足根管症候群|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

足根管症候群 TARSAL-TUNNEL-SYNDROME

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足根管症候群とは

足根管症候群とは、内くるぶしの下にある「足根管(そっこんかん)」という狭いトンネルの中で、足の裏に向かう神経(脛骨神経:けいこつしんけい)が圧迫されることによって、足の裏や足の指にしびれや痛みが生じる疾患(絞扼性神経障害:こうやくせいしんけいしょうがい)です。

私たちの足の内くるぶし(内果)と、かかとの骨(踵骨)の間には、屈筋支帯(くっきんしたい)というバンドのような強靭な靭帯が張っています。この靭帯と骨に囲まれたトンネル状の空間が「足根管」です。この狭いトンネルの中を、足の指を曲げるための腱、血管、そして足の裏の感覚を司る「脛骨神経」が束になって通っています。

何らかの原因でこのトンネル内が狭くなったり、神経が圧迫されたり、神経が引き伸ばされたりすると、神経が締め付けられてダメージを受けます。足根管を通る神経は足の裏全体へと枝分かれしていくため、トンネルの出口である「足の裏」や「足の指先」に、電気が走るようなしびれや異常な感覚(感覚障害)が現れるのがこの疾患の最大の特徴です。

症状

CONSULTATION

  • 足の裏から足の指先にかけて、ジンジン、ピリピリとしたしびれがある
  • 足の裏に「砂利を踏んでいる」「薄皮が1枚張り付いている」ような違和感がある
  • かかとは痛くないのに、足の裏の前半分や指先だけがしびれる
  • 長時間立っていたり、歩き続けたりすると足の裏のしびれや痛みが強くなる
  • 夜、布団に入って足が温まるとしびれや痛みが強くなる
  • 冷たい床を歩いているような、足の裏の感覚が鈍い感じがする
  • 内くるぶしの下(かかと寄り)を指で軽く叩くと、足の裏や指先に電気が走るように響く
  • 足の指をパーに開く力が弱くなり、足の指先がうまく動かせない気がする

など

原因

足根管症候群を引き起こし、足首のトンネル(足根管)を狭くしてしまう原因には、大きく分けて「トンネル内の圧迫」と「足の変形による引き伸ばし」の2つのパターンがあります。

ガングリオンや良性腫瘍による圧迫

足根管症候群の最も代表的な原因の一つです。関節や腱の周囲にできるゼリー状の液体が溜まった袋(ガングリオン)や、脂肪腫などの良性腫瘍がトンネル内に発生し、物理的に神経を押しつぶしてしまいます。

静脈瘤(じょうみゃくりゅう)などの血管の異常

足根管を一緒に通っている静脈がコブのように太く膨れ上がり(静脈瘤)、隣り合っている神経を圧迫することでしびれを引き起こすことがあります。

足の変形(扁平足や外反母趾など)

土踏まずが潰れてしまう「扁平足(へんぺいそく)」や、かかとが大きく内側に倒れ込むような歩き方をする方は、内くるぶしの下にある足根管が常に強く引き伸ばされる状態になります。これが慢性的な神経へのストレスとなります。

過去の骨折や捻挫による変形

足首の骨折(果部骨折など)や重度の捻挫の後遺症として、骨の変形や靭帯の肥厚(分厚くなること)が起こり、トンネルの空間が狭くなってしまうことがあります。

使いすぎ(オーバーユース)と靴の圧迫

長時間の立ち仕事や、硬いアスファルトの上でのランニングなど、足首を酷使することでトンネル内の腱が炎症(腱鞘炎)を起こし、腫れることで神経を圧迫します。また、サイズが合わず足首を強く締め付ける靴も原因となります。

診断

問診と神経学的検査

しびれの範囲が「足の裏だけ」なのか「ふくらはぎや太ももにもあるか」を詳しく伺います。そして、内くるぶしの下を打腱器や指で軽く叩き、足の裏にビリビリと痛みが走るか(チネル徴候)を確認します。足根管症候群の場合、この検査で非常に高い確率で陽性反応が出ます。

超音波(エコー)検査

まつもと整形外科では、足根管症候群の診断においてエコー検査を極めて重要なツールとして活用しています。レントゲンでは写らない神経の状態や、トンネル内に神経を圧迫しているガングリオン(水ぶくれ)や静脈瘤が隠れていないかを、リアルタイムで視覚的に、かつ被曝なく確認することができます。

X線(レントゲン)検査

骨折の後遺症による骨の変形や、扁平足などの足のアライメント(骨の並びや角度)の異常がないかを確認するために実施します。

MRI検査(必要に応じて)

エコー検査で腫瘍やガングリオンが疑われ、より詳細な位置関係や大きさの把握が必要な場合や、手術を検討する場合にはMRI検査を行います。MRI検査が必要な場合は、提携する総合病院等の専門医療機関へスムーズにご紹介いたします。

セルフチェック

ご自身の足の裏のしびれが足根管症候群によるものかどうか、ご自宅で確認できる簡単なセルフチェックリストです。

☑️ 足の裏や足の指先はしびれるが、足の甲やすね、太ももにはしびれがない。
☑️ かかとの部分だけはしびれがなく、感覚が正常である。
☑️ 内くるぶしのすぐ下あたりを指で強めにトントンと叩くと、足の裏にピリッと電気が走る。
☑️ 裸足で立った時、土踏まずが地面にペッタリとついている(扁平足である)。
☑️ 足首を内側にひねるようにグッと曲げると、足の裏のしびれが強くなる。

※特に「内くるぶしの下を叩くと足の裏に響く(チネル徴候)」がある場合や、しびれが足の裏に限定されている場合は、足根管症候群の疑いが強くなります。放置せずに、まつもと整形外科を受診してください。

