心不全に効果的な運動方法

こんにちは!

まつもと整形外科は福岡県久留米市安武町にある、整形外科・リハビリテーション科・糖尿病内科・循環器内科のクリニックです!!

第4弾は心不全症状に効果的な運動方法というテーマでお話します。

心不全の方にとって、適度な運動は体力の向上や筋力の維持に役立ち、心臓の負担を減らすことにもつながりますので非常に重要です。今回は、心不全の方が運動を取り入れることでどのような効果が期待できるのか、また適切な運動プログラムの内容や注意点についてお話しします。

心不全の方の運動療法の重要性

心不全は心臓のポンプ機能が低下して、様々な症状を引き起こします。以前は、心不全の方は心臓の負担を減らすために安静にする必要があるといわれていました。確かに、急性心不全など症状が安定しない急性期では安静が望ましいです。しかし、長期間の安静は筋肉萎縮、筋力低下、呼吸機能低下、起立性低血圧、骨粗鬆症、サルコペニアなど、身体の衰弱が進行します。そのため、慢性心不全など心不全が安定している場合、運動は体力の向上や筋力の維持、体内循環の安定のためにも重要になります。

運動が心不全にもたらす効果(メリット)

・運動態容能の改善

・血管を拡張させて、血圧を下げる

・心臓の血流の改善

・心臓の機能の改善

・不整脈の発作抑制

・呼吸機能、肺機能の改善

・動脈硬化の原因となる高血圧、糖尿病、脂質異常症の改善

・生命予後の改善

・心不全による再入院リスクの低下

運動は新しい生活習慣を身につけることにもつながります。そして、運動は無理なく行えるように、適切な強度や時間を選ぶ必要があります。

運動強度や時間に関しては、循環器専門医や理学療法士と相談しながら、症状や状態に応じて、適切な運動プログラムが作成されます。心不全の方にとって運動は重要であり、ご本人だけではなく、サポートするご家族などにも一緒に理解してもらうことで、より効果的な治療が実現できます。

運動療法は、筋力トレーニングや有酸素運動を組み合わせて行うことが一般的です。運動の効果は、適切な強度や時間で行うことによって最大限に発揮されます。循環器専門医や理学療法士と連携して、自分に適した運動プログラムを作成し、継続して取り組むことが重要です。

ウォーキングをする男女

ウォーキングなどの有酸素運動が効果的

運動によって期待できること

運動は骨格筋を収縮させ、骨格筋を鍛えることができます。骨格筋である下腿三頭筋(ふくろはぎ)は第二の心臓を呼ばれ、筋収縮によるポンプ作用によって静脈血を心臓に送り出す作用があり、体内循環を手助けします。また、運動は血圧を下げる作用があるために心臓の負担を減らすことができます。また、運動能力が増加することで息切れが減って動きやすくなります。心不全悪化による再入院や死亡の危険性が減ると報告されています。

しかし、注意すべき点として、運動は医師の指導のもと、個々の状態や病気の進行度に合わせて実施しなければなりません。適切な運動負荷と強度を見極め、無理のない範囲で運動療法が行われることが大切です。

男性の下腿三頭筋(ふくらはぎ)

ふくらはぎの筋力は重要

適切な運動負荷と強度

心不全に方に適した運動負荷と強度は、個々の症状や体力によって異なります。まず、運動を行う前に、医師による診断や検査を受け、適切な運動プログラムを決めます。運動の強度は、息切れや疲労感を考慮し、無理のない範囲で行う必要があります。

一般的に、心不全の方の運動では、ウォーキングや自転車漕ぎなどの有酸素運動が推奨されます。また、筋力トレーニングも効果的ですが、重い負荷をかけるのではなく、軽い負荷を繰り返すことが推奨されます。

心不全の方の生活習慣と運動の関係

心不全の方の生活習慣と運動は深く関わりがあります。適切な生活習慣を保ち、無理のない運動を継続することで心不全の症状改善や予防が期待できます。生活習慣として注目されるのは、食生活、喫煙・飲酒、ストレス、睡眠などです。

心不全の方には、塩分や水分の摂取制限、心臓への負担軽減となる食事が推奨されます。また、喫煙や過度な飲酒は心臓に負荷をかけるため、避けることが望ましいです。

適度な運動は、体力や筋力面だけではなくストレスや神経の緊張を緩和し、良質な睡眠を促すことができます。効果的な運動のためには、総合的な生活習慣の改善が必要です。

運動中の注意点:悪化予防と安全管理

運動中、心不全の方は以下の注意点を心掛けることで、症状の悪化予防や安全管理が可能となります。

– 医師や理学療法士からの指導に従う。

– 無理な運動や高い運動強度は避ける。

– 症状の変化や不調の時は休む、医師に報告する。

特に、息切れや疲労感が強くなる際は、運動を中止し、医師と相談することが重要です。また、運動療法の効果を持続させるためにも、日常生活での適切な体重管理や血圧管理に努めることが求められます。

適切な運動を行うことで、心不全患者は心臓機能の改善や生活の質の向上が期待できます。

血圧計

運動中の血圧管理が重要

運動の日常生活への取り入れ方

運動を日常生活に取り入れる方法は、以下の通りです。

– 医師や理学療法士の指導のもとに決める。

– 散歩や自転車漕ぎ、自宅での筋トレなど、日常生活の中で無理のない範囲で運動を行う。

心不全の方の継続的な運動の管理

心不全の方にとって、運動は症状の改善や予防、生活の質の向上を目指す重要な治療です。運動期間中に身につけた運動習慣や筋力の維持管理が、病状の悪化を遅らせ、長期的な予後に大きな影響を与えます。医師や理学療法士の指導のもと、適切な運動強度や負荷に注意しながら、日常生活での活動量や歩行距離の管理が必要です。また、定期的に筋力や心機能の測定、血圧や体重のコントロールを行い、状態の変化に応じた適切な対応が求められます。また、運動を続ける上でご家族や仲間、パートナーのサポートが不可欠であり、社会全体での支援体制の整備も重要です。

運動の効果とメリット

運動の効果を持続させることで、心不全の方はさまざまなメリットを享受できます。第一に、症状の軽減につながり、息切れや疲労感の緩和が期待できます。第二に、心臓の機能や循環器系の働きが改善され、疾患の進行が遅くなります。第三に、入院や病院通いの回数が減少し、医療費の節約にも寄与する。第四に、日常生活の自立度が向上し、家族や周囲の負担も軽減される。最後に、健康的な生活習慣が身につくことで、他の疾患のリスクが低減される可能性があります。運動リハビリ効果の維持には、患者本人の努力はもちろん、医療者や家族のサポートが大事です。

心不全における運動のまとめ

心不全の方にとって運動は、体力の向上、筋力の維持、予防の面においても非常に重要です。運動習慣の維持には、医師や理学療法士の指導や家族、仲間、パートナーのサポートが欠かせません。

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【参考文献】

・日本心臓財団,心不全の初期サイン https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/09/

・日本心臓財団,心不全とは https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/02/

 

 

2024年10月24日