腰椎分離症とは?

腰椎分離症とは、腰の骨(腰椎)の後方部分(椎弓)が激しい運動の繰り返しで、椎弓に圧力が加わって疲労骨折を起こして、分離を起こす病気です。
骨が未発達である成長期の子どもで、特にスポーツをしている中高生に多く、野球・サッカー・バドミントン・バレーボールなど、腰を反らす・ひねる動作を繰り返す競技でよく見られます。
好発部位は、第5腰椎(腰の一番下の骨)です。
初期の段階では骨がまだつながっており、早期に発見し適切な治療を行うことで骨癒合(自然修復)が可能です。
しかし、発見が遅れると骨がくっつかず「腰椎分離すべり症」へと進行し、慢性的な腰痛や下肢のしびれが長期化することもあります。
症状
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スポーツ中や練習後に腰の痛みが出る
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腰を反らすと痛みが強くなる
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長時間の立位や座位で腰がだるくなる
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おじぎや反り動作で鋭い痛み
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進行すると、お尻や太ももに痛みやしびれを感じる
など
原因
スポーツによるオーバーユース(使いすぎ)
◯野球のスイングやピッチング動作
◯サッカーのシュートやキック動作
◯体操・バレエなどの反り動作
◯バドミントン・バレーのジャンプと回旋
これらの動作では、腰椎の後方部分(椎弓)に強い力が繰り返しかかり、疲労骨折が生じます。
体の使い方・柔軟性の問題
◯股関節や太ももが硬い
◯体幹(腹筋・背筋)の筋力不足
◯成長期の骨が未成熟で負担を受けやすい
これらが重なると、腰椎に過剰な力が集中して分離を起こしやすくなります。
検査・診断
レントゲン検査
まずは腰椎の形や配列を確認します。初期段階では映らないこともあるため、慎重な判断が必要です。
MRI検査
初期の分離症ではレントゲンに写らないことも多く、初期の分離症の診断にはMRIが最も有用です。
CT検査
分離部位の詳細な形状を把握するのに有効です。
治療法
保存療法
◯スポーツ活動の一時中止・安静
◯コルセット装着による腰部の安定化
◯鎮痛薬や湿布で炎症と痛みの軽減
◯温熱療法・電気治療・超音波治療による血流改善と治癒促進
◯リハビリによる筋肉の柔軟性の確保
特に初期段階(分離初期・骨折期)であれば、これらの治療で骨が再癒合することが期待できます。
注射治療
痛みが強い場合や炎症が持続している場合には、局所麻酔・神経ブロック注射を行うこともあります。
一時的に痛みを抑え、リハビリを安全に進めることが目的です。
手術療法
保存療法で改善が見られず、神経症状(脚のしびれ・痛み)が強い場合に検討されます。適応されることは稀です。
多くのケースでは、保存療法+リハビリで十分に回復が期待できます。
リハビリ

適切なリハビリを行うことにより、症状の改善を目指すことができます。腰椎分離症のリハビリは、症状に応じて段階的に進められます。骨がつながるまで安静にするだけでなく、痛みのない範囲で筋肉バランスを整え、体幹を強化することが回復のカギとなります。
目的:痛みの軽減と骨癒合の促進
◯温熱療法や電気治療で血流を改善
◯コルセットを使用して腰を安定化
◯股関節や下肢の軽いストレッチから開始
目的:再発予防のための筋力回復
◯腹横筋や多裂筋などの体幹インナーマッスル強化
◯骨盤の動きを整えるモビライゼーション
◯背中の柔軟性を高めるストレッチ
◯正しい姿勢・フォームの再教育
「痛みを取る」だけでなく、「再発しない動き方」を身につけることを大切にしています。
目的:競技復帰に向けた動作再教育
◯スポーツ特有の動作フォーム指導(スイング・ジャンプなど)
◯動的バランストレーニング
◯疲労骨折を防ぐためのコンディショニング
まつもと整形外科では、スポーツ経験豊富な理学療法士が復帰支援を行っています。
セルフケア・予防
自宅でできるケア
◯腹横筋トレーニング(ドローイン)
◯太もも裏(ハムストリングス)・お尻(臀筋)のストレッチ
生活上の注意
◯痛みが出たら無理をせず休む
◯長時間の前かがみ姿勢を避ける
◯睡眠・栄養・休養のバランスを整える
Q&A
腰椎分離症は治りますか?
初期の段階であれば、安静とリハビリで骨癒合する(骨がつながる)可能性があります。もし、骨癒合せずに分離症が残っても、リハビリによる身体の柔軟性の確保と筋肉の強化で痛みのコントロールは十分可能です。
スポーツはいつから再開できますか?
痛みがなくなり、身体の柔軟性が確保でき、体幹・骨盤の安定が確認できてから再開します。一般的には約3か月を目安に段階的に復帰します。
放置するとどうなりますか?
分離した骨が動きやすくなり、成人になった際に腰椎分離すべり症へ進行するリスクがあります。しびれや下肢痛が出ることもあるため、早期診断が大切です。
成長期を過ぎても治りますか?
骨が完全に分離した場合でも、痛みの原因は筋肉や関節の使い方にあることが多く、リハビリで十分改善が期待できます。















