橈骨遠位端骨折|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

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橈骨遠位端骨折とは

橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)とは、前腕(肘から手首までの部分)にある2本の骨のうち、親指側にある太い骨「橈骨(とうこつ)」が、手首の関節に近い部分(遠位端)で折れてしまう骨折のことです。

人間の手首は、非常に複雑で繊細な動きをする関節です。橈骨の遠位端は、その手首の関節の大部分を構成する重要な土台となっています。この土台が崩れてしまうと、手首を反らす、曲げる、ドアノブを回す(前腕を捻る)といった日常的な動作が全くできなくなってしまいます。

折れ方にはいくつかの種類があり、手のひらをついて転んだ際に、骨の破片が手の甲側へズレる「コレス骨折」が最も一般的です。逆に、手の甲をついて転んだ際に、骨の破片が手のひら側へズレる「スミス骨折」というタイプもあります。

橈骨遠位端骨折は、全骨折の中でも非常に発生頻度が高いものの一つです。特に、閉経後の女性はホルモンバランスの変化によって骨の密度が低下する「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」になりやすく、立った状態から畳やフローリングで軽く転んで手をついただけでも、容易に橈骨が折れてしまうことがあります。このような、骨が脆くなっているために起きる骨折を「脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)」と呼びます。

一方で、若年層にも無縁ではありません。スノーボードでの転倒、自転車やバイクでの交通事故、高所からの転落など、非常に強いエネルギーが加わることで、関節面まで複雑に砕けてしまう重度の橈骨遠位端骨折を引き起こすことがあります。

症状

CONSULTATION

  • 転んで手をついた直後から、手首に強烈な痛みがある
  • 手首がパンパンに腫れ上がり、内出血が広がっている
  • 横から手首を見ると、フォークを伏せて置いたように変形している
  • 痛みのあまり指をグーパーできず、お箸を持つなどの日常動作ができない
  • 手首の痛みだけでなく、親指から中指の指先にかけてジンジンとしびれる

など

原因

高齢者の場合(骨粗鬆症による脆弱性骨折)

50代以降の女性に圧倒的に多く見られます。女性ホルモン(エストロゲン)の減少に伴い、骨を壊す働きが骨を作る働きを上回ってしまい、骨がスカスカになる「骨粗鬆症」が根底にあります。健康な若い骨であれば耐えられるような、ごくわずかな衝撃(つまずいて床に手をつくなど)でも、簡単に骨が潰れて折れてしまいます。

若年・中年層の場合(高エネルギー外傷)

骨が丈夫な世代であっても、それを上回る大きな衝撃が加われば骨折します。スノーボード、スケートボード、ラグビーなどの激しいスポーツ中の転倒、ロードバイクやオートバイでの交通事故、あるいは脚立など高いところからの転落が主な原因となります。

診断

X線(レントゲン)検査

骨折の診断において最も基本かつ重要な検査です。手首を正面からと側面からの2方向で撮影します。これにより、橈骨が折れているか、どちらの方向にどれくらいズレているか(転位の程度)、手首の長さがどれくらい短く潰れて短縮してしまっているかを評価します。

CT検査(より精密な立体的評価)

レントゲン検査で「関節内骨折(骨折線が関節の表面にまで及んでいる状態)」が疑われる場合や、骨がいくつにも砕けている粉砕骨折の場合には、CT検査を行うことがあります。骨を3D(立体的)に画像化することで、関節の面の「段差」が何ミリあるかを正確に測ります。関節面にズレや段差が残ったまま治ってしまうと、将来的に「変形性手関節症」という後遺症(慢性の痛み)を引き起こすため、治療方針(手術が必要かどうか)を決定する上で極めて重要な検査です。

骨密度検査

ご高齢の方の場合、橈骨遠位端骨折は「骨粗鬆症」のサインでもあります。まつもと整形外科では、骨折の治療と並行して、全身の骨の強さを測る骨密度検査(DXA法など)をおすすめしております。次の骨折(背骨や太ももの付け根の骨折)を防ぐための重要なステップです。

セルフチェック

ご自身やご家族が転倒して手をついた後、それが骨折であるかどうかをご自宅で確認するための簡易セルフチェックリストです。

☑️ 転んだ直後から、ジンジンと絶え間ない手首の痛みがある。
☑️ 痛くない方の手首と見比べると、明らかに太く腫れ上がっている。
☑️ 手首を横から見ると、フォークのようにカクッと曲がって変形している。
☑️ 痛くてペンを握ることができない、あるいはドアノブを回せない。
☑️ 転んでから数時間〜半日経って、手首から手の甲にかけて内出血(青あざ)が出てきた。

治療

保存的加療(ギプス固定)

骨のズレがほとんどない場合や、ズレていても手で引っ張って元の位置に戻すこと(徒手整復:としゅせいふく)ができ、その後もズレにくいと判断された場合は、手術を行わずにギプスで固定します。 約4週間〜6週間程度、手首から肘の下までをギプスや強固なシーネ(添え木)で固定し、骨が自然にくっつくのを待ちます。

手術療法(掌側ロッキングプレート固定術など)

徒手整復をしてもすぐに骨がズレてしまう不安定な骨折、関節面に大きな段差がある骨折、あるいは早期に仕事やスポーツに復帰したい若年〜中年層の患者さまに対しては、手術療法が第一選択となります。 現在最も主流なのが骨接合術(掌側ロッキングプレート固定術)です。手のひら側(掌側)の手首を数センチ切開し、ズレた骨を直接見ながら元の位置に戻し、チタン製の特殊な金属プレートとネジで強力に固定します。この手術の最大のメリットは「固定力が非常に強いこと」です。そのため、術後数日でギプスを外してリハビリを開始することができ、関節が硬くなる後遺症(関節拘縮)を防ぐことができます。 ※手術が必要と判断した場合は、まつもと整形外科から専門の連携病院・総合病院へ責任を持ってご紹介します。

