四十肩・五十肩|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

四十肩・五十肩 FROZEN-SHOULDER

四十肩・五十肩|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)とは

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)とは、加齢や使いすぎによって肩関節の周囲の筋肉や腱、関節包に炎症が起こり、痛みや動きの制限が出る病気です。40歳~50歳代を中心に肩関節に痛みが生じやすく、四十肩・五十肩と呼ばれることがありますが、四十肩・五十肩は俗語であり、正式な医学用語は「肩関節周囲炎」と呼ばれています。
肩の動きが悪くなるだけでなく、夜間の痛み(夜間時痛)が強く、睡眠を妨げることもあります。
肩の痛みは自然に改善することもありますが、放置すると関節が硬くなり、腕が上がらない“凍結肩”(フローズンショルダー)になることもあります。早期の診断とリハビリが、スムーズな回復への近道です。

特徴

この四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)は名前の通り40歳、50歳代に多く見られる病気ですが、中年層だけではなく若い世代や高齢者でもで発症することがあります。特にパソコン作業やスマートフォンの長時間使用など、肩に負担をかける生活習慣が続くとリスクが増えます。 また、男性より女性の方が発症率が高いことが知られています。これは女性が男性よりも筋肉量が少なく、肩周囲の筋肉を酷使しやすい傾向にあるためだと考えられています。
特に閉経後は筋力が落ち、ホルモンバランスの変化も影響して発症リスクが増します。肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)は一度発症すると、自然治癒までには数ヵ月から1年以上かかることが多いです。しかし、適切な治療や予防策を行えば、症状の軽減や再発防止につながります。日頃から正しい姿勢を心掛け、肩に負担をかけない生活習慣を身につけることが重要です。

症状

CONSULTATION

  • 腕を上げると痛い(特に髪を結ぶ、服を着替える動作など)
  • 腕を後ろに回せない(エプロンの紐を結べない、下着がとれない)
  • 肩を動かさなくても夜中にズキズキ痛む(夜間痛)
  • 肩や上腕の外側に鈍い痛みが広がる

など

症状の変化

1 炎症期

炎症による痛みが強い時期で、腕を少し動かすだけで激痛が走り、夜寝られないほどの痛み(夜間痛)や、じっとしている安静時にも痛みが出るようになります。寝ているときにも痛みが強く、寝返りで激痛が出るために不眠になることもあります。この時期は痛みが非常に辛い時期で、数カ月続くこともあります。

2 拘縮期

凍結期とも呼ばれ、炎症による痛みが少し落ち着きます。炎症による組織の癒着で、肩関節が動かなくなります。肩が動かないことで、顔を洗ったり、頭を洗ったり、下着を脱いだりする際にも普通に動かせなくなり、日常生活にも支障が出ます。凍りついたように肩が動かなくなることから凍結肩とも呼ばれます。

3 回復期

拘縮が回復して、肩の動きが改善してきます。数カ月かかって、元の肩の状態に回復していきます。

原因


四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)は、肩関節周囲の組織(関節包・腱板・靭帯・滑液包など)の炎症や癒着が原因で起こります。
主な原因は以下のとおりです。

◯加齢による関節包や腱板の柔軟性低下
◯長年の姿勢不良や肩の使いすぎ
◯デスクワークや家事などでの同じ動作の繰り返し
◯糖尿病や甲状腺疾患などによる血流障害
◯外傷(打撲や転倒)後の炎症

特に、肩を動かさない期間が長いと、関節包が固まりやすくなり「拘縮(凍結肩)」を引き起こします。

検査・診断

整形外科的検査


◯肩を前・横・後ろに動かして可動域を確認
◯痛みの出る位置や方向をチェック
◯腱板断裂を疑う際は特殊テストを実施

画像検査


◯レントゲン検査:骨の変形や石灰化の有無を確認
◯エコー(超音波)検査:関節に水が溜まっていないか確認、石灰化の確認、腱板の評価

治療法

鎮痛薬や湿布

◯非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

代表的な薬剤:ロキソニン、セレコキシブ、ボルタレン
痛みと炎症を和らげるための薬です。痛みがある部位に炎症が起きているため、痛みや炎症を引き起こす物質の産生を抑制し、痛みを軽減させます。

◯鎮痛薬

代表的な薬剤:カロナール

中枢神経に作用して、痛みを抑えます。副作用が少ないため小児や高齢者でも使用しやすい薬です。

◯オピオイド系鎮痛薬
代表薬剤:トラムセット、トラマール、ワントラム、ツートラム
非麻薬性のオピオイド鎮痛薬でロキソニンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDS)などに効果がない場合に使用されます。脳内にあるオピオイド受容体という鎮痛に関わる受容体を刺激し、脳に痛みの信号が伝わりにくくする働きがあります。

