
・ロモソズマブ
【注射】イベニティ(月1回)
食事療法
骨粗しょう症の予防や改善に役立つ栄養素を日常の食事に取り入れることは、健康的な生活を送る上で欠かせません。骨粗しょう症に効果的な栄養素とそれらを含む食品を紹介します。
カルシウム
乳品や小魚、緑黄色野菜
・牛乳、ヨーグルト、チーズ
・ししゃも、にしん、さんま
・ほうれん草、小松菜、ブロッコリー
ビタミンD
魚や卵、キノコ類
・さけ、さば、まぐろ
・卵の黄身
・しいたけ、えのき、マッシュルーム
マグネシウム・亜鉛
豆類や穀類、海藻類
・大豆、ナッツ類、ごま
・玄米、麦、全粒粉パン
・昆布、わかめ、ひじき
ビタミンK
緑黄色野菜や納豆、海藻類
・ケール、ピーマン、ブロッコリー
・納豆
・まぐろ、こんぶ、わかめ
運動療法
運動には骨密度の低下を抑える効果が期待でき、骨粗しょう症の予防や改善のために適度な運動は欠かせません。当院では患者さまの年齢や体調、ライフスタイルなどに合わせて、理学療法士が一人ひとりに合った運動やトレーニングを提案いたします。骨粗しょう症は、加齢やホルモンバランスの変化などが原因で骨が脆くなる病気です。特に高齢者に多く見られる疾患で、骨折しやすくなることから、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。そんな骨粗しょう症の予防や改善には、適切な運動が大切です。適切な運動により、骨密度の低下を減らすことができ、健康的な生活を送ることが可能です。
今回は、理学療法士がおすすめする、骨粗しょう症に効果的な運動やリハビリ方法についてわかりやすく解説していきます。
骨粗しょう症の予防や改善に効果的な運動をいくつか紹介します。
・ウォーキング毎日のウォーキングは骨と関節に適度な負荷をかけ、骨密度を向上させる効果があります。特に女性は骨折リスクが高まるため、日常的なウォーキングが重要です。
・筋力トレーニング筋力トレーニングは、筋肉を強化し骨への負荷を増加させることで骨密度を向上させます。特に腰や大腿部に筋力をつけることが骨密度の向上に役立ちます。
例)スクワット:太ももやヒップの筋力を鍛えることで、骨折リスクを軽減できます。
立ち上がり練習:椅子から立ち上がる動作を繰り返すことで、脚力とバランス感覚を鍛えることができます。
足首の運動:足首を回す運動や指を曲げ伸ばしすることで、足首の筋力アップと柔軟性向上が期待できます。
・バランストレーニング転倒予防のためにバランスを鍛える運動も大切です。立ち姿勢での体操や、片足立ちなどが効果的です。
これらの運動やリハビリは、無理のない範囲で継続的に行うことが大切です。理学療法士と一緒に計画を立て、正しいフォームで運動を行うことが効果的なリハビリにつながります。また運動やリハビリだけでなく、食生活や日常生活の見直しも骨粗しょう症の予防や改善に役立ちます。カルシウムやビタミンDを意識して摂取し、喫煙や過度のアルコール摂取は控えるようにしましょう。
骨粗しょう症の予防や改善には、理学療法士と連携して運動やリハビリを行うことが大切です。自分に合った方法で無理なく続けましょう。一緒に骨粗しょう症に立ち向かい、健康で充実した毎日を過ごしていきましょう。
健康寿命とは
ロコモのチェックを
してみましょう
「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」は、加齢による筋力の衰えや関節の動きの不具合、骨粗しょう症の影響などにより運動能力が低下した状態です。下記のチェックに当てはまると思われる場合は、早めに当院にご相談ください。

片足立ちで靴下が履けない

家の中でよくつまずいたり、ふらついたりする

手すりがないと階段の昇り降りが困難

布団の上げ下ろしなど力のいる家事がつらい

重い物(2kg程度)を買っても持ち帰れない

連続して15分以上歩けない

青信号で横断歩道を渡りきれないことがある
よくあるご質問












骨粗鬆症マネージャー紹介

骨粗鬆症
マネージャーが5名在籍
当院には、日本骨粗鬆症学会が認定する骨粗鬆症マネージャーの資格を持つ看護師、理学療法士が在籍しています。専門的な知識を活かして、骨粗しょう症の予防、診断、治療などが円滑に行えるようサポートに努めています。地域で骨粗しょう症に関する健康教室を開催するなど、啓発活動にも力を入れています。

クリニックマネージャー・診療部主任
大西 真理亜
・骨粗鬆症マネージャー
・看護師
地域のみなさまと一緒に骨粗しょう症を通して健康づくりを目指します!

診療部
阿部 ひとみ
・骨粗鬆症マネージャー
・看護師
一緒に骨折しにくい体を作りましょう!

リハビリテーション部主任
宗 彩加
・骨粗鬆症マネージャー
・理学療法士
みなさまの健康な身体作りを全力でサポートさせていただきます!

リハビリテーション部副主任
陶山 優一
・骨粗鬆症マネージャー
・理学療法士
骨折を予防し、人生をより豊かにする為のフォローが出来る様、一丸となって頑張ります!

リハビリテーション部
徳永 侃
・骨粗鬆症マネージャー
・理学療法士
圧迫骨折ゼロを一緒に目指しましょう!