上腕二頭筋長頭腱炎|久留米の整形外科|まつもと整形外科【西鉄安武駅徒歩2分】

上腕二頭筋長頭腱炎 BICEPS-TENDINITIS

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上腕二頭筋長頭腱炎とは

上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)とは、腕の力こぶを作る筋肉(上腕二頭筋)の長いほうの腱(長頭腱)が、肩関節の骨の溝(結節間溝)で摩擦を起こし、炎症を生じる疾患です。

肩の前面にズキズキとした強い痛みを生じるのが特徴で、腕を上に挙げる動作や、後ろに回す動作、重いものを持ち上げる動作などで痛みが著しく増悪します。「肩の前面が痛い」「エプロンの紐を結んだり、下着を外したりするなど、腕を後ろにまわす動作で肩が痛い」「腕を上げると肩が痛む」「肩の深いところが痛くて力が入らない」といったお悩みでご来院される患者さまが多くいらっしゃいます。

スポーツ(野球、テニス、水泳、ベンチプレスなど)による肩の使い過ぎ(オーバーユース)だけでなく、加齢による腱の変性や、長時間のデスクワーク・姿勢不良(巻き肩・猫背)、草むしりなどの日常作業による肩関節の負担増大など、日常生活の様々な要因がきっかけとなって発症します。

症状

CONSULTATION

  • 肩の前面(力こぶの付け根あたり)にズキズキとした痛みや熱感がある
  • 腕を上に高く挙げようとすると肩の前側に鋭い「肩の痛み」が走る
  • エプロンの紐を結ぶなど、腕を後ろにまわす動作(結髪・結帯動作)で肩が痛い
  • 重い荷物を持ち上げたり、力こぶを作るように肘を曲げたりすると肩の痛みが強くなる
  • 夜間、痛む方の肩を下にして寝ると肩の痛みで目が覚める(夜間痛)
  • 肩を動かしたときに、肩の前あたりでゴリゴリという引っかかり感や不快な音がする

など

原因

上腕二頭筋長頭腱炎が発生する背景には、構造的な解剖学的特徴と、機械的な摩擦刺激が深く関係しています。

上腕二頭筋長頭腱は、上腕骨(腕の骨)にある「結節間溝(けっせつかんこう)」という細い骨の溝を通り、肩関節の中に入り込んで付着しています。この構造上、腕を上や後ろに動かしたり、ひねったりするたびに、腱と骨の溝の間で構造的な摩擦が生じやすい状態になっています。

肩の使い過ぎ(オーバーユース)

野球の投球動作、テニスのサーブ、水泳のストローク、ベンチプレスなどのウエイトトレーニングで肩を酷使することで、腱に繰り返し負荷がかかり炎症を起こします。

加齢に伴う腱の変性

年齢とともに腱の柔軟性や血流が低下し、摩擦に対する耐久性が低くなることで、比較的軽微な負荷でも炎症が引き起こされやすくなります。

姿勢不良(猫背・巻き肩)

日常的にデスクワークやスマートフォンの操作で猫背や巻き肩の姿勢が続くと、肩甲骨の位置がずれ、結節間溝での腱の摩擦が助長されます。

肩関節インピンジメントや腱板損傷の併発

肩のインナーマッスル(腱板)の機能低下や傷に伴い、上腕二頭筋長頭腱に過剰な負担がかかることで二次的に発症することがあります。

診断

まつもと整形外科では、患者さまの肩の症状を正確に把握し、最適な治療法をご提案するために、問診・触診・画像検査を組み合わせて丁寧な診断を行っています。

問診・視診・触診

「いつから肩が痛いか」「どのような動作で痛みが走るか」を詳しく伺い、結節間溝部(肩の前側の溝)を指で圧迫して局所的な痛みの有無(圧痛)を確認します。

理学的徒手検査

上腕二頭筋長頭腱に負担をかける特定の誘導テストを行い、痛みが誘発されるかを確認します。

○Yergason(ヤーガソン)テスト:肘を曲げた状態で手首を外側にひねる力に対して抵抗を加え、肩前面の痛みを診ます。

○Speed(スピード)テスト:腕を前に伸ばした状態で上方向に持ち上げる力に対し抵抗を加え、腱の痛みをチェックします。

X線(レントゲン)検査

骨の変形、結節間溝の骨挫傷や骨棘(骨のトゲ)の有無、肩関節の全体的なバランスを確認します。

超音波(エコー)検査

腱の肥厚、滑液包の炎症・液貯留、腱の不連続性(断裂の有無)をリアルタイムで詳細に観察します。

セルフチェック

ご自身の肩の痛みが「上腕二頭筋長頭腱炎」の可能性を含んでいるか、ご自宅で簡単に確認できるセルフチェック方法です。

【簡易スピードテスト】

①痛む方の腕の肘をまっすぐ伸ばし、手のひらを天井(上)に向けます。
②そのまま腕を正面に向かって、ゆっくりと肩の高さまで持ち上げていきます。
③反対の手で、持ち上げている腕の手首あたりを上から軽く下に押さえつけ、負荷をかけます。
④押さえつける力に抵抗して腕を持ち上げようとした際、肩の前側(力こぶの付け根周辺)にピリッとした痛みが走る場合、上腕二頭筋長頭腱炎の可能性が考えられます。

