ブシャール結節|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

ブシャール結節 BOUCHARDS-NODES

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ブシャール結節とは

ブシャール結節とは、指の「第2関節(PIP関節)」の軟骨がすり減り、関節の縁に「骨棘(こっきょく)」と呼ばれる過剰な骨の出っ張り(結節)ができることで、指が腫れたり曲がったりする病気です。19世紀のフランスの医師、シャルル・ブシャールの名前に由来して名付けられました。

指の関節の変形として最も有名なものに、指の「第1関節(DIP関節)」が変形する「へバーデン結節」がありますが、これが「第2関節」に起こったものがブシャール結節です。へバーデン結節とブシャール結節が同時に発症する患者さまも少なくありません。

人間の指の関節は、骨の表面が滑らかな「軟骨」で覆われており、これがクッションの役割を果たすことでスムーズに曲げ伸ばしができます。しかし、加齢や長年の手の使いすぎ、そして女性ホルモンの減少などを背景に、この第2関節の軟骨がすり減ってしまいます。すると、骨同士が直接ぶつかり合うようになり、関節に強い炎症が起きます。

この炎症を修復しようとする体の反応によって、関節の周囲に過剰な骨(骨棘)が形成され、指の関節がゴツゴツと太く変形していきます。

ブシャール結節において最も注意が必要なのは、「関節リウマチとの鑑別(見極め)」です。関節リウマチも初期に「指の第2関節」に腫れや痛みを引き起こす特徴があるため、症状だけでは見分けがつきにくいのが現状です。正確な診断と適切な治療方針の決定が、今後の指の機能を守る上で非常に重要な疾患と言えます。

症状

指の第2関節が赤く腫れ、ズキズキとした痛みや熱感がある

初期から進行期にかけて、指の第2関節に強い炎症が起こり、関節周辺が赤く腫れ上がります。何もしなくてもズキズキ痛むことや、ペットボトルのキャップを開ける、ドアノブを回す、雑巾を絞るなど、指に力を入れる動作で鋭い痛みが走るのが特徴です。

第2関節の両側面に硬い骨の出っ張り(結節)ができ、指が太くなる

軟骨がすり減り骨が変形してくると、第2関節の左右に「骨棘(こっきょく)」と呼ばれる硬いコブのような結節が現れます。関節リウマチの腫れが「ブヨブヨとした柔らかい腫れ(滑膜の腫れ)」であるのに対し、ブシャール結節の腫れは「骨そのものが太く硬くなっている」という明確な違いがあります。

指の曲げ伸ばしが制限され、朝方に強い「こわばり」を感じる

骨の変形が進むと、関節の動きが物理的に邪魔されてしまい、手を強く握り込むこと(グーの形を作ること)や、指を真っ直ぐに伸ばすことが困難になります(指が曲がらない・伸びない)。また、起床時に指が動かしにくい「こわばり」を感じることがありますが、リウマチのこわばりが数時間続くことが多いのに対し、ブシャール結節のこわばりは手を動かしているうちに数分〜数十分程度で改善する傾向があります。

原因

ブシャール結節の根本的な原因は、現代の医学でも完全には解明されていません。しかし、以下の要素が複雑に絡み合って発症すると考えられています。特に40代以降の女性に圧倒的に多いのが特徴です。

女性ホルモン(エストロゲン)の急激な低下

これが最も有力な原因の一つとされています。更年期(40代後半〜50代)を迎え、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少すると、関節や腱の柔軟性を保つ働きが失われ、軟骨がすり減りやすくなります。関節を保護する力が弱まることで、急激に変形と炎症が進みます。

手や指の過度な使用(力学的ストレス)

長年にわたり、指先をよく使う職業(パソコンのタイピング、ピアノなどの楽器演奏、手作業の多い工場勤務など)や、日常的に重いものを持つ家事・農作業などを続けてきた方は、第2関節への負担(メカニカルストレス)が蓄積し、軟骨の摩耗が早まります。

遺伝的な体質(骨格の素因)

親や祖母など、ご家族にブシャール結節やへバーデン結節(指の変形)がある場合、体質的に軟骨が弱かったり、関節が変形しやすかったりする遺伝的要因が強く関与していると考えられています。

