福岡県久留米市安武町にある「まつもと整形外科」
こんにちは
久留米市安武町にある整形外科クリニック まつもと整形外科 院長 松本淳志です
今回は『ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の予防から治療まで』についてお話させていただきます
上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)の概要
上腕骨内側上顆炎、通称ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は、主にゴルフなどのスポーツを行う際や手首や指を使う際に肘の内側に痛みが生じる症状です。肘の内側にある上腕骨の顆部分に炎症が起こることから上腕骨内側上顆炎とこの名前がつけられました。原因は筋肉や腱に過度のストレスがかかり、炎症や微小な損傷が繰り返されることで発症します。特に、前腕の筋肉を何度も使用し、手首や指に力を入れる動作が繰り返されるスポーツではゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)が発症しやすいですが、手首を使った作業をする仕事でも発症することがあります。また、日常生活や仕事でも同様の動作を繰り返す場合は、注意が必要です。この症状を早期に察知し、適切な治療と予防に取り組むことが重要です。
治療方法としては、まず運動やスポーツを休止し、安静にすることが基本です。さらに、炎症を抑えるためにステロイドや非ステロイド系の抗炎症薬を使用することがあります。その後、リハビリテーションや筋力トレーニング、ストレッチなどを行い、肘周りの筋肉を強化し、動作を改善することが望ましいです。手術が必要になるケースはほとんどなく、通常は保存的治療で改善が見られます。
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の症状と特徴
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の主な症状は、肘の内側に痛みが生じることです。特に、手首を握る、物を持ち上げる、手を回すなどの動作を行うと痛みが増すことが一般的です。痛みは徐々に悪化し、長時間続くことがあります。その他の特徴は、筋力の低下や関節の可動域制限が発生することがある点です。また、痛みがひどくなると手のひらの部分にも痛みが広がることがあります。ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は、慢性的な症状で悪化すると治りにくくなるため、早期治療が重要となります。
肘の内側に痛みが出現
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)とテニス肘(上腕骨外側上顆炎)の違い
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)とテニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、どちらも上腕骨の顆部分の炎症により肘に痛みが発生する点で共通しています。しかし、その痛みの位置が異なります。ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は肘の内側に痛みが現れるのに対して、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は肘の外側に痛みが現れます。また、原因となる動作も異なります。ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は手首や指の屈筋が使われる動作が原因で、テニス肘は手首や指の伸筋が使われる動作が原因です。この違いを理解し、正確な診断を受けることで適切な治療が行えます。
テニス肘に関しては以下のブログで紹介してますので、ぜひご覧ください!
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の予防
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の予防には、適切なストレッチや筋トレが大切です。筋力をアップさせることで、関節への負担を軽減し、状態の改善が期待できます。また、適切なスイングフォームやクラブの選び方も、予防のために重要です。
・ストレッチ:柔軟性を向上させるストレッチがゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の予防に役立ちます。特に、前腕や上腕の筋肉を伸ばすストレッチがおすすめです。
・筋トレ:前腕や上腕、肩や腰など、スイングに関与する筋肉を鍛える筋トレを行いましょう。
また、日常生活での負担を軽減することも予防に役立ちます。例えば、仕事でパソコンをよく使う場合、手首や指の負担を軽減するために、適切なキーボードやマウスの使い方を心掛けることが大切です。ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)でお悩みの場合、整形外科で診察やリハビリを受けることをおすすめします。
