手の痛み
症状
原因
腱鞘炎
手をよく使う仕事や作業をする方は使いすぎでなることがあります。
ヘバーデン結節、ブシャール結節
女性に多い病気で手指の関節が腫れて痛みを伴い、次第に変形してきます。女性ホルモンの原因として考えられています。
手根管症候群
正中神経が通るトンネルを手根管と呼びます。使いすぎやホルモンバランスなど、さまざまな要因でこのトンネルが狭くなり、正中神経が圧迫されます。
治療
腱鞘炎
テーピングやアルフェンスシーネを使用して、指を固定して安静にします。それでも改善がない場合は、ステロイド注射を行ないます。
ヘバーデン結節、ブシャール結節
関節の炎症を抑えるために、外用薬(湿布や塗り薬)を使用します。疼痛が強い場合は、消炎鎮痛薬((NSAIDS)を内服します。物理療法(レーザー治療)で効果が出ることもあります。
手根管症候群
ビタミン剤や神経障害性疼痛の薬を内服します。物理療法(レーザー治療)で手根管内に起きている炎症を抑えます。それでも、改善がない場合は手術が望ましいです。
肘の痛み
症状
肘の外側から前腕(肘〜手首)にかけて痛みが生じます。
原因
手首に負担がかかる動作や作業を繰り返すと、筋肉の付着部に炎症が起きることが痛みの原因です。
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とも呼ばれ、テニスプレイヤーによく起こります。しかし、家事や掃除での負担で発症することも多く、誰にでも起こりえる病気です。
治療
症状が軽い場合には消炎鎮痛薬(NSAIDS)や外用薬(湿布)で対応します。また、物理療法(温熱療法、レーザー治療)も効果があります。湿布を貼っても効果がなく、日常生活にも支障がでるようであればステロイド注射が最も効果的です。ステロイド注射は即効性があり、当院ではエコーガイド下(超音波で画像をみながら)にピンポイントで炎症が起きている部位に注射をします。そのため、診察室から出るときには嘘のように症状がほとんどなくなっています。
テニス肘
テニス肘は、上腕骨外側上顆炎とも呼ばれ、肘関節周辺の筋肉や腱に炎症や痛みを引き起こす一般的な疾患です。
原因
この状態の主な原因は、過剰なストレスや繰り返しの動作です。具体的には、以下のような要因が考えられます。
- テニスやゴルフのようなスポーツでの急激な動作
- 重い物の持ち上げや運搬
- 日常の家事や仕事での繰り返しの動作
テニス肘は、適切なウォームアップやストレッチが実行されていない場合にも発生しやすくなります。また、筋力不足や柔軟性の欠如も症状の発症を招くことがあります。
症状
- 肘の外側に痛みが起こり、握力が低下する
- 肘を伸ばす動作や手首を上げる動作が困難になる
- 痛みが徐々にひどくなり、腕や手にまで影響することがある
この症状は、テニスプレイヤーだけでなく、重いものを持ち上げる仕事をしている方や、パソコンの使用が多い方にも見られることがよくあります。早期治療が望ましいですが、無理をせず、適切な休息とストレッチが症状の軽減に役立つことがあります。
リハビリ
テニス肘は、慢性的な痛みや不快感を引き起こす炎症性の状態であり、特に握力を必要とする動作で症状が悪化することがあります。リハビリが適切に行われれば、テニス肘の症状を効果的に緩和することができます。
まず、リハビリを始める前に、医師や理学療法士と相談し、適切な方法や注意事項を確認することが重要です。急激なリハビリや過度な負荷は、症状を悪化させることがあるためです。次に、リハビリの基本は、徐々に筋力を回復させることです。筋力の低下が原因で症状が悪化することがあるため、筋力を上げることで症状の改善が期待できます。
ストレッチング
筋肉の柔軟性を高めることで、炎症を緩和し、筋力回復を促進します。
筋力トレーニング
ウェイトトレーニングやゴムチューブを用いたエクササイズで、握力や筋力を回復させます。
マッサージ
痛みを軽減し、血行を促進することで、筋肉の回復を助けます。
アイシング
患部に冷たいものを当てることで、炎症を抑え、痛みを緩和します。
最後に、リハビリが効果的であるためには、継続が不可欠です。効果を実感できるまでには、個人差がありますが、焦らず無理をせず、地道な継続が大切です。また、テニス肘を再発させないためにも、日常生活での予防策をとることが重要です。適切な用具の使用や、ストレッチを行い、筋力を維持することが大切です。
ゴルフ肘
ゴルフ肘の痛みとは
ゴルフ肘は上腕骨内側上顆炎とも呼ばれ、肘の内側に痛みを引き起こす一般的な疾患であり、スポーツや日常生活の過度な負担が主な原因です。まずは、ゴルフ肘の症状を確認し、その後に原因と治療方法を紹介します。最後に、予防策やリハビリテーションについても触れていきます。
ゴルフ肘の主な症状
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)とは、手首や肘を使い過ぎによって発症する病気です。肘の内側にある内側上顆に過度な負担がかかり、炎症を起こすため痛みが生じます。ゴルフで無理なスイングをしすぎた場合に発生することから、ゴルフ肘とも呼ばれます。肘の内側に痛みが生じますが、症状が悪化すると肘の痛みだけではなく、握力や前腕の筋力低下が起こることがあります。早期に適切な治療を行うことで、症状の悪化を防ぎ、スムーズな回復が期待できます。
ゴルフ肘を引き起こす原因
