急性腰痛症(ぎっくり腰)

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急性腰痛症(ぎっくり腰)

急性腰痛症(ぎっくり腰)とは

ぎっくり腰とは急に起きた激しい腰痛のことで、正式には「急性腰痛症」と呼ばれます。欧米ではその耐え難い痛みから「魔女の一撃」とも呼ばれます。重い物を持ち上げたとき、体をひねったとき、または朝起き上がろうとした瞬間的に、「ピキッ」とした強い痛みが走り、そのまま動けなくなることがあります。
腰の筋肉や靭帯、関節、椎間板(クッション部分)などに急な負担がかかり、炎症や筋肉のけいれんが起こると推測されています。 一般的には数日〜2週間ほどで回復しますが、再発を繰り返すケースも多く、正しい治療とリハビリが重要です。

症状

CONSULTATION

  • 急に腰に強い痛みが走る
  • 腰を伸ばす・前にかがむと激痛が出る
  • 立ち上がれない・歩くと痛む
  • 動作を変えるときに「ズキッ」と痛む
  • 腰に熱感や張りを感じる
  • 痛みのため、体をまっすぐにできない

など

原因

急性腰痛症(ぎっくり腰)の発症のきっかけは、重たいものをもったり、お辞儀をしたり、些細な動作でなることが多いのですが、身体の中で何が起きているのか、はっきりとしたことはいまだ解明されていません。


主な原因

◯重い荷物を急に持ち上げた
◯無理な体勢で作業をした
◯長時間の同じ姿勢で筋肉が固まっていた
◯睡眠不足・疲労・ストレス
◯冷えや季節の変わり目による筋緊張


発生しやすい状況

◯朝起き上がる瞬間
◯くしゃみ・咳をしたとき
◯洗面・靴下を履くなど、前かがみの姿勢
◯スポーツや運動中の急な動作

どのような人がなりやすいか

デスクワーク中心の方

◯長時間座りっぱなしで腰の筋肉が硬い
◯姿勢が悪く、骨盤が後ろに傾いている

力仕事・スポーツをされる方

◯繰り返し腰に負担がかかる
◯筋肉のバランスが崩れやすい

姿勢が悪い方

◯猫背、反り腰、骨盤のゆがみ
◯ストレートネックで全身のバランスが崩れている

運動不足・体幹筋力の低下

◯腰を支える筋肉(腹筋・背筋)が弱い
◯ちょっとした動作で腰を痛めやすい

ストレスや疲労がたまっている方

◯自律神経の乱れで筋肉が緊張しやすい
◯睡眠不足や冷えによって血流が悪くなる

検査・診断

問診・触診

◯痛みの出た動作やきっかけを確認
◯腰の圧痛・筋肉の緊張・姿勢をチェック

画像検査

◯レントゲン検査
骨折・すべり症・椎間板の狭小化などを確認
◯MRI検査(必要時)
椎間板ヘルニアや神経圧迫の有無を確認

治療法

1 急性期(発症〜数日)

◯安静を保ちつつ、必要に応じて鎮痛薬を使用
◯腰を冷やして炎症を抑える(発症初期は冷却が有効)
◯痛みが強い場合は、神経ブロック注射やトリガーポイント注射で症状を緩和

無理に動かさず、安静を守ることが早期回復につながります。

2 回復期(発症後3〜7日以降)

◯温熱療法(ホットパック・遠赤外線)で血流を促進
◯電気治療・超音波治療で筋緊張を緩和
◯徐々にリハビリを開始して、筋肉の柔軟性と体幹の安定性を取り戻す

痛みが落ち着いたら、早めにリハビリへ移行することが再発防止のポイントです。

リハビリテーション

徒手療法(マッサージ・筋膜リリース)

◯腰・骨盤・お尻周囲の筋肉の緊張を緩める
◯血流改善と痛みの軽減
◯筋膜の癒着を取り除き、動きをスムーズに

体幹安定化トレーニング

◯腹横筋・多裂筋などのインナーマッスルを鍛える
◯骨盤を安定させ、再発しにくい体づくり
◯呼吸法を取り入れ、自然な姿勢で行う

姿勢・動作指導

◯腰に負担をかけない立ち方・座り方を指導
◯物を持ち上げるときの正しいフォームを習得
◯デスクワーク中の姿勢や椅子の高さ調整

柔軟性トレーニング

◯太もも(ハムストリングス)やお尻のストレッチ
◯股関節や背中の可動性を改善
◯腰だけに頼らない動作を身につける

セルフトレーニング指導

◯自宅でできる軽いストレッチや体幹運動
◯起床・就寝前のケア方法
◯再発を防ぐ生活動作のポイント

セルフケア・予防

日常で気をつけたいこと

◯長時間同じ姿勢を続けない
◯荷物を持つときは膝を曲げて持ち上げる
◯腰を冷やさないようにする
◯軽い運動(ウォーキング・ストレッチ)を習慣化


自宅でできる予防ストレッチ

◯仰向けで膝を抱える「腰伸ばしストレッチ」
◯四つ這い姿勢で行う「キャットストレッチ」
◯骨盤を左右にゆらす「骨盤ゆらし運動」

Q&A

Q

ぎっくり腰は安静にした方がいいですか?

A

発症直後は安静が必要ですが、痛みが落ち着いてきたら少しずつ動かす方が回復が早まります。

Q

温めるのと冷やすの、どちらがいいですか?

A

発症直後(2〜3日)は冷やして炎症を抑え、痛みが軽くなってきたら温めて血流を良くします。

Q

再発しやすいのはなぜですか?

A

筋力低下や姿勢のクセ、体幹バランスの崩れが原因です。リハビリで正しい姿勢と筋力を取り戻しましょう。

Q

痛みが強いときに整体やマッサージを受けても大丈夫ですか?

A

急性期の強い痛みのときは避けましょう。まずは整形外科で診断を受け、適切なタイミングでリハビリを行います。

Q

仕事をしてもいいですか?

A

痛みの程度によります。強い痛みがある間は安静を保ち、回復後に負担の少ない姿勢で再開しましょう。

Q

ぎっくり腰になった時、コルセットはつけた方が良いの?

A

はい、痛みの強い時期にはコルセットで腰を支えることで動作時の負担を軽減できます。 ただし、長期間の着用は筋肉の働きを弱めてしまうため、痛みが落ち着いたら徐々に外すことが大切です。 当院では、症状に合わせたコルセットの使用方法や着用時間についても指導しています。

Q

ぎっくり腰になってしまいましたが、お風呂は入っても良いのでしょうか?

A

発症直後で腰に熱感や強い痛みがある場合は、入浴は避けてください。 炎症が落ち着いてきたら(2〜3日後)、ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで血流が良くなり、筋肉のこわばりが和らぎます。 ただし、長湯や急な温度変化は避けましょう。

Q

ぎっくり腰になった時は病院に行った方が良いのでしょうか?

A

はい、強い痛みや動けないほどの症状がある場合は早めの受診をおすすめします。 「単なるぎっくり腰」と思っても、椎間板ヘルニア・圧迫骨折・すべり症などが原因のこともあります。 レントゲンやMRIで原因を特定し、適切な治療・リハビリを行うことが早期回復につながります。