変形性膝関節症とは?原因・症状・治療法・予防まで徹底解説|久留米市の整形外科|まつもと整形外科

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変形性膝関節症とは?原因・症状・治療法・予防まで徹底解説|久留米市の整形外科|まつもと整形外科

変形性膝関節症とは?原因・症状・治療法・予防まで徹底解説

まつもと整形外科は福岡県久留米市安武町にある、整形外科・リハビリテーション科・スポーツ整形外科のクリニックです!!



こんにちは!



久留米市安武町にある整形外科クリニック まつもと整形外科 院長 松本淳志です


1. 変形性膝関節症とは?


変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう・へんけいせいしつかんせつしょう)は、膝の関節にある軟骨がすり減ることで痛みや変形が生じる病気です。膝関節は太ももの骨(大腿骨)、すねの骨(脛骨)、膝のお皿(膝蓋骨)で構成されています。その間にある軟骨がクッションの役割を果たし、スムーズに動けるようになっています。

しかし、加齢や使い過ぎ、肥満、筋力低下などの影響で軟骨がすり減ってしまうと、骨同士が直接ぶつかり合い、膝の痛みや腫れが起こります。進行すると歩行が困難になり、日常生活に大きな支障をきたす病気です。


日本では高齢者に多く、特に女性に多いことも特徴です。加齢とともに誰でも起こり得る病気であり、「膝が痛い」と感じている人の多くが変形性膝関節症である可能性があります。



2. 発症の原因とリスク因子


変形性膝関節症の原因はひとつではなく、いくつかの要因が重なって発症します。



    • 加齢:年齢とともに軟骨は弾力性を失い、摩耗しやすくなります。


    • 肥満:体重が増えると膝への負担は大きくなり、特に階段の昇り降りで強い圧力がかかります。


    • 筋力低下:太ももの筋肉(大腿四頭筋)が弱くなると、膝を支える力が減り、負担が集中します。


    • 生活習慣や姿勢:長時間の正座や和式生活、スポーツによる酷使もリスクです。


    • 遺伝的要素:家族に膝の病気が多い人は注意が必要です。



これらの要因を知ることで、予防や進行を遅らせる対策が見えてきます。



3. 初期症状のサイン


変形性膝関節症の初期には、次のような症状が現れます。



    • 歩き始めに膝が痛い(特に朝起きたときや立ち上がるとき)


    • 階段の昇り降りがつらい


    • 正座やしゃがむ姿勢ができない


    • 膝がこわばる感覚がある



初期の段階では休めば改善することも多く、「年のせいかな」と放置してしまいがちです。しかし、その間に軟骨の損傷が進むことがあるため、早期の受診がとても大切です。


初期症状のサイン

階段の昇り降りがつらい

 


4. 進行するとどうなる?


変形性膝関節症は進行性の病気です。放置していると以下のように悪化していきます。



    1. 軟骨がすり減り始める → 膝の違和感や軽い痛み

    2. 関節内で炎症が起きる → 膝が腫れる・熱をもつ

    3. 骨が変形してO脚になる → 歩きにくい・膝の可動域が制限される

    4. 痛みで歩行困難になる → 日常生活に支障(買い物や外出が困難に)




特に高齢者では、膝の痛みがきっかけで活動量が減り、フレイルや寝たきりにつながるケースも少なくありません。



5. 診断方法


病院では以下のような流れで診断されます。



    • 問診・触診:痛みの場所や強さ、歩き方を確認

    • X線検査:関節の隙間が狭くなっていないか、骨の変形の有無を確認

    • エコー(超音波)検査:膝関節内に水がたまっていないか確認します。



膝の痛みは「変形性膝関節症」だけでなく、「半月板損傷」「靭帯損傷」「関節リウマチ」などでも起こるため、正確な診断が重要です。

 

