狭心症のリスクを知り、症状・治療・予防に備えよう
久留米生活習慣病相談室 監修:まつもと整形外科

糖尿病内科・循環器内科のクリニックです

今回のテーマは『狭心症』!!!

第2弾は狭心症の治療や予防についてお話します。

狭心症の症状と診断方法

狭心症の典型的な症状は、胸痛や胸部圧迫感、動悸、息切れです。放散痛として、心窩部痛(みぞおちの痛み)や背中の痛み、左肩の痛み、顎の痛みなどを自覚することもあります。典型的ではありませんが、冷や汗や吐き気、頭痛を自覚することもとあります。症状出現時には速やかに病院で診察を受けることが重要です。

狭心症の診断には、心電図、運動負荷心電図、冠動脈造影などの検査が挙げられます。初期診断では非侵襲的で簡便な心電図が用いられます。最終的に、冠動脈造影によって確定診断がされることが一般的です。

診断と検査

12誘導心電図:一般的な心電図で、身体に電極を付けて狭心症や心筋梗塞、不整脈の診断を行います。

運動負荷心電図:狭心症は、発作(胸痛)が起きていない時には心電図で異常が出ていないことが少なくありません。運動して心臓に負荷がかかった時だけ、心電図に異常が出たり、症状が出現することがあります。運動して心臓に負荷をかけて、心電図検査を行います。

ホルター心電図:ホルター心電図は24時間測定できる心電図です。冠攣縮性狭心症など睡眠時や夜間に起きる狭心症では日中に自覚がないこともあり、24時間測定することで心電図変化を見落とさないようにします。

心エコー検査:心臓にエコー(超音波)を当てて。心臓のリアルな動きを確認して心臓の動きに異常がないか調べます。心エコー検査は侵襲性がなく(痛みなどない)、リアルな心臓の動きを確認できることがメリットです。

冠動脈CT検査:造影剤を使用して、冠動脈の太さや石灰化を評価します。

MRI検査:遅延造影MRI検査で狭心症や心筋梗塞を評価することもあります。

心筋シンチグラフィー心筋シンチグラフィーは、心臓の血液の行き渡り方を調べる画像検査で、静脈内に注射した微量の放射性同位元素が、心臓の中で拡がった様子を画像化して診断します。運動や薬物で心臓に負荷をかけて時と安静にして心臓に負荷がかかっていない時の2つの条件で撮影したシンチグラフィーを照らし合わせて診断します。

心臓カテーテル検査:狭心症の疑いが強ければ、心臓カテーテル検査が行われます。手首や足の付け根からカテーテルを挿入して、狭心症の原因となっている冠動脈の狭窄部位を造影剤を使って評価します。検査だけ行う場合や狭窄部位をバルーンで広げたり、ステントを留置することもあります。

血液検査:心筋のダメージを見るためにトロポニンTやCK-MBを確認したり、心不全の評価のためにBNPを確認します。

狭心症発作時の典型的な症状と緊急性

狭心症発作が起きると、胸部に締め付けられるような痛みや胸部の圧迫感が現れます。この痛みはしばしば左肩や左腕にも放散痛として自覚し、冷や汗、吐き気、動悸を伴うことがあります。安静にすると痛みは軽減されますが、運動やストレス、寒さなどで増悪することがあります。

一般的に、狭心症の痛みは数分程度で治まることが多いです。しかし、痛みが長時間続く場合や、繰り返し痛みが起こる場合は、より危険な心筋梗塞や不安定狭心症の可能性があるため、緊急で医療機関に受診する必要があります。

また、薬物治療が効果を示さない場合や痛みが持続的に出現する場合には、緊急性が高い(命の危険がある)と判断されます。

胸痛を訴える女性

狭心症の典型的な症状の一つ

狭心症の診断と生活習慣病の管理

狭心症は、冠動脈の狭窄によって心臓への血液供給が不十分になり、胸痛や胸部圧迫感などの症状が現れる病気です。診断には心電図や心エコー、血液検査が欠かせません。

まず、心電図検査で、ST変化や不整脈を確認します。しかし、診察時に症状が無ければ、心電図だけでは必ずしも狭心症が確定的に診断されるわけではありません。そのため、ホルター心電図や運動負荷心電図、血液検査など総合的に判断されます。これらの検査は一般的に総合病院で行われることが多いです。