ストレッチや筋トレで足元強化
足元の筋力や柔軟性を高めることは、ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の予防や改善に役立ちます。特に、足の筋肉や関節を鍛えるエクササイズが効果的です。足の筋肉を引き締めるストレッチや筋トレを習慣化しましょう。例えば、足首の回旋や上下運動、膝の屈伸運動など、足周りのスムーズな動作を促すエクササイズがおすすめです。また、足の裏やふくらはぎ、太ももなど、関連する筋肉を鍛えるエクササイズも行いましょう。肘の痛みに対して足の運動は効果がないように思えますが、これらの筋肉が強化されることでスイング時の安定感が向上し、肘への負担を軽減できます。
下肢の筋力も鍛えましょう
安静や炎症抑制の薬物療法
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の治療の第一段階として、まずは安静にして肘の痛みを軽減させることが大切です。痛みがある部分を過度に動かさず、腕を休めることが症状の改善に繋がります。また、炎症を抑制するために、冷却(クーリング)も大切です。また、医師の処方による非ステロイド性抗炎症薬や筋肉緩和剤の服用が考慮されます。これらの薬物療法は、炎症や痛みの緩和を目的としていますが、一定期間効果が見られない場合には、より積極的な治療法が検討されることもあります。
整形外科での治療
薬物療法や安静による効果が不十分な場合、次に検討されるのが整形外科での治療です。患者様の状態や希望に合わせた治療法が提案されます。たとえば、炎症部分へのステロイド注射が行われることがあります。さらに、リハビリテーションにおいては、適切な運動療法やストレッチが指導され、筋肉や関節の柔軟性や力を回復させることを目指します。加えて、ゴルフスイングなどの動作の改善や予防策も伝授され、日常生活やスポーツを再開できるようにサポートが行われます。局部へのステロイド注射は感染の面からも頻回には行うことができませんので、リハビリにて予防に努めることが大切です。
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の治療期間とその後のケア
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は、主に前腕の筋肉や腱が炎症を起こす症状で、肘の内側に痛みや腕の動きに制限が生じることが一般的です。治療方法は患者様の症状や状態によって異なりますが、症状が改善された後も、再発を防ぐためのケアが重要です。筋肉や関節の柔軟性を保つことが大切で、ストレッチや適切な筋力トレーニングを継続しましょう。また、ゴルフのスイングやテニスのフォアハンドの動作改善を行うことで、負担を軽減し、発症リスクを低下させることが可能です。運動を再開する際には、整形外科専門医や理学療法士と相談しながら徐々に負荷をかけていくことが大切です。無理をせず、自分の体の状態を把握し、適度な運動量でリハビリテーションに励みましょう。
治療期間の目安と運動再開のポイント
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の治療期間は、症状の程度や背景(仕事などの環境)、治療方法によって異なりますが、一般的には2~3か月程度が目安です。ただし、早く治ることもあれば、遅れることもありますので、医師の指示に従いましょう。運動再開のタイミングは、痛みがほとんどなくなり、医師が適切と判断した場合です。無理に早く再開しようとすると、症状が悪化する可能性がありますので注意が必要です。運動を再開するときのポイントは、以下の通りです。
・痛みを感じない範囲で徐々に運動量を増やす
・ストレッチや筋トレを継続し、柔軟性や筋力を保つ
・テクニックやフォームの改善に努める
・疲れや痛みを感じたら無理せず休む
無理なく運動を再開
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)を克服するまとめ
ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)は、適切な治療やリハビリテーション、ケアによって克服することができます。治療期間は個人差がありますが、整形外科専門医や理学療法士と協力しながら無理なく過ごしましょう。局部へのステロイド注射は効果が高いですが、頻回に使用できないためにリハビリにて根本的な改善に努めることが大切です。運動再開の際には、上記のポイントを意識し、再発を防ぐためのケアを継続することが重要です。これからも日常生活やスポーツを楽しむために、健康を維持することが大切です。
スポーツリハビリ
まつもと整形外科ではスポーツでのケガの治療を専門とするスポーツリハビリチームがあり、
スポーツでのケガの治療を専門とする理学療法士が治療を担当します。スポーツリハビリでは、スポーツでのケガに対して早期スポーツ復帰、再発の予防、パフォーマンス向上を目的としてリハビリを行っていきます。競技特性に応じた専門的なリハビリが必要となるために、スポーツでのケガでお悩みの方、リハビリをご希望の方はぜひご相談下さい。
【参考文献】