ゴルフ肘は、繰り返し行われる手首の曲げ伸ばしや握力、肘の動きに関わる動作が原因で発症します。スポーツはもちろんのこと、日常生活での使用も影響を与えます。具体的には、ゴルフやテニス、仕事での持ち物の取り扱いやキーボードの操作などが該当します。繰り返しの動作により筋肉や腱に負担がかかり、炎症や筋肉の損傷が生じることで症状が現れます。治療法としては、安静や炎症を抑える薬、リハビリテーションなどが行われます。また、予防策としてストレッチや適切な筋力トレーニングが重要です。
ゴルフ肘の効果的な治療法
リハビリ
ゴルフ肘は、筋肉や腱の炎症が原因で肘の内側や前腕に痛みが発生する病気です。繰り返し行われるスポーツや仕事の動作で関節や筋肉が過度に負担を受けることによります。具体例としては、ゴルフのスイングやテニスのフォアハンドが挙げられます。リハビリが適切に行われれば、ゴルフ肘の症状を効果的に緩和することができます。まず、整形外科専門医の診察を受けて診断をつけます。リハビリ専門家である理学療法士がリハビリを担当します。筋力の低下や筋肉や腱の柔軟性の低下が原因となるためにリハビリにて改善が期待できます。
ステロイド注射
保存的治療で改善がない場合は炎症を抑えるために、少量のステロイド注射を患部に注射します。
ストレッチと筋力トレーニングによる予防法
ゴルフ肘の予防法としてストレッチと筋力トレーニングが効果的です。筋肉や腱の柔軟性を維持し、筋力を向上させることで肘への負担を軽減できます。
- 手首や指のストレッチ
- 前腕や上腕の筋力トレーニング
これらの運動は、日常生活やスポーツの前後に取り入れることで、効果的にゴルフ肘を予防することができます。
仕事や日常生活での肘への負担軽減
仕事や日常生活で肘への負担を軽減する方法もゴルフ肘の予防に役立ちます。
- 適切な姿勢で仕事を行う
- 肘の動きをサポートする装具を使用する
- 重いものを持つときに肘だけでなく、腕や肩の筋肉を使う
これらの方法を日常的に取り入れることで、肘への負担を軽減し、ゴルフ肘の発症リスクを低減できます。
ゴルフ肘の症状が現れた場合は、早めに整形外科専門医の診療を受けることが重要です。また、リハビリテーションも効果的です。整形外科専門医による適切な診察のもと、原因と問題を解決し、再発の予防を図ることができます。治療やリハビリに関心がある方は、ぜひ当院を受診してみて下さい。
野球肘
原因
野球肘は、投球や捕球などの動作時に肘関節に負担がかかることで引き起こされて発症します。投球フォームや肘の使い方に問題があったり、肘の柔軟性の低下などが原因として挙げられます。
症状
具体的な症状としては、肘の内側や外側での痛みや違和感、関節の腫れや運動制限があります。
診断
診察所見とレントゲン所見で診断を付けます。CT検査や MRI検査を行うこともあります。
治療
肘の安静を第一優先として、数週間から数カ月は投球中止を中止します。多くの場合は、投球の中止だけで痛みが軽快します。
投球フォームや肘の使い方を見直し、リハビリテーションに取り組みます。
リハビリ
まず、投球時の肘の使い方が原因の場合、フォームや動作の改善が重要となります。無理なフォームで投げると肘に過度なストレスがかかり、痛みや損傷が生じます。正しいフォームで投げることで、肘への負担を軽減させることができます。また、筋力不足や柔軟性の低下も野球肘の原因となります。例えば、上腕や肩、腕の筋肉が弱いと、肘への負担が増大します。筋力の強化やストレッチで柔軟性を高めることで、肘の負担を減らすことが可能です。適切な診断と治療で、リハビリテーションを行うことで、肘の状態が改善されることが期待できます。
投球フォームの影響
多くの場合、投球フォームが野球肘の原因となります。特に肘の内側靭帯への負担が問題となります。内側靭帯は、肘関節の安定性を保つ役割があり、投球時には特に負担がかかります。
無理な角度で投げると肘に過度なストレスがかかり、内側靭帯を損傷するリスクが高まります。正しい投球フォームで肘への負担を軽減し、内側靭帯への負担を減らすことが重要です。また、筋力トレーニングやストレッチで柔軟性を高めることも効果的です。特に上腕や肩の筋肉を鍛えることで、肘への負担が緩和されることが期待できます。投球フォームの改善や筋力向上、柔軟性の向上を心がけ、リハビリを行っていきます。
妊娠中、産後(授乳中)の手指の痛み
症状
手指や手首の痛み
原因
妊娠中や出産後はホルモンバランスに大きな変化がみられます。また、育児中は1日に何度も抱っこをするために手指や手首に大きな負担がかかります。そのために、腱鞘炎を発症しやすくなります。どの指にも起こりますが、特に母指への負担が多く、母指を動かすと手首付近が痛くなるのがドュケルバン腱鞘炎です。
治療
治療として、安静、湿布、ステロイド注射があります。ステロイド注射が最も即効性と効果が期待できますが、授乳中は母乳への薬の移行の影響から、注射へは否定的な医師も多いです。当院では授乳中の赤ちゃんに影響がでないよう、通常の1/3の薬液量をエコーガイド下(超音波でみながら)に注射しています。薬液量が少ないために赤ちゃんへの影響もなく、またエコーガイド下に注射するために少ない薬液量でも確実に腱鞘内に注射するために1回で症状が改善します。
初診時に注射できますので、頻回の受診は必要ありません。お困りの方はお気軽にご相談下さい。
著者
執筆者 松本 淳志
まつもと整形外科 院長
<経歴>
福岡大学医学部卒
済生会福岡総合病院
九州大学病院
九州医療センター
福岡赤十字病院
<保有資格>
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本フットケア学会認定フットケア指導士
<所属学会>
日本整形外科学会
日本感染症学会
日本フットケア・足病学会