また、日常的に血液検査で、狭心症の原因となる悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や血糖値を管理し、高血圧があるかたは血圧のコントロールをすることで狭心症のリスクを減らすことができます。

狭心症の早期発見と正確な診断は、その後の治療や予後にも大きな影響を与えるため、定期的な健康診断や異常が感じられたらすぐに受診することが大切です。

 

心筋梗塞と狭心症の違いとは??

心筋梗塞と狭心症は、冠動脈が狭窄する病気ですが、大きく異なる点があります。

狭心症と心筋梗塞の症状は、どちらも胸痛や胸部圧迫感を自覚する点は特徴です。しかし、狭心症の痛みは数分以内で治まりますが、心筋梗塞の痛みは30分以上持続します。狭心症も心筋梗塞も、心臓の筋肉に血流を送っている冠動脈の血流が悪くなって症状がでますが、狭心症は冠動脈の動脈硬化で「血管が狭くなる」ために、心臓の筋肉の血流が減るだけで血流が完全に途絶した訳ではありません。そのため、症状は一時的で数分以内に胸痛は治まります。一方、心筋梗塞は、動脈硬化がさらに進行して「冠動脈の血管に詰まる」ため、心臓の筋肉の血流が完全に途絶するため、心臓の筋肉の酸素供給が無くなるために心臓の組織が壊死し、心筋梗塞になり、最悪の場合は死に至ります。

心筋梗塞は、そのまま放置すると死に至るために、早急に治療が必要です。狭心症や心筋梗塞の違いを理解し、症状が現れたら適切な医療機関で受診しましょう。

 

狭心症の対処と治療法

狭心症の対処と治療法は、原因や症状、重症度に応じて異なります。最も一般的な治療法は、薬物治療です。薬物治療では、冠動脈を拡張させる硝酸薬や血管を詰まらせないようにする抗血小板薬(血液サラサラの薬)、心筋の酸素消費を抑えるβ遮断薬などがあります。冠攣縮性狭心症では、冠動脈の異常な収縮を抑えるためにカルシウム拮抗薬などが処方されます。症状や病態に応じて、医師が薬物を選択します。また、狭心症を引き起こす危険因子の管理も重要です。喫煙者は非喫煙者に比べて、狭心症や心筋梗塞のリスクが2〜4倍高くなります。ストレスを減らすことも、狭心症の予防にとても重要です。ストレスは、血圧や心拍数が上がり、心臓に負担がかかりますので、リラクセーション法や適切な休息を取り入れましょう。また、狭心症の原因である動脈硬化を進行させないために生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)の管理が最も大切になります。

狭心症の治療は重症度や緊急度によって変わり、カテーテル治療や冠動脈バイパス術等の外科手術が行われることもあります。これらの治療は、冠動脈の狭窄部分を拡張することで血流を改善し、症状を改善させます。

 

発作時の対応と適切な受診

発作時にはまず安静にします。安静にすることで心臓の負荷を減らし、心臓の酸素消費量を減らします。安静にしても胸痛発作が治まらないときは速やかに医療機関を受診しましょう。

医療機関では、症状や重症度によって心電図や血圧測定、血液検査などの検査が行われます。医師の判断によって、カテーテル検査や冠動脈CT検査など追加されます。急性心筋梗塞や不安定狭心症など、緊急性が高く、重症化するリスクがある場合には検査だけではなく、そのまますぐに治療に移行します。。

また、発作が起こった場合は家族や周囲の人に知らせ、連携を取ることも大切です。

薬物療法からカテーテル治療まで、狭心症治療の選択肢

狭心症の治療方法は症状や重症度、緊急度によって異なります。狭心症の薬物治療では「硝酸薬」「β遮断薬」「カルシウム拮抗薬」「抗血小板薬」「スタチン」などが挙げられます。

