肩関節脱臼|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

肩関節脱臼 SHOULDER-DISLOCATION

肩関節脱臼|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】
  1. Home
  2. >
  3. 肩関節脱臼

肩関節脱臼とは

肩関節脱臼とは、肩を構成する骨の関節が本来の正しい位置から完全に外れてしまった状態を指します。

人間の肩関節は、肩甲骨の浅い受け皿(関節窩:かんせつか)に対して、腕の骨の丸い頭(上腕骨頭:じょうわんこっとう)がはまり込むような構造をしています。よく「ゴルフのティー(受け皿)に乗ったボール(腕の骨)」に例えられます。この構造のおかげで、人間の肩は上下左右、そして捻る動作など、体の中で最も広い可動域(動く範囲)を持っています。

しかし、よく動くということは、裏を返せば「構造的に非常に不安定で外れやすい」ということです。この不安定な関節を支えているのが、関節を包む袋(関節包)や靭帯、関節唇(かんせつしん:受け皿の縁の軟骨)、そして腱板(けんばん:インナーマッスル)などの軟部組織です。

転倒や衝突などで肩に強大な外力が加わると、これらの支えの限界を超え、上腕骨頭が関節から飛び出してしまい脱臼を起こします。肩関節脱臼の約95%は、腕の骨が前下方に外れる「前方脱臼(ぜんぽうだっきゅう)」です。脱臼した際には、関節を支えていた靭帯や関節唇が破綻してしまうため、強烈な痛みを伴います。

症状

CONSULTATION

  • 強烈な肩の痛み
  • 肩の輪郭の変形
  • 腕が上がらない・動かせない
  • 反対の手で支えないと辛い
  • バネのような抵抗感(弾発性固定)
  • 肩から腕にかけてのしびれ
  • 脱力感・力が入らない
  • 肩が抜けた・ズレたという明確な感覚

など

原因

スポーツ中の激しい接触・転倒(最も多い原因)

ラグビー、アメリカンフットボール、柔道などのコンタクトスポーツでの激しい衝突や、スノーボード、スキー、サッカーなどで転倒して手や肘を強く突いた際に発生します。

日常生活での転倒や事故‌

自転車やバイクでの交通事故、階段からの転落など、日常生活における予期せぬ強い外力でも発生します。ご高齢の方の場合、転倒して手をついた際に脱臼だけでなく、骨折(上腕骨近位端骨折)を伴うことも少なくありません。

反復性脱臼(クセになっている状態)

過去に脱臼を経験し、靭帯や軟骨(関節唇)が緩んだまま治癒してしまった方は、寝返りを打つ、上着の袖を通す、高いところの物を取る、電車の吊り革につかまるなど、日常生活の些細な動作(ごく弱い力)でも簡単に脱臼してしまうようになります。

診断

まずは問診にて、どのような状況で受傷したか、過去に同じような脱臼をしたことがあるか(初回か再発か)を確認します。視診と触診で肩の変形や神経の麻痺(しびれ)がないかをチェックした後、確定診断のために以下の画像検査を実施します。

レントゲン(X線)検査

骨がどの方向に外れているかを明確に確認します。また、脱臼する際に骨同士がぶつかって欠けてしまう「ヒル・サックス損傷(上腕骨頭のへこみ)」や「骨性バンカート損傷(関節窩の縁の骨折)」といった合併症がないかを必ずチェックします。

セルフチェック

左右の肩の形を見比べる

服を脱いで左右の肩を見比べてください。痛い方の肩の丸みが消えて角張っていたり、肩先の下がペコッとへこんでいたりする場合は脱臼のサインです。

腕のポジション

腕を身体の横にピタッとつけること(内転)ができず、少し脇が開いた状態で固定されていませんか?

しびれの確認

肩の側面(三角筋のあたり)を触って、反対側と比べて感覚が鈍くないか(触られている感覚があるか)を確認してください。

治療

徒手整復(関節を元の位置に戻す)

まつもと整形外科に来院後、レントゲンで骨折などの合併症がないことを確認した上で、医師が徒手整復します。筋肉が極度に緊張していると整復が困難で激痛を伴うため、必要に応じて局所麻酔や鎮痛剤を使用し、患者さまの苦痛を最小限に抑えながら安全に行います。整復されると、嘘のように激しい痛みはスーッと引いていきます。

外固定(保存療法)‌

関節が元の位置に戻ったからといって「治った」わけではありません。破綻した関節唇や靭帯を修復させるため、装具や三角巾を用いて約2~4週間程度、肩をしっかり固定します。近年では、組織がより良い位置で修復されやすい「外旋位固定(がいせんいこてい:腕を少し外に開いた状態での固定)」という特殊な装具を使用することもあります。

