糖尿病内科・循環器内科のクリニックです
第3弾は心不全症状を食事で改善!というテーマでお話します。
心不全の方にとって、食事や運動は症状の改善だけではなく、予防の観点からも重要になります。これらの知識を身につけることで、病気の進行を抑え、より健康で快適な生活を送ることができるでしょう。
心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身への血液循環が不十分になる病気です。その原因と予防について理解することは、患者様とそのご家族にとって重要です。心不全の原因や症状、高血圧との関係、生活習慣の改善や運動療法を知っておくことで、病状の進行を抑え、予防にもつながります。
心不全の原因は、高血圧による心肥大、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)、心臓弁膜症、心筋症、不整脈などの疾患により発症します。さらに、糖尿病や高血圧などの慢性疾患も動脈硬化を悪化させたり、心臓への負担を増大させること、心不全を引き起こす要因となります。心不全により生じる症状は、息切れやむくみ(浮腫)呼吸苦(息が苦しい)、疲労感などが挙げられます。このような症状は、心臓のポンプ機能が低下し、全身への血液循環が悪化することにより生じています。適切な治療を受けることで、これらの症状の改善や機能低下の進行を遅らせることが可能です。
心不全と高血圧は密接な関係があり、高血圧が長期間続くことで、心臓に過度の負担がかかり、心臓の筋肉が肥大(心肥大)することで心不全を引き起こすことがあります。運動療法による適度な運動は体内循環や高血圧を改善させるために、心不全の治療と予防の効果が期待できます。しかし、運動療法は病状に応じて運動量を調整する必要があるために、医師の指導のもと行うことが重要です。
心不全の予防策として、生活習慣の改善が重要です。まずは、食事の見直しを心がけましょう。塩分の摂取量を減らし、バランスの良い食事をとることが大切です。また、適度な運動を継続することも、心臓機能の改善や血圧のコントロールに役立ちます。さらに、ストレスや睡眠の質にも注意し、リラックスできる環境を整えることが心不全の進行を遅らせる効果があります。これらの予防策を実践することで、心臓の負担を軽減し、快適な生活を送ることができます。
心不全の方にとって、食事療法は病状の改善や予防において非常に重要です。栄養バランスが整った食事は、心臓の機能を維持し、症状の悪化を防ぐ効果があります。また、塩分制限は血圧の上昇や水分の過剰な蓄積を防ぎ、体内循環の負担を減らします。
循環器専門医や栄養士による栄養指導が必要で、適切な食事療法を実践すれば、症状の改善や予防が期待できます。日常生活や体調、病状に応じた食事療法が大切になります
心臓に優しい食事は、バランスの良い栄養素摂取が鍵となります。重要な栄養素には、ビタミン、ミネラル、たんぱく質、良質な脂質、繊維が含まれます。これらの栄養素は、心臓の機能をサポートします。
例えば、ビタミンCやビタミンEは抗酸化作用があり、心臓の働きを強化します。カリウムやマグネシウムは血圧を正常化し、心臓の負担を減らします。
また、摂取量も重要で、食事は満足感はあっても過食を避けることが望ましいです。適切な摂取量を実践することで、体重の管理にも役立ち、心臓の負担を軽減します。
塩分の過剰な摂取は心臓に負担をかけるため、心不全の治療に塩分制限は欠かせません。塩分制限は、心不全だけではなく、高血圧の予防に役立ちます。まず、食品の選択が重要で、加工品や外食は避け、できるだけ自然な食材を中心に摂取します。また、調味料も無塩や低塩のものを選び、塩分の含まれる調理法を控えます。例えば、煮物やスープはダシを使うことで塩分を減らすことができます。また、ラベルの表示や食塩相当量を意識することで塩分の過剰な摂取を防ぐことができます。
食事で塩分を控える場合のポイント
塩分制限が必要
心臓負担を軽減する食事制限では、以下の食品が適切です。
– 低脂肪のたんぱく質源: 魚、鶏肉、豆腐
– 野菜や果物: カリウムや食物繊維が豊富
– 全粒粉の主食: 食物繊維やビタミンが含まれる
– 良質な脂質源: オリーブオイルやアボカド
また、食品選びだけでなく、適切な調理方法や食事のバランスも大切です。工夫を凝らした献立作りや味付けによって、心臓に優しい食事が楽しめます。
塩分の成分であるナトリウムは体内に水をためこむために、塩分を取りすぎると体の中の血液量が増加します。血液量が増えると、血液を循環させている心臓に負担をかけてしまいます。
心不全の方はどれくらい塩分制限が必要ですか?
軽症の方で7g/日以下、重症の方3g/日以下を目標とします。日本人の食塩摂取量は平均10g/日以上で、世界的にもみても塩分摂取量が多いと言われています。
心不全の方にとって、水分摂取の適切な管理は非常に重要です。心不全は心臓のポンプ機能が低下し、体内の血液循環が悪くなる病気であり、適切な水分摂取により症状の進行を抑制することができます。また、心不全方は塩分摂取の制限も重要で、塩分摂取が過剰になると、体内に水分の貯留が起こり、心臓への負担が増加します。
心不全の方が気をつけるべき水分摂取のポイントは以下の通りです。
– 1日あたりの摂取量を基準に、食事や飲料水を含めた水分摂取量を計算、把握すること。
– 心臓への負担を軽減するために、過剰な水分摂取を避けること。
– 塩分摂取を制限し、適切な水分・塩分バランスを保つこと。
– 体調や病状に応じて、医師や栄養士から指導を受けること。
水分量に注意が必要
適切な水分摂取量は、それぞれの体調や病状に応じて異なりますが、一般的には1日あたり1000-1500ml程度を目安とされています。ただし、重度の心不全の方は、医師の指導に従い、摂取量をさらに制限することがあります。水分摂取量を適切に維持する方法としては、食事内容を工夫することが挙げられます。例えば、水分の多い果物や野菜は摂取量に注意し、塩分の少ない食品を選ぶことが重要です。
心不全の方が取り組むべき食事と運動療法のポイントは、ご自身の適切な水分摂取量や塩分摂取量を把握して心掛けることです。また、軽度の運動を取り入れて心臓機能を向上させることも大切ですが、適切な運動量に注意し、医師と相談しながら取り組むことが重要です。次のステップとして、本サイトにある栄養指導や運動療法に関する情報を参照し、さらなる改善を目指しましょう。
カリフラワーのクリーミーポタージュ
【参考文献】
・日本心臓財団,心不全の初期サイン https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/09/
・日本心臓財団,心不全とは https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/02/