
シンスプリントとは、すね(脛骨)の内側に沿って痛みが生じるスポーツ障害で、正式には「脛骨過労性骨膜炎」といいます。
主にランニングやジャンプなどを繰り返す運動によって、すねの骨膜(骨を覆う膜)に炎症が起こることで発症します。
陸上競技、サッカー、バスケットボール、バレーボール、バドミントンなど、走る・跳ぶ・止まる動作が多いスポーツ選手によく見られます。
早期に治療を始めれば数週間で改善することもありますが、痛みを我慢して運動を続けると、疲労骨折に進行するケースもあるため、早めの対応が大切です。
症状
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運動中または運動後にすねの内側が痛い
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走り始めやジャンプの着地でズキッとする
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すねの下のほうを押すと痛みがある
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初期は運動後のみ痛むが、進行すると常に痛む
など
原因
内的要因
◯過度なランニングやジャンプなどのオーバーユース(使いすぎ)
◯筋肉(特に後脛骨筋やヒラメ筋)の柔軟性低下
◯扁平足や回内足などの足のアライメント異常
◯急激な練習量の増加(シーズン初期など)
外的要因
◯クッション性の低いシューズの使用
◯硬い地面での練習
検査・診断
問診・触診
痛みの出る部位、運動内容、期間などを確認します。 すねの内側(脛骨内縁)を押した際に痛みがあれば、シンスプリントが疑われます。
治療法
安静と活動制限
痛みが強い時期は運動を中止し、患部への負担を軽減します。
練習再開は、痛みが取れてから段階的に行います。
鎮痛薬や湿布
炎症や痛みを抑えるために鎮痛薬・湿布を使用します。
痛みが和らぐことで、リハビリやストレッチが行いやすくなります。
温熱療法・電気治療
◯温熱療法(ホットパック・遠赤外線):血流を促進し、筋肉の緊張を緩和。
◯電気治療(低周波・干渉波など):痛みの伝達を抑え、炎症を改善。
注射治療
トリガーポイント注射や局所麻酔注射を行うこともあります。
強い痛みを一時的に抑えることで、リハビリをスムーズにすすめることができます。
リハビリテーション
初期(炎症期) 目的:炎症の軽減と筋緊張の緩和
◯超音波治療・電気治療による疼痛コントロール
◯ふくらはぎ〜すねの筋膜リリース
◯軽いストレッチ(痛みのない範囲で)
回復期 目的:柔軟性の改善と筋力回復

◯後脛骨筋・ヒラメ筋・腓腹筋のストレッチ
◯足底筋群や足首の安定性トレーニング
◯体幹・股関節の安定化エクササイズ(骨盤のねじれ改善)
競技復帰 目的:再発防止と動作修正
◯ジャンプ・ランニングフォームのチェック
◯フォーム矯正トレーニング(着地衝撃のコントロール)
◯筋力・柔軟性・安定性の最終確認
セルフケア・予防
ストレッチ
◯ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)を壁押しで伸ばす
◯すねの内側(後脛骨筋)をやさしくマッサージ
◯練習前後に5分間のストレッチを習慣化
フォーム・環境の見直し
◯足に合ったシューズを使用
◯クッション性のある練習場を選ぶ
◯ランニングフォームの改善(着地の衝撃を減らす)
体づくり
◯体幹トレーニングで姿勢と安定性を高める
◯栄養・休養・睡眠を十分にとる
Q&A
シンスプリントは自然に治りますか?
軽症であれば安静で改善しますが、痛みを我慢して運動を続けると悪化し、疲労骨折に進行する恐れがあります。
どのくらいで治りますか?
軽症なら2〜4週間、中等症で1〜2か月、慢性化した場合は3か月以上かかることもあります。
再発しやすいと聞きましたが、本当ですか?
フォームや柔軟性、シューズの問題を改善しないまま復帰すると再発しやすくなります。リハビリで原因を解消することが大切です。
成長期の子どもでも治りますか?
適切な安静とリハビリで回復します。成長期は再発しやすい時期でもあるため、運動量の調整が重要です。
シンスプリントと疲労骨折の違いは何ですか?
どちらの脛骨(すね)が痛くなります。シンスプリントは骨の表面にある骨膜が炎症を起こして痛くなりますが、疲労骨折は骨に小さな骨折を起こしていますので、1点(局所)に強い圧痛を認めます。