硝酸薬:冠動脈を拡張させることで心臓の冠動脈の血流を改善させます。

β遮断薬:心筋収縮力や心拍数を抑えて、心臓の負荷を減らします。

カルシウム拮抗薬:冠攣縮性狭心症で使用されます。カルシウム拮抗薬で冠動脈の攣縮を予防します。

抗血小板薬:冠動脈の血栓を予防します。

スタチン:悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を低下させることで冠動脈の動脈硬化を予防します。

カテーテル治療は冠動脈を広げるための治療法で、狭窄している冠動脈をバルーンで広げたり、狭窄している冠動脈にステントを留置する方法でどちらも冠動脈の血流を改善します。

冠動脈バイパス手術は心臓血管外科で行われ、体内にある他の血管(内胸動脈など)を冠動脈に移植して、狭窄した血管を新しい血管と取り換えて血液の新しい通り道を作ります。治療方法の選択肢は多岐にわたり、適切な治療法は医師と相談しましょう。

狭心症に使用する薬物

患者様にあった内服薬を選択

狭心症予防と生活習慣の見直し

狭心症予防には、生活習慣の見直しが不可欠です。喫煙や肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドローム、アルコール多飲、ストレスなどの危険因子を改善することが重要です。禁煙や適度な運動、バランスの取れた食事、ストレスの緩和などが効果的です。また、定期的な健康診断や医師との相談を通じて、早期発見と予防に努めましょう。

 

喫煙や肥満といったリスクを減らす予防策のアプローチ

まず、喫煙は動脈硬化の原因となるので、禁煙することが大切です。喫煙者は非喫煙者と比べて狭心症や心筋梗塞のリスクが2~4倍高くなります。また、適切な体重管理も重要であり、肥満による高血圧や糖尿病、脂質異常症のリスクを減らします。

さらに、食事習慣の改善が重要です。脂肪やコレステロールの摂取を抑え、食物繊維やビタミン、ミネラルを多く含むバランスの良い食事を心がけましょう。塩分の摂取制限も大切で、高血圧の予防につながります。

適度な運動もリスク軽減に効果があります。ウォーキングや自転車などの有酸素運動がおすすめで、心肺機能の向上に寄与します。運動習慣を継続していくことで、リスク管理が可能となります。

定期的な健康診断を受けることで、早期発見や適切な治療につなげることが可能です。以上のアプローチを日々の生活に取り入れることで、狭心症のリスクを効果的に減らすことができます。

心臓にやさしい食事と運動の効果的な取り入れ方

心臓病のリスク軽減には、心臓にやさしい食事と運動の適切な取り入れが重要です。食事面では、脂肪分やコレステロールが少なく食物繊維やビタミンが豊富な食材を選ぶことで、血管の健康を維持することができます。具体的には、魚や大豆製品などの良質なたんぱく質を摂取し、野菜や果物、全粒粉を多く含めることをおすすめします。

運動面では、適度な有酸素運動が効果的です。ウォーキングや自転車、水泳など、心肺機能が向上し、ストレス解消にもなる運動を継続的に行うことが大切です。また、無理のない範囲で筋トレやストレッチを行って、全身の筋力や柔軟性を維持することも重要です。

食事と運動をバランスよく組み合わせ、日常生活に取り入れることで、心臓の健康維持や狭心症リスク軽減に効果的に働きます。健康的な生活を送ることで、より健康な心臓を手に入れることができます。

 

狭心症と向き合うためのまとめ

狭心症と向き合うためには、生活習慣病などのリスク因子を把握し、喫煙や肥満などの元凶を減らす意識も大切です。心臓にやさしい食事と運動を効果的に取り入れ、健康的な生活習慣を維持しましょう。そして、定期的に健康診断を受け、早期発見や適切な治療を受けることが重要です。健康な生活を続けることで、狭心症を予防し、心臓病リスクを軽減できます。

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【参考文献】

・日本医師会,健康の森,狭心症・心筋梗塞 https://www.med.or.jp/forest/check/shinkinkousoku/index.html

・日本理学療法士協会,心筋梗塞・狭心症 https://www.japanpt.or.jp/about_pt/asset/pdf/handbook04_whole_compressed.pdf

2024年08月22日