治療

まつもと整形外科では、患者さま一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせ、消炎鎮痛と機能改善を目指した保存的治療を基本に行っています。

薬物療法

痛みが強い時期(急性期)には、患者さまの痛みの程度に合わせて以下のような内服薬や外用薬(湿布・塗布薬)を処方し、炎症と痛みを速やかに抑えます。また、必要に応じて筋肉の緊張を和らげる筋弛緩薬を併用します。

○消炎鎮痛薬(NSAIDs): ロキソニン、セレコキシブ、ボルタレンなど
○強い痛みを抑える鎮痛薬(オピオイドなど): ツートラム、トラムセットなど

注射療法(ステロイド注射)

強烈な痛みや夜間痛によって睡眠障害・日常生活障害が著しい場合には、「エコーガイド下ステロイド注射」が非常に有効です。 これは、超音波(エコー)画像で炎症部位をリアルタイムに確認しながら、原因となっている結節間溝の腱鞘(けんしょう)内へ、ミリ単位の精度で正確にステロイド薬(および局所麻酔薬)を注入する治療法です。医師の手の感覚だけに頼らず、ターゲットとなる病変部へ確実に薬液を届けることができるため、ピンポイントで強力な消炎効果を発揮し、速やかな痛みの軽減が期待できます。

安静・装具療法

痛みが強い急性期には、腕の無理な使用を控え、必要に応じて三角巾や肩関節サポーターを用いて肩関節にかかる負荷を軽減させます。

リハビリ

関節可動域訓練(ストレッチ)

凝り固まった肩関節周囲の筋肉や胸筋、肩甲骨周りの柔軟性を徐々に高め、関節の狭まった可動域を広げます。

姿勢改善指導

巻き肩や猫背などの不良姿勢は、上腕二頭筋長頭腱に持続的なストレッチストレスと擦れを与えます。体幹や背部の筋肉を活用した正しい姿勢保持の指導を行います。

スポーツ動作・動作指導

投球フォームやラケットの振り方、荷物の持ち上げ方など、肩に過度な負担をかけない体幹主導の動作獲得を目指します。

セルフケア・予防

運動前後のウォームアップとクールダウン

スポーツや肩を使う作業を行う前には、肩甲骨を大きく回すなど十分な準備運動を行い、終了後はアイスパックなどで肩の前側を適度にアイシング(冷却)して炎症を防ぎます。

胸筋・肩甲骨周辺のストレッチ

デスクワークの合間などに、胸をしっかり開いて大胸筋を伸ばしたり、肩甲骨を寄せる運動を取り入れたりすることで、巻き肩を予防できます。

作業姿勢の見直し

パソコン操作時やスマートフォン使用時には、背もたれを活用して背筋を伸ばし、顎を引き、肩が前に入り込まない正しい姿勢を意識しましょう。

無理な重量物の持ち上げを避ける

肘を遠くに伸ばした状態で重い荷物を持ち上げると腱に強烈な負荷がかかります。荷物は体に近い位置で抱え込むように持ち上げる工夫が大切です。

Q&A

Q

肩が痛いのですが、四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)との違いは何ですか?

A

四十肩・五十肩は肩関節を包む関節包全体に炎症が起こり、肩が全方向に上がらなくなる(拘縮する)のが特徴です。一方、上腕二頭筋長頭腱炎は「肩の前側」にピンポイントで痛みが集中し、特に腕を上に挙げる・ひねる動作や力こぶを作る動作で痛みが強くなるのが大きな特徴です。ただし、四十肩・五十肩と合併して発症することもありますので、正確な評価が求められます。

Q

肩の痛みがあるときは冷やすべきですか?それとも温めるべきですか?

A

痛みが強く、熱感や腫れがある急性期(発症直後や動かした直後)は、氷嚢などで15分ほどアイシングして炎症を抑えることが有効です。一方、慢性的な痛みや重だるさ、張り感が中心の場合は、お風呂などで温めて血行を促進し、筋肉をほぐすことが効果的です。判断に迷う場合は、まつもと整形外科へご相談ください。

Q

日常生活で腕を上げる動作をするとき、注意することはありますか?

A

手のひらを下(床方向)に向けたまま腕を上に挙げると、結節間溝で腱が擦れやすくなり痛みを誘発します。腕を上に挙げる際は、手のひらを上(天井方向)または内側に向けながら挙げると、腱への圧迫が軽減されます。また、肩だけで腕を挙げず、身体全体を使って動作を行う意識が大切です。