春先や秋口になると、花粉症によるくしゃみや咳が増える方が多くなります。また、喘息の持病がある方は、季節の変わり目や気温の変化によって症状が悪化しやすくなります。これらの症状が長引くことで、肋骨周辺に痛みを感じることがあるのをご存じでしょうか?
今回のブログでは、花粉症や喘息による咳が引き起こす肋骨の痛みについて詳しく解説し、整形外科の受診をおすすめする理由について説明します。
咳を繰り返すことで、肋骨の前方にある「肋軟骨」に過度な負担がかかり、炎症や損傷を起こすことがあります。肋軟骨損傷の特徴として、以下のような症状がみられます。
• 咳や深呼吸をすると胸の前方に痛みが走る
• 押すと痛みが増す
• 動かさなければ痛みは軽減するが、再び咳をすると痛みがぶり返す
肋軟骨は肋骨と胸骨をつなぐ柔らかい組織であり、骨と異なりレントゲンでは異常が映りにくいことが特徴です。そのため、適切な診断と治療のためには整形外科での診察が重要です。
強い咳を繰り返すことで、肋骨に慢性的に過剰な負担がかかり、場合によっては骨折を引き起こすこともあります。特に高齢者や骨粗鬆症の方は、比較的軽い咳でも骨折することがあります。また、若年者でもコロナ感染やインフルエンザ感染による咳嗽、気管支喘息による咳嗽で肋骨に疲労骨折を起こすことがあります。
肋骨骨折の症状は以下の通りです。
• 咳やくしゃみをするたびに鋭い痛みが走る
• 痛む部分を押すと強い痛みを感じる
• 横になると痛みが増し、寝返りが難しくなる
肋骨骨折は、レントゲン検査にて診断します。肋骨の疲労骨折では転位が小さい(ズレが小さい)ためにレントゲン検査で写らないことがあります。骨折の程度によっては自然治癒が可能ですが、強い痛みが続く場合や呼吸がしづらい場合には、早急な治療が必要です。
肋骨を骨折すると「気胸」という症状が見られることがあります。通常、人の胸腔内の内圧は外気圧よりも低くなっていますが、外傷によって外から空気が入り込んだり、血液が貯留したりすると、肺が虚脱あるいは縮小してしまい、強い呼吸障害につながります。
• 気胸(ききょう):外の空気が肺の周囲に入り込み、肺がしぼんでしまう状態
• 血胸(けっきょう):骨折による出血が胸腔内にたまる状態
• 血気胸(けつききょう):気胸と血胸の両方が同時に発生する状態
これらの症状が発生すると、息苦しさや呼吸困難を引き起こし、場合によっては緊急の処置が必要になります。肋骨骨折の際には、このような合併症のリスクも考慮することが重要です。
咳による肋骨の痛みは放置すると症状が悪化することがあります。整形外科では、痛みの原因を特定し、適切な治療を行うことが可能です。
肋軟骨損傷なのか、肋骨骨折なのか、または他の疾患が関係しているのかを見極めることが重要です。整形外科では、問診や視診、触診に加え、レントゲンや超音波検査、必要に応じてCT検査を追加で行い、正確な診断をつけます。
診断結果に基づいて、適切な治療を行います。
◯肋軟骨損傷の場合
• 消炎鎮痛剤(内服・湿布)の処方
• 日常生活での注意点の指導
• 必要に応じてテーピングやバストバンドでの固定
◯肋骨骨折の場合
• 痛みを和らげるための鎮痛薬の処方
• 骨折部位の安定化のための固定
• 呼吸が苦しい場合は肺の合併症を防ぐための管理
また、骨粗鬆症が原因で肋骨が折れやすくなっている場合には、骨密度検査を行い、必要に応じて骨粗鬆症の治療を開始することも重要です。
咳による肋骨の痛みを防ぐためには、以下の点に注意しましょう。
• こまめに水分をとる
• 加湿器を利用して室内の乾燥を防ぐ
• 花粉症の方は適切な抗アレルギー薬を使用する
• カルシウムやビタミンDをしっかり摂取する
• 適度な運動を行い骨を強くする
• 定期的に骨密度測定を受ける
• 猫背にならないように気をつける
• 背筋を伸ばして深い呼吸を心がける
花粉症や喘息による咳が続くことで、肋軟骨損傷や肋骨疲労骨折を引き起こすことがあります。また、肋骨骨折に伴い、気胸や血胸が発生するリスクもあります。胸の痛みが続く場合は自己判断せず、整形外科を受診することが重要です。
まつもと整形外科では、患者様一人ひとりの症状に合わせた診断と治療を行っています。咳が長引き、動いた時の胸の痛みが気になる方は、ぜひまつもと整形外科にご相談ください。
当院には理学療法士・作業療法士が計26名在籍しています。患者様一人ひとりに合った専門性の高いリハビリメニューを提供させていただきます。
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