リハビリ

固定期間中(早期リハビリ)の重要性

ギプス固定中であっても、リハビリはすでに始まっています。固定されていない「指(親指から小指)」と「肩・肘」は、受傷翌日から積極的に動かすことが極めて重要です。指をしっかりグーパーと動かして筋肉のポンプ作用を働かせることで、手の腫れを早く引かせることができます。また、固定期間中に指の関節が固まってしまうこと(拘縮)や、指を動かす腱が癒着してしまうのを防ぐための、非常に大切なリハビリです。

固定解除後(または手術後)の本格的なリハビリ

ギプスが外れた後、あるいは手術直後からは、硬くなった手首の関節を動かす訓練(関節可動域訓練)を開始します。まつもと整形外科では、専門の作業療法士・理学療法士が患者さまの痛みの状態や骨の回復具合に合わせて、無理のない適切な力加減で手首を曲げる・反らす・捻る訓練を行います。

日常生活動作の回復

最終的には、お箸を使う、雑巾を絞る、重いものを持つといった、日常生活や仕事に必要な動きや握力を取り戻すためのトレーニングを段階的に行い、完全復帰をサポートいたします。

セルフケア・予防

最大の予防は「骨粗鬆症の治療」

ご高齢の女性が橈骨遠位端骨折を起こした場合、それは「骨が脆くなっているSOS」です。手首の骨折を治すだけでなく、食事(カルシウムやビタミンDの摂取)、適度な運動、そして骨を強くするお薬による骨粗鬆症の治療をしっかりと行うことが、将来の「寝たきりの原因となる大腿骨(太ももの付け根)の骨折、腰や脊骨の圧迫骨折」を防ぐ究極の予防策となります。

転倒予防の環境づくり

家の中のちょっとした段差、めくれたカーペット、滑りやすいお風呂場などが転倒の原因になります。手すりの設置や段差の解消など、生活環境を見直すことが重要です。また、足腰の筋力(ロコモティブシンドロームの予防)を維持する体操も効果的です。

治療中のセルフケア(患部の挙上)

ギプス固定中や手術後は、手が心臓より低い位置にあると、血液が滞って手がパンパンに腫れ、ズキズキとした痛みが増強します。座っている時や寝ている時は、クッションやタオルを使って「手を心臓より高い位置に上げておく(挙上する)」ことを心がけてください。

Q&A

Q

手首の強い捻挫と、骨折はどう見分ければ良いですか?‌

A

外見だけで完全に区別することは困難ですが、骨折の場合は痛みが尋常ではなく、手首に「フォーク状の明らかな変形」が見られることや、内出血が広範囲に及ぶことが多いのが特徴です。また、捻挫だと思っていても、レントゲンを撮るとヒビが入っていたというケースは非常に多くあります。「動かせるから骨折ではない」という自己判断は危険ですので、転倒して痛みが強い場合は、必ずまつもと整形外科でレントゲン検査を受けてください。

Q

手術をせずに、ギプス固定だけで治すことはできますか?

A

はい、可能です。骨のズレが少ない場合や、徒手整復(引っ張って戻す処置)を行って骨が正しい位置に安定している場合は、ギプス固定による保存的加療で十分に治癒を目指せます。ただし、ギプスの中で骨が再転位(再びズレてしまうこと)するリスクがあるため、週に1回程度の定期的なレントゲン確認が必要です。骨のズレが大きく、将来的に痛みが残るリスクが高い場合には手術をおすすめします。

Q

ギプスをしている間、お風呂やシャワーはどうすればいいですか?

A

ギプスやシーネは濡れると強度が落ちたり、中で皮膚が蒸れてかぶれたり、不衛生になったりするため濡らしてはいけません。入浴時は、市販のギプス用防水カバーを使用するか、大きめのビニール袋をかぶせて口を輪ゴムやテープでしっかりと止め、水が入らないように厳重に保護してください。万が一ギプスの中に水が入ってしまった場合は、ドライヤーの冷風などで乾かしてください。また、主治医に入浴時のみギブスを外して良いか確認してみてください。

Q

骨折が完全に治るまで、どれくらいの期間がかかりますか?‌

A

ギプスやシーネでの固定が必要な期間は、概ね4週間〜6週間程度です。しかし、固定が外れた段階ではまだ骨が完全にくっついたわけではなく、しっかりとした骨癒合(骨が完全に繋がって硬くなること)が得られるまでには、個人差もありますが約3ヶ月かかります。また、固定が外れた直後は関節が硬くなっているため、すぐに元通り動かせるわけではありません。その後、手首の動きや握力を回復させるためのリハビリ期間が数ヶ月必要になります。日常生活に不自由を感じなくなるまでには約3〜6ヶ月、完全に違和感がなくなるまでには半年〜1年程度かかることもあります。焦らずに治療とリハビリを継続することが重要です。

Q

骨粗鬆症と言われたことがないのですが、手首を骨折したら検査したほうがいいですか?‌

A

50歳以上の女性で、立った高さからの転倒など軽い衝撃で骨折してしまった場合は、これまで指摘されたことがなくても「骨粗鬆症」が隠れている可能性が極めて高いです。手首の骨折は「骨粗鬆症による骨折の最初のサイン」と言われています。まつもと整形外科では、今回の骨折の治療と並行して必ず骨密度検査を行うことを強くおすすめしております。全身の骨の状態を正確に把握し、適切な治療を始めることが、未来の健康を守る第一歩となります。