◯選択的セロトニン・ノルアドレナリン再吸収阻害薬
代表薬剤:サインバルタ
セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを抑制することで下行性疼痛抑制系を賦活化し、鎮痛効果を高めます。

注射治療


ステロイド剤を関節内に注射して、炎症と痛みを緩和します
【ステロイド注射製剤の種類】
1.ケナコルト-A(トリアムシノロンアセトニド)
白色の懸濁液で、関節内に長時間とどまるため、持続時間が長いのが特徴です。 整形外科で最も使用されるステロイド注射薬になります。

2.デカドロン(デキサメタゾン)
 即効性がありますが、作用の持続時間は短いのが特徴です。

3.リンデロン懸濁注(ベタメタゾン)
ケナコルトと同様に懸濁液のために、作用時間が長いです。

4.デポメドロール(メチルプレドニゾロン酢酸エステル)
ケナコルトと同様に長期作用型で、臨床試験ではケナコルトと症状改善効果に実質的な差はないと言われています。
【副作用】

・感染:頻回のステロイド注射や感染のリスクを高めます。
・血糖上昇:糖尿病の方は血糖値が上昇することもあります。 ・関節軟骨や腱組織は脆弱になります。

温熱療法・電気治療


・ホットパックや遠赤外線治療で血流を促進し、筋肉のこわばりを緩めます。
・電気治療(低周波・干渉波など)で痛みの伝達を抑え、筋肉をほぐします。

リハビリテーション

急性期(痛みの強い時期)


◯目的:痛みの軽減と炎症の抑制

・温熱療法・電気治療による痛みコントロール
・無理のない範囲での振り子運動(コッドマン体操)
・肩周囲の筋肉の軽いストレッチ

この時期は無理に動かさず、「痛みを悪化させないこと」が大切です。

拘縮期(こわばり期)


◯目的:可動域の改善と柔軟性の回復

理学療法士による徒手療法(関節モビライゼーション)
・肩甲骨・胸郭の動きを改善する運動
・肩の前方挙上・外旋運動の練習
・姿勢改善・体幹バランス訓練

少しずつ可動域を広げ、固まった関節を安全に動かします。

回復期


◯目的:筋力回復と再発予防

・肩周囲の筋トレ(ローテーターカフ・三角筋・肩甲骨安定筋)
・チューブを使った軽負荷運動
・日常生活での正しい肩の使い方指導

セルフケア・予防

自宅でできる簡単ケア


◯タオルストレッチ
背中で上下にタオルを持ち、軽く引っ張り合う

◯振り子運動(コッドマン体操)
体を前傾し、腕を自然に揺らす

生活上の注意


◯冷えを防ぎ、血流を良くする
◯重い荷物を片側で持たない
◯デスクワークでは背筋を伸ばし、肩を丸めない

Q&A

Q

自然に治りますか?

A

時間とともに自然に改善することもありますが、放置すると関節が固まり、治るまで1年以上かかることもあります。早期のリハビリが大切です。

Q

痛みが強いときは動かさない方がいいですか?

A

炎症が強い時期は安静が必要ですが、痛みが落ち着いてきたら少しずつ動かすことが大切です。医師や理学療法士の指導のもとで進めましょう。

Q

どのくらいで治りますか?

A

各々の症状によりますが、一般的には半年から1年で次第に良くなります。早期治療が重要とされています。

Q

どんな人がなりやすいですか?

A

40〜60代の女性に多く、姿勢の悪さ・肩こり・運動不足・糖尿病なども関係しています。

Q

四十肩、五十肩は同じですか?

A

一般的には、40歳代で発症する場合を「四十肩」、50歳代以降で発症するものを「五十肩」と呼びますが、これは俗語であり医学用語ではありません。四十肩・五十肩の医学用語は肩関節周囲炎になります。

Q

なぜ四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)になるのですか?

A

肩の使いすぎや筋力の低下、加齢による変化などが考えられます。体質やストレスも影響を及ぼすと考えられています。しかし、多くの場合、原因は明確には分かっていません。

Q

肩関節周囲炎と腱板損傷の違いは何ですか?

A

肩関節周囲炎と腱板損傷は肩が痛くなったり、動かなくなるという症状は一緒です。腱板損傷は転倒などの怪我やスポーツでの怪我、老化現象などで腱板が切れて発症します。

Q

どちらの向きで寝るとよいですか?

A

痛い方の肩を下向きにするよりも上向きにして、横向きに寝ると痛みが軽減される傾向にあります。