診断

詳細な問診と視診・触診

「いつから痛いか」「朝のこわばりはどのくらい続くか」「ご家族に指の変形がある方はいるか」を詳しく伺います。実際に指に触れ、腫れが「骨のように硬い(ブシャール結節の特徴)」のか、それとも「ブヨブヨと柔らかい(関節リウマチの特徴)」のかを確認します。

X線(レントゲン)検査

‌ 診断の基本となる最も重要な検査です。手のレントゲン写真を撮影し、第2関節の軟骨の隙間が狭くなっていないか、骨棘(骨の出っ張り)が形成されていないか、関節の軸がずれていないかを確認します。変形性関節症特有の画像所見をチェックします。

血液検査(関節リウマチとの鑑別)

指の第2関節の痛みと腫れは、関節リウマチの初期症状と非常に似ています。治療方針が全く異なるため、まつもと整形外科では必要に応じて血液検査(リウマトイド因子や抗CCP抗体、炎症反応などの測定)を行い、関節リウマチではないことを医学的にしっかりと証明(除外診断)した上で、安心してブシャール結節の治療に進んでいただきます。

セルフチェック

ご自身の指の痛みがブシャール結節の可能性があるかどうか、ご自宅で確認できる簡単なセルフチェックリストです。

☑️ 指の「第2関節(指の付け根から2番目の関節)」が痛い、または腫れている。
☑️ 第2関節の両側面に、骨のような硬い出っ張り(結節)を触れる。
☑️ 手を強く握って「グー」の形を作ろうとすると、第2関節が突っ張って曲がりきらない。
☑️ 朝起きた直後に指が動かしにくいが、手を使っているうちに(数分〜数十分で)動かせるようになる。
☑️ 40代以上の女性で、最近更年期の不調を感じ始めている、またはご家族に指が曲がっている人がいる。

※これらの項目に複数当てはまる場合、ブシャール結節による変形が進行している可能性があります。特に腫れや痛みが強い場合は、放置せずにまつもと整形外科を受診し、レントゲン検査と血液検査を受けることをお勧めします。

治療

ブシャール結節の治療は、痛みが強い「活動期(急性期)」の炎症をいかに早く抑え、変形を最小限に食い止めるかが最大の目標となります。一度変形してしまった骨の形を、お薬で元の真っ直ぐな状態に戻すことはできないため、早期の痛みのコントロールが極めて重要です。

保存療法(痛みの緩和と進行予防)

○テーピングや装具による固定
指の第2関節は日常生活で最もよく動かす関節の一つです。痛みが強い時は、専用のテーピングやアルミニウム製の小さな添え木(スプリント)を用いて関節の動きを制限し、局所を物理的に安静に保ちます。無意識に曲げてしまう負担を減らすことが、非常に即効性のある痛みの軽減に繋がります。

○薬物療法
患部の激しい炎症をピンポイントで抑えるために、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)成分を含んだ湿布や塗り薬、痛みが強い場合は飲み薬を処方し、辛い痛みを速やかに和らげます。

○エクオール(大豆イソフラボン代謝産物)の活用
女性ホルモンの低下が原因となっている40代〜60代の女性の患者さまに対しては、女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをする「エクオール」を含有したサプリメントの摂取を推奨しております。これにより、関節の炎症が和らぎ、病状の進行が抑えられるケースが数多く報告されています。

手術療法について‌

保存療法を数ヶ月続けても激しい痛みが取れず、指の変形によって「字が書けない」「ボタンが留められない」など日常生活に重大な支障をきたしている場合は、例外的に手術療法が検討されます。 主に、関節を真っ直ぐな位置で固定して痛みを完全に無くす「関節固定術」や、人工の関節に置き換える「人工関節置換術」などが行われます。手術が必要と判断した場合は、手の外科を専門とする医療機関へ責任を持ってご紹介いたします。

リハビリ

物理療法

痛みが慢性化している時期には、専用の物理療法機器を用いて関節の深部を温め、血流を改善します。局所の循環を良くすることで、傷ついた組織の修復を促し、筋肉や腱の緊張を和らげて痛みを緩和させます。

