福岡県久留米市安武町にある「まつもと整形外科」
こんにちは!
久留米市安武町にある整形外科クリニック まつもと整形外科 院長 松本淳志です
学校の運動器健診で「側弯の疑い」と言われたら~早期発見と正しい理解が大切です~
「運動器健診で“側弯(そくわん)”の疑いがあると指摘されました」と、整形外科を受診されるケースは少なくありません。学校からのお知らせに驚き、今すぐ何か対応すべきかと心配される方も多いことでしょう。
今回は、「側弯」とは何か、どのように対応すればよいのか、日常生活で気をつけるべきことなどをわかりやすくご紹介します。
側弯症とは?
側弯症とは、背中や腰が左右に曲がったり、同時にねじれ(回旋)を伴う状態のことをいいます。見た目には、肩の高さが左右で違っていたり、片側の背中が盛り上がっていたりすることで気づかれることが多いです。
小児期や思春期に見られる側弯症の多くは「特発性側弯症」と呼ばれ、はっきりとした原因がわからないものです。特に女児に多く、10歳前後から進行しやすい傾向にあります。
なぜ学校健診で見つかるの?
小学校や中学校で行われる「運動器健診」では、成長期の運動器の異常を早期に発見することが目的です。特に背骨のチェックは重要で、前かがみになって背中の左右差(肩甲骨の高さや肋骨の盛り上がり)を見る「前屈テスト(モアレテスト)」などを行います。
健診で側弯が疑われた場合は、再検査として整形外科の受診が勧められています。
前屈テスト(モアレテスト)
整形外科ではどんな検査をするの?
学校健診では見逃しがないよいうに実際に異常が無い方も、異常があると判定されることがあります。「実際には病気ではないのに、検査結果が陽性となる現象」を「偽陽性」と呼びます。
そのために、実際に背骨(胸椎)、腰骨(腰椎)が曲がっていないのか評価する必要があります。整形外科では、身体のバランスや姿勢を詳しく評価したうえで、X線検査(レントゲン)を行い、背骨や腰骨の曲がり具合(カーブの角度)を測定します。
また、急激に成長する時期(成長スパート)では側弯が進行しやすいため、年齢や骨の成熟度も診断の参考になります。
側弯症はどう治すの?
側弯症の治療は、カーブの角度や進行具合によって異なります。
側弯症で受診される方の多くの方は、偽陽性であったり、軽度の側弯のために経過観察となることが多いです。
初回は3~6か月後にレントゲン撮影を行い、安定していれば1年に1回のレントゲン撮影で経過をみていきます。
・経過観察(軽度の側弯):定期的にレントゲンを撮って、進行していないか確認します。
・装具療法(中等度の側弯):コルセットのような装具を着用し、側弯の進行を防ぎます。
・手術療法(重度の側弯):成長終了後も進行している場合や、内臓に影響するほどの重度側弯では手術が検討されます。
早期に見つけて、適切に対応することが非常に大切です。
側弯症とリハビリの関係
~体のバランスを整える大切なサポート~
側弯症の進行を防ぐうえで、リハビリテーション(運動療法)はとても重要な役割を果たします。
特に以下のような効果が期待できます
・体幹筋(お腹や背中まわりの筋肉)を強化し、姿勢を支える力を高める
・柔軟性を向上させ、筋肉のアンバランスを改善する
・正しい姿勢を意識するトレーニングにより、日常動作のクセを修正する
・将来的な腰痛・肩こりの予防にもつながる
成長期の体は柔軟で、習慣的な運動やストレッチによって姿勢の改善が期待できます。当院では理学療法士が個別の運動プログラムを提供し、無理のない範囲でリハビリを継続できるようサポートしています。
「装具をつけるほどではないけれど、少し姿勢が気になる」「肩や腰の疲れやすさも心配」という場合も、お気軽にご相談ください。
習慣的な運動やストレッチによって姿勢の改善が期待
日常生活で気をつけたいこと
側弯症と診断された場合でも、必ずしもすぐに手術適応、というわけではありません。以下の点を意識して、健やかな成長をサポートしましょう。
・定期的な診察・検査を受けること
・成長期には特に姿勢を意識すること
・体幹を鍛える軽い運動やストレッチを取り入れること
・体の左右バランスを崩さないようにする(重いカバンは片側にばかり持たないなど)
専門的なリハビリを取り入れることで、これらの習慣をより効果的に身につけられたり、進行予防になることもあります。
最後に:保護者の方へお伝えしたいこと
お子さまの健診で「側弯の疑い」と聞くと、不安を感じると思います。しかし、学校健診で側弯症が疑われた場合、多くの場合が偽陽性であったり、軽度の側弯症であれば経過をみるだけで問題がありません。早期に気づき、きちんと整形外科で確認・対応していくことで、進行を防ぎ、健康な成長を支えることができます。
そして、リハビリを通じて体の使い方を学び、姿勢や筋力バランスを整えることは、今後の健康づくりにもつながります。
まつもと整形外科では、運動器健診後の再検査や、リハビリのご相談にも丁寧に対応しております。ご不明な点がありましたら、どうぞお気軽にお声かけください。
また、当院では毎週土曜日に脊椎を専門とする脊椎外来を開設しており、側弯症に関する専門的な診察やご相談も受け付けております。運動器健診後の再評価や、今後の生活で気をつけるべき点など、丁寧にご説明いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。学校健診で側弯症が疑われた方は、ぜひ土曜日の脊椎外来をご受診下さい。
お子さまの健やかな未来のために、私たちが全力でサポートいたします。
当院には理学療法士·作業療法士が計26名在籍しています。患者様一人ひとりに合った専門性の高いリハビリメニューを提供させていただきます。
ご不明な点などありましたら、お気軽にご相談ください!
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【参考文献】
・日本側彎症学会,側彎とはhttps://www.sokuwan.jp/patient/disease/examination.html