治療

足根管症候群の治療は、原因(腫瘍の有無や足の形)と症状の強さに応じて、保存的加療と手術療法のいずれかを選択します。

薬物療法(飲み薬・塗り薬)

しびれや痛みを緩和するために、神経の修復を助けるビタミンB12製剤(メチコバールなど)や、神経障害性疼痛に効果を発揮するお薬(プレガバリン、ミロガバリンなど)を処方します。トンネル内で腱鞘炎などの炎症が起きている場合は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の飲み薬や湿布を併用します。

装具療法(インソールによる足底板療法)

扁平足などの足の変形が原因で足根管が引き伸ばされているケースに非常に有効な治療法です。患者さまの足型に合わせてアーチ(土踏まず)を高く持ち上げる医療用インソールを作成し、靴の中に入れて使用します。

注射療法

飲み薬やインソールでしびれが改善しない場合、超音波(エコー)画像を見ながら、圧迫されている脛骨神経の周囲に局所麻酔薬や少量のステロイド剤ピンポイントで注射します。癒着を剥がして神経の滑りを良くし、痛みの悪循環を断ち切る効果があります。

手術療法

保存的加療を数ヶ月続けても歩行困難なほどのしびれが取れない場合や、エコー検査・MRI検査で大きなガングリオンや腫瘍が明確に神経を押しつぶしていることが判明した場合は、神経の圧迫を取り除く手術(足根管開放術や腫瘍摘出術)が必要となります。手術が必要と判断した場合は連携病院へ責任を持ってご紹介いたします。

リハビリ

足関節とふくらはぎのストレッチ

ふくらはぎの筋肉やアキレス腱が硬いと、足首の動きが悪くなり、歩行時に足根管へ過剰な負担がかかります。理学療法士が適切な方法でストレッチを行い、関節の柔軟性を高めます。

足底筋群(足の裏の筋肉)のトレーニング

潰れてしまった土踏まずのアーチを筋肉の力で支えるために、「タオルギャザー(床に敷いたタオルを足の指でたぐり寄せる運動)」などを指導し、足の裏のインナーマッスルを鍛えます。

後脛骨筋(こうけいこつきん)の強化

内くるぶしの後ろを通り、土踏まずを引き上げる働きを持つ後脛骨筋を鍛えることで、扁平足を改善し、足根管にかかるストレスを減らします。

セルフケア・予防

足根管症候群の発症や再発を防ぐには足元のセルフケアが欠かせません。

正しい靴選び

足首や内くるぶしを強く圧迫するような窮屈な靴は避けましょう。また、靴底が薄くクッション性のない靴は、歩行の衝撃がダイレクトに足に伝わります。かかとがしっかりとホールドされ、土踏まずのアーチを支えてくれる、ご自身の足のサイズに合った靴を選ぶことが最大の予防です。

足の冷え対策

足元が冷えると血管が収縮して血流が悪くなり、神経の働きが低下してしびれを強く感じやすくなります。夏場でも冷房の効いた部屋では靴下を履き、冬場はレッグウォーマーや湯船での入浴を活用して、内くるぶし周辺をしっかりと温めましょう。

適正体重の維持

体重が増加すると、土踏まずのアーチが上からの重みで潰れやすくなり、扁平足が進行して足根管に負担をかけます。適度な運動とバランスの取れた食事で、足に負担をかけない適正体重を保つことが大切です。

Q&A

Q

腰からくる「坐骨神経痛」との違いは何ですか?

A

一番の違いは「しびれる範囲」です。坐骨神経痛などの腰の病気の場合は、お尻から太ももの裏、ふくらはぎを通って足先まで、広い範囲にしびれや痛みが走ります。一方、足根管症候群の場合は、神経の圧迫が足首で起きているため、しびれるのは「足の裏から足の指先だけ」であり、ふくらはぎや太ももには症状が出ないのが特徴です。

Q

インソールは、市販の安価なものでも効果はありますか?

A

市販のインソールでも、土踏まずが盛り上がっているタイプであれば一時的なクッション効果は期待できます。しかし、市販品は万人の足に合わせた平均的な形であるため、患者さまご自身の足のゆがみや骨の角度を正確に矯正することは困難です。根本的な負担軽減を目指すのであれば、まつもと整形外科にてご自身の足型を採り、医学的な根拠に基づいた医療用インソールを作成することをお勧めいたします。

Q

ガングリオンが原因と言われましたが、手術は絶対に必要ですか?

A

必ずしもすぐに手術が必要というわけではありません。痛みが強くない場合は、エコーを見ながら注射針を刺してガングリオンの中身(ゼリー状の液体)を吸引して抜き取る処置を行うことで、神経への圧迫を解除できます。ただし、注射で抜いても何度も再発を繰り返す場合や、しびれが強くて生活に支障がある場合は、根本的に取り除くための手術を検討した方が良いケースもあります。

Q

糖尿病が原因のしびれ(糖尿病性神経障害)とはどう見分けますか?

A

糖尿病による神経障害の場合、しびれは「両足同時に、足先から手袋や靴下を履くような範囲」で左右対称に広がっていくのが特徴です。一方、足根管症候群は、ガングリオンや足の変形など局所的な問題で起こるため、「片足だけ」の足の裏にしびれが出ることが多いです。

Q

しびれが辛い時は、温めたほうがよいですか?冷やしたほうがよいですか?

A

足根管症候群による慢性的なしびれや不快感に対しては、基本的には「温める」ことをお勧めします。足湯や入浴、カイロなどで内くるぶしの周辺を温めることで、足根管内の血流が改善し、神経への栄養供給が促されてしびれが和らぐことが多いです。ただし、捻挫をした直後など、足首全体が熱を持ってポッコリ腫れている急性期は、炎症を抑えるために冷やす必要があります。