可動域訓練とストレッチ

痛みの状態を理学療法士・作業療法士が細かく確認しながら、指の関節が固まらないように優しく曲げ伸ばしを行う専門的なストレッチ(運動療法)を指導します。ご自宅の入浴中などに、ご自身で安全に実施できるセルフストレッチのやり方も丁寧にお伝えし、指の機能維持をしっかりとサポートいたします。

セルフケア・予防

ブシャール結節の進行を遅らせ、指の痛みをコントロールするためには、日常生活における手への負担を減らす「ちょっとした工夫(セルフケア)」が非常に重要です。

痛みの状態に合わせた「安静」と「保温」の使い分け

指が赤く腫れ、ズキズキと痛む活動期(急性期)は、関節に強い炎症が起きています。この時期は決して無理に手を使わず、テーピングなどで関節を保護し「安静」を保つことが一番の薬です(※熱を持っている場合は軽く冷やすと痛みが和らぎます)。一方、激しい痛みが落ち着き、指の動かしにくさや「こわばり」が気になる時期(慢性期)は、逆に冷えが症状を悪化させます。外出時は手袋を着用し、自宅ではお湯で手を優しく温めるなど、血流を良く保つ工夫をしましょう。

便利な自助具(お助けグッズ)の活用

ペットボトルのキャップを軽い力で開けられるオープナーや、太くて握りやすいペン、軽い素材の食器など、指の第2関節に負担をかけない生活用品(自助具)を積極的に取り入れてください。指の関節を守ることは、生活の質を守ることに直結します。

大豆製品の積極的な摂取

女性ホルモンの減少を補うため、豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品を日常の食事に積極的に取り入れることをお勧めします。(※腸内でエクオールを作り出せない体質の方もいらっしゃるため、その場合は前述のサプリメントでの摂取が効率的です)。

Q&A

Q

「関節リウマチ」ではないかと心配です。ブシャール結節との違いは何ですか?

A

指の第2関節が腫れて痛むという症状は共通していますが、病気の原因が全く異なります。関節リウマチは免疫の異常による全身性の疾患であり、指の腫れは「ブヨブヨと柔らかい」のが特徴です。一方、ブシャール結節は軟骨の摩耗による局所的な疾患で、骨が変形するため腫れが「硬い」のが特徴です。治療方針が異なるため、まつもと整形外科では、正確に見極めるために血液検査を行い、リウマチが隠れていないかを確実に診断いたしますので、一人で悩まずにご相談ください。

Q

一度曲がって太くなった指の関節は、薬やリハビリで元の真っ直ぐな状態に戻りますか?

A

残念ながら、一度骨棘(骨の出っ張り)が形成され、変形してしまった骨の形を、お薬やリハビリで元の真っ直ぐな状態に戻す(細くする)ことはできません。しかし、適切なテーピングや内服治療を行うことで、現在起きている「激しい痛みと炎症」を取り除き、これ以上変形が進行するのを食い止めることは十分に可能です。「痛みがなくなること」を第一の目標として治療を進めます。

Q

へバーデン結節とブシャール結節は、両方同時に発症することはありますか?

A

はい、同時に発症することは非常によくあります。第1関節が変形する「へバーデン結節」と、第2関節が変形する「ブシャール結節」は、どちらも加齢や女性ホルモンの低下によって生じる「指の変形性関節症」です。発症する関節の場所が違うだけでメカニズムは同じであるため、複数の指の第1関節と第2関節に同時に症状が現れる患者さまも多くいらっしゃいます。

監修

院長
松本 淳志 Atsushi Matsumoto

経歴

  • 済生会福岡総合病院
  • 製鉄記念八幡病院
  • 福岡市民病院
  • 九州大学病院
  • 九州医療センター
  • 福岡赤十字病院
  • 済生会八幡総合病院
  • 福岡青洲会病院

資格・所属学会

  • 日本整形外科学会 専門医(日本専門医機構)
  • 日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医
  • 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
  • 日本フットケア学会認定 フットケア指導士
  • 身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)
  • 難病指定医
  • 日本整形外科学会
  • 日本フットケア・足病医学会