6. 日常生活での工夫


治療や予防のためには、日常生活でのちょっとした工夫が役立ちます。



    • 体重コントロール:減量すると、膝への負担は軽減すると言われています。


    • 膝にやさしい靴を選ぶ:クッション性の高い靴やインソールを使う。


    • 杖を活用する:膝の負担を約20〜30%減らす効果があります。


    • 正座を避ける:洋式生活を取り入れることで膝の負担を軽減。



こうした生活習慣の見直しは、症状の進行を抑えるだけでなく、再発予防にもつながります。



7. リハビリ・運動療法


変形性膝関節症では、リハビリが非常に重要です。膝を支える筋肉を鍛えることで、痛みを軽減し、関節の安定性を高められます。


  • ストレッチ:太もも裏やふくらはぎを伸ばすことで関節の可動域を保つ
  • 大腿四頭筋トレーニング:椅子に座って膝を伸ばす運動(膝伸展運動)
  • 太もも内側の筋肉トレーニング:ボールやクッションを膝で挟んで押す運動

  • プール歩行:浮力で膝への負担が減り、効果的な運動が可能



医師や理学療法士の指導のもと、無理のない範囲で継続することがポイントです。




8. 薬物療法と注射治療


症状が強い場合には薬や注射が用いられることもあります。



    • 消炎鎮痛薬(NSAIDs):痛みや炎症を抑える

    • 湿布・外用薬:局所的に痛みを和らげる

    • ヒアルロン酸注射:関節内に注射して骨と骨の潤滑性を高める

    • ステロイド注射:炎症が強い場合に一時的に用いられる



これらはあくまで対症療法であり、根本的な治療ではありません。しかし痛みを軽減することで、リハビリや運動に取り組みやすくなるメリットがあります。



9. 手術療法について


薬やリハビリで効果が得られない場合、手術が検討されます。



    • 関節鏡手術:関節内を掃除する方法。初期例に用いられることがあります。

    • 骨切り術:骨の向きを矯正し、膝への負担を分散させる手術。比較的若い人に多い。

    • 人工膝関節置換術:重度の変形や痛みがある場合に行う代表的な手術。人工関節の耐久性は10〜20年と言われています。



患者さまの年齢や生活スタイルに応じて、最適な方法が選ばれます。



10. 予防と上手な付き合い方


変形性膝関節症は完全に進行を防ぐことは難しいですが、早めの受診と生活改善で進行を遅らせることが可能です。膝の痛みと上手に付き合うことで、外出や趣味をあきらめずに生活を楽しむことができます



まとめ


変形性膝関節症は、加齢や生活習慣に伴って誰にでも起こり得る病気です。しかし、早期に対処し、リハビリや生活改善を取り入れることで進行を抑えることができます。


膝の痛みを感じたら「年だから仕方ない」と諦めずに、整形外科で正確な診断を受け、リハビリやヒアルロン酸注射など治療を始めることが大切です。


「膝の健康は人生の質を大きく左右する」と言われます。今からできることを一歩ずつ取り入れて、元気に歩ける未来を守りましょう。



当院には国家資格を持つ理学療法士・作業療法士が計26名在籍しています。患者さま一人ひとりに合った専門性の高いリハビリメニューを提供させていただきます。



ご不明な点などありましたら、お気軽にご相談ください!



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【参考文献】

・Newberry SJ, FitzGerald J, SooHoo NF, et al. “Treatment of Osteoarthritis of the Knee: An Update Review.” https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28825779/

・Hsu H. “Knee Osteoarthritis – StatPearls” (2023).https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK507884/

・Shtroblia V, et al. “Recent advances in the management of knee osteoarthritis.” Frontiers in Medicine (2025).https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39906596/

・変形性膝関節症診療ガイドライン(日本整形外科学会 2023年版)https://www.joa.or.jp/topics/2023/files/guideline.pdf


著者

院長
松本 淳志 Atsushi Matsumoto

経歴

  • 済生会福岡総合病院
  • 製鉄記念八幡病院
  • 福岡市民病院
  • 九州大学病院
  • 九州医療センター
  • 福岡赤十字病院
  • 済生会八幡総合病院
  • 福岡青洲会病院

資格・所属学会

  • 日本整形外科学会 専門医(日本専門医機構)
  • 日本整形外科学会認定 運動器リハビリテーション医
  • 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
  • 日本フットケア学会認定 フットケア指導士
  • インフェクションコントロールドクター
  • 身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)
  • 難病指定医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本整形外科学会
  • 日本感染症学会
  • 日本フットケア・足病医学会