手術療法(反復性脱臼の場合)

初回脱臼であってもスポーツへの早期復帰を目指す若年層のアスリートや、すでに何度も脱臼を繰り返している(反復性脱臼)患者さまの場合は、剥がれた関節唇や靭帯を内視鏡(関節鏡)を使って縫い合わせる手術(バンカート修復術など)が必要となります。手術が必要と判断した場合は、連携する適切な高次医療機関へ責任を持ってご紹介いたします。

リハビリ

固定期間中のリハビリ

肩を固定している間も、指先や手首、肘の運動を行い、血流の低下や筋力の衰えを防ぎます。

固定解除後のリハビリ(可動域訓練)

固定が外れたら、理学療法士の指導のもと、硬くなってしまった肩の関節を少しずつ動かし、本来の可動域を取り戻す訓練を開始します。痛みが出ない範囲で慎重に進めることが重要です。

インナーマッスル(腱板)の強化

これが再発予防の最大の鍵です。ゴムチューブなどを用いて、肩関節を奥深くから安定させるインナーマッスルを鍛えます。

肩甲骨と体幹の機能向上

肩関節だけでなく、その土台となる肩甲骨の動きや体幹の安定性を高めることが、肩への負担を減らすことに繋がります。

セルフケア・予防

危険な肢位(姿勢)を避ける

腕を横に挙げて後ろに反らす「外転・外旋(ボールを投げるトップの位置)」は、最も肩が外れやすい危険なポジションです。着替えの際や、寝ている間の姿勢などでも、このポジションにならないよう意識することが大切です。

継続的なインナーマッスルトレーニング‌

リハビリで教わったチューブトレーニングなどのインナーマッスル強化は、治療が終了した後もスポーツを続ける限り「毎日の日課(セルフケア)」として継続してください。

サポーターやテーピングの活用‌

コンタクトスポーツに復帰する際は、肩の過度な動きを制限し、関節を保護するための専用サポーターを装着したり、テーピングを行ったりすることで再発のリスクを軽減できます。

正しいフォームの習得

投球動作やラケットスポーツなどにおいて、手打ちにならず、下半身や体幹の力を連動させた正しいフォームを身につけることが、肩局所への過剰なストレスを防ぐ根本的な予防策となります。

Q&A

Q

自分で肩をはめたり、友人に引っ張ってもらったりしてもいいですか?

A

絶対にやめてください。素人の方が無理に関節を戻そうとすると、骨と骨がぶつかって骨折を引き起こしたり、関節の隙間に神経や血管を挟み込んで麻痺などの重大な後遺症を残す危険性があります。痛くてもそのままの姿勢を保ち、一刻も早く整形外科などの医療機関を受診してください。

Q

一度脱臼すると、クセ(反復性脱臼)になりやすいというのは本当ですか?‌

A

はい、本当です。特に10代〜20代の若年層で初回脱臼を起こした場合、その後反復性脱臼に移行する確率は非常に高い(80%以上というデータもあります)とされています。若いうちは組織が柔らかく、活動量も多いためです。クセにしないためには、初回受傷時の「適切な固定期間」と「徹底したインナーマッスルのリハビリ」が極めて重要です。

Q

手術は絶対に必要ですか?‌

A

必ずしも全員に手術が必要なわけではありません。年齢(中高年以降は再発率が下がります)、スポーツのレベルや種類(ラグビーなどのコンタクトスポーツか否か)、そして患者さま自身の日常生活への支障度合いなどを総合的に判断して決定します。まずは保存療法(リハビリ)をしっかりと行い、それでも外れてしまう場合に手術を検討するのが一般的な流れです。

Q

脱臼した後、肩の固定期間はどれくらいですか?

A

剥がれた組織が修復するための最低限の期間として、一般的には「約2~4週間」の固定が必要です。痛みが引いたからといって自己判断で装具を外してしまうと、組織が緩んだまま治ってしまい、容易に再発する原因となります。医師の許可が出るまでは必ず固定を守ってください。

Q

スポーツ競技への復帰まで、どれくらいの期間がかかりますか?‌

A

保存療法(手術なし)の場合、固定期間に2~4週間、その後のリハビリ(可動域訓練と筋力強化)を経て、ジョギングなどの軽い運動から再開し、完全な競技復帰を果たすまでには「最低でも2〜3ヶ月」を要します。コンタクトスポーツの場合はさらに慎重な判断が必要となり、半年近くかかることもあります。焦らず段階的に復帰することが大切です。