こんにちは。
久留米市安武町にある「まつもと整形外科」院長の松本淳志です。
以前のブログで、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)の基本的な原因や症状、そして安静やストレッチの重要性についてお話ししました。
しかし、日々の診療をおこなっていると、「湿布を貼って安静にしているけれど、なかなか痛みが引かない」「どうしても手を使う仕事があり、痛みが再発してしまう」といった、長引く痛みに深く悩まれている患者様が多くいらっしゃいます。
そこで今回は、保存療法(リハビリや投薬など)を続けても改善が見られにくい難治性のテニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対して、当院が行なっている「エコーガイド下でのステロイド注射」という治療法について、より深く、詳しく解説いたします。
目次
なぜ、あなたのテニス肘は治りにくいのか?
テニス肘の痛みの根本的な原因は、手首や指を伸ばす筋肉が、肘の外側(上腕骨外側上顆)に付着する部分(腱)の微小な断裂と炎症です。
通常、私たちの身体は傷ついた組織を自然に修復する力を持っています。
しかし、手や腕は日常生活で全く使わないわけにはいきません。
修復が完了する前に再び負担をかけてしまうことで、腱の変性が進んでしまいます。
さらに近年の研究で、長引く痛みの原因として「モヤモヤ血管(異常な新生血管)」の存在が注目されています。
炎症が慢性化すると、組織を修復する過程で異常な細かい血管が作られ、それと一緒に「神経の線維」も一緒に増殖してしまいます。
これが、指や手首を少し使っただけでも「ズキッ」とした強い痛みを感じる過敏な状態を作り出しているのです。
ここまで悪化してしまうと、単なる安静やストレッチ、外用薬(湿布)だけでは、痛みの悪循環から抜け出すのが非常に難しくなります。
エコー(超音波)ガイド下注射とは?従来の注射との違い
痛みの悪循環を断ち切るために有効なのが「注射療法」ですが、当院ではその精度を極限まで高めるために「エコー(超音波)ガイド下」での注射を推奨しています。
エコーガイド下注射とは超音波機器を使いながら、リアルタイムに炎症部位や針先を確認しながら注射を行うことです。
従来の整形外科での注射は、医師が指で押して痛い場所(圧痛点)を探り、解剖学的な知識と経験を頼りに「ブラインド(盲目的)」で行うのが一般的でした。もちろんこれでも一定の効果はありますが、ミリ単位の正確な病変部に薬液を届けるのは至難の業です。
一方、エコーガイド下注射では、エコー(超音波画像診断装置)を使って、皮膚の下にある筋肉、腱、血管、神経、そして「実際に炎症が起きて腱が傷んでいる部位」をリアルタイムでモニターに映し出しながら針を進めます。
エコーを用いる3つのメリット
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ピンポイントで薬液を注入できる(効果の最大化) 最も炎症が強く、痛みの原因となっている数ミリの標的(ターゲット)に直接薬液を届けることができるため、より確実な鎮痛効果が期待できます。
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安全性が高い(リスクの最小化) 針先がどこにあるのかをリアルタイムで目で見て確認できるため、周囲の健康な組織や神経、血管を傷つけるリスクを大幅に減らすことができます。
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患者様の納得と安心感 患者様の治療に対する納得感と安心感が違います。

エコーガイド下注射
ケナコルト(ステロイド)注射の強力な効果と注意点
エコーガイド下で注入するお薬の一つに、「ケナコルト」という強い抗炎症作用を持つステロイド剤があります。
ケナコルト注射の特徴
なかなか治らないテニス肘の強い痛みに対して用いるのが、「ケナコルト(成分名:トリアムシノロンアセトニド)」というステロイド剤の注射です。
局所麻酔薬と混ぜて患部に直接投与します。ステロイドと聞くと「怖い」というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、適切な量を、適切な部位に、適切な間隔で使用すれば、非常に強力な味方になります。
ケナコルトは、持続性のステロイド剤であり、局所の激しい炎症を強力に抑え込みます。
【ケナコルト注射の特徴】
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強力な抗炎症作用: 腫れや炎症を抑える力が非常に強く、痛みの原因となっている患部の炎症を素早く鎮静化させます。
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持続性: 水に溶けにくい懸濁性(微細な粒子状)の薬剤であるため、注射した部位に長期間とどまり、じわじわと効果を発揮し続けます。
多くの場合、注射直後から1週間程度で劇的に痛みが軽減し、「あんなに痛かったのに嘘みたいに楽になった」と驚かれる患者様も少なくありません。
知っておくべき注意点(デメリット)
ただし、魔法の薬ではありません。強力であるからこその注意点があります。
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頻回の注射: 短期間に頻回に注射を繰り返すと、腱自体がもろくなったり、感染する危険があります。
数回の使用で問題が起きることはありませんが短期間で注射を繰り返すことは推奨されていません。 -
ステロイドフレア:ケナナコルトなどの一部のステロイド注射液は、効果を長持ちさせるために成分が細かい「結晶(粒子)」の状態で入っています。
この結晶が溶け切るまでの間、関節内や周囲の組織を物理的に刺激してしまうことで、一時的に炎症が起きて痛みが強くなる現象です。
注射後1〜2日程度は、稀に逆に痛みや腫れが出ることがありますが冷やしたり(アイシング)、ロキソニンなどの鎮痛薬を内服することで消失します。
痛みが消えた後が本番!トータルサポート体制
ケナコルト注射によって痛みが劇的に取れた時、多くの患者様は「治った!」と思い込み、通院を中断されます。
しかし、実は「痛みが取れてからが、本当の治療のスタート」なのです。
痛みが落ち着いている間に、テニス肘を再発させないためにリハビリを行うことが極めて重要です。
手首や腕だけでなく、肩甲骨や体幹の柔軟性・筋力を高め、肘に負担のかからない身体の使い方を身につける必要があります。
久留米市内で地域に根ざした医療を提供するため、当院では専門的性の高いリハビリチームによる治療はもちろんのこと、患者様のライフスタイルに合わせたトータルケアを提供し、痛みが再発しない身体づくりを全力でサポートできる体制を整えています。

国家資格を持つ理学療法士や作業療法士が在籍している医療機関であれば、症状に応じたリハビリテーションの提案も受けられます。
まとめ:長引く肘の痛みは我慢せず、整形外科専門医へ
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、決して「そのうち治るだろう」と軽く見てはいけない疾患です。
痛みを我慢しながら生活や仕事を続けることで、治療はより困難になっていきます。
「ペットボトルのフタが開けられない」「ドアノブを回すのが辛い」「テニスのバックハンドで激痛が走る」 もし、このような症状が数週間〜数ヶ月続いている、あるいは他院で治療を受けているが一向に良くならないという方は、ぜひ一度、久留米市のまつもと整形外科にご相談ください。
エコー(超音波)ガイド下注射やリハビリなど疼痛改善の手助けになるよう治療のご提案させていただきます。
痛みのない快適な日常を、一緒に取